12月22日(土)12:00
誰も居ない教室。
無言で見詰め合う二人。
触れ合う手。
肩を捕まれ抱きよせられる私の肢体。
時間の感覚なんて無くなっていました。
映画やドラマの様に、その時に背伸びする女の子を自分に重ねてばかりいましたが、現実は私が下を向く形になるとは思いませんでした。
相良くんに背伸びさせるわけにはいきませんから、それくらいは当然です。
ファーストキスの味は、指先から髪の毛の一本まで電流が走る様な衝撃でした。
抱き締められる温かさや安心感とは違う、情熱的で衝動的な感覚で、重なり合う口唇から貴方の全てが流れ込んで来るような感覚でした。
「俺の事、好きか?」
「好きじゃなきゃこんなこと出来ないよ…。」
「…付き合おうか…?」
「…嬉しい…。」
「好きだよ。」
「私も。停学にならなかった、安心感と、愛されてる嬉しさと、愛してる幸せでいっぱいだよ…。」
「柳生さん、俺…。」
「恵里菜だよ。」
「恵里菜…。」
「なぁに?優矢くん?あぁ、幸せ…。」
「続きは練習が終わってからで…。」
「そだね、たった三日だけなのに、早く皆とサッカーがしたい。」
12月22日(土)15:20
「で、どっちから告白したのよ?」
「な、何で私と優矢くんが付き合ってるってわかったんですか?」
「手ぇ繋いで、二人で練習に遅れてきたら誰でも気付くわよ!」
「どっち?ってわけじゃないけど、最後は優矢くんの方から言ってくれました。」
「いいなぁ、そんな男らしい男は絶滅危惧種だと思ってたわ!」
「島先輩は自分から告白したんですか?」
「当たり前じゃない!
中島さんも内藤さんも、私も危なっかしくて無神経な男を捕まえとくのに必死なんだから!」
「そうよ~、柳生ちゃん。
恋人の関係なんて女から積極的になって丁度いいくらいよ!だからアイツはいつもいつも!他の女に!」
「中島主将落ち着いて下さい。
はい、アドバイスありがとうございます。」
「でも、もうすぐクリスマスなのに急に付き合ったから準備出来てないんじゃない?」
「はい、だから明日、私の家で二人で過ごすことにしました!」
「展開早っ!!
もしかしてまたお泊まり?」
「はい、23の夜は両親だけで出てますので。」
「姉御、これは…?」
「あい、島の旦那。こいつぁ、対策チームが必要そうですなぁ~。
全員集合!緊急ミーティングよ!」