キョクメン突破!~二人の理由 11 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

12月22日(土)11:00

やれることはやりました。
終業式も通知表も上の空で、相良くんと受けるこのテストのことだけを考えていました。

教室には私と相良くん、そして三好先生。

裏向きに配られた用紙は、問題用紙と解答用紙に分かれておらず、うっすらと透けて見える文面はやけに短く、白紙の占める割合が大きかった。

(しまった。論文形式?想定外だわ。三日しかなかったから、単語や公式を詰め込んだだけだわ…。
どうしよう…相良くん大丈夫かな?)

チラリと隣の相良くんを見ると私よりも落ち着いてるように見えた。
それは何か覚悟を決めた様に見え、その眼差しはいつもよりも大人びて見えた。

三好先生の

「はじめ!」

の声でテスト用紙を表に向けると…、


「問 貴方の隣に座っている人物に対する率直な気持ちを述べよ。」


(何だよ三好先生、これが問題?
せっかく必死に勉強したのに!
イヤ、そんなことじゃなくて、隣の人に対する気持ちって…、柳生さんへの想いを書けってことかよ?
三好先生…)


(何ですかこの問題!神は死んだの?
そんな、そんな相良くんへの気持ちを書けって、出来るわけないじゃない!

でも書かないと不合格だよね…?
私の不合格のせいでもし、相良くんまで 停学になったら…。)

「そうそう、公平を期する為に採点はテスト用紙を隣同士で交換するからね♪
はい、私語は厳禁。時間内で頑張りなさい。」


(交換?読まれるってこと??

それってまるっきりラブレターじゃない!
三好先生のバカー!
これがテストなんて非道いです!

えっ?相良くんから鉛筆を走らせるカリカリって音が…チラリと横目で見れば、真剣な眼差しでテスト用紙に向き合ってた。
ううん、テスト用紙じゃない、相良くんは自分自身と向き合って、私のことを書いているはずです。
…そもそもの原因は私…。私が書けないなんて言う権利はない。答えなきゃ、伝えなきゃ。
解答欄を、相良くんに対する私の気持ちで埋めつくさないと!
もう、三好先生たら先輩達以上にお節介なんだから!)


(…最初はビックリしたけど…。
やるしかない。
どうせ告白するつもりだったんだ!
これを書いてどう思われようとも、柳生さんへの想いは変わらない。

三好先生ありがとう。
これでもし、不合格だの、停学だので柳生さんにまで迷惑かかったら…。


一生の責任取ってやるよ!)


「それまで。時間よ。」