12月18日(火)12:30
「そっかぁ、優矢にも遂に春が来たかぁ、うんうん、これであたしの肩の荷が降りたよ♪」
「別にそんな仲じゃないし、和美が喜ぶことじゃないだろ!」
「だってクリスマス前にあんたみたいなチビのオタクに付きまとわれても困るしね~。」
「どうせ相手いないだろ!」
「居るわよ。」
「誰だよ?」
「運命の王子さま!」
「似合わないんだよ!」
「…あの、相良くん…、お弁当一緒に食べようと思ったんだけど…。
ごめんなさい、私、お邪魔でしたね…。」
柄にもなく乙女チックな冗談を言う、幼なじみの松永和美にお仕置きのヘッドロックを掛けた所を思いっきり柳生さんに見られた。
(相良くんが私に告白してくれないのはこういう理由だったんだ。
私、何をイライラしてるの?)
「あっ、貴女が優矢の『お姫様』ね~。
うわぁ、背が高いんですね~。
えー、手作りのお弁当なんて凄いですね!
貴女のお母さん頑張ったんだ~。」
「…私が全部作りましたが何か?」
「あぁ、柳生さん、和美のことは気にすんなよ。
こいつは俺の男友達みたいなもんだよ!」
「…恋人でも無いくせに、下の名前で呼びあうんですね。」
「幼稚園のころから呼んでるから気にしないよねー?」
「幼稚園のままなんですね。」
「そう、優矢とは何かとずっと縁が…。」
「いえ、頭の中身がです…。」
「ちょっとどういう意味?」
「言葉の通りです。」
「ごめんなさい、あたし、実は貴女の事知ってるの。
ねぇ、優矢?よくそんな女のお弁当食べる気になれるわね?」
「別に付き合ってなくても弁当くらい食べるだろ?」
「ううん、そういう意味じゃなくて、簡単に違う男に乗り替える女のお弁当を良く食べられるわねってこと!」
言われなくても知っている。
「フラれ女」とあだ名を付けられ、野球部の鈴木や高坂先輩のお兄さんにアタックした過去を知っている。
だけどそれが何だ!
俺は今現在の柳生さんを…。
「確かに高坂先輩のお兄さんには創部記念パーティーの席で抱かれましたが何か?」
「パ、パーティーで?ウソ、やだ、破廉恥だわ!優矢もそのパーティーに参加して…。
イヤー!」
「逃げたわね。」
「抱き締められた」を「抱かれた」とサラリと言ってしまう、そんな柳生さんの
「好きだよ。そういう所が。」
「えっ?相良くん…今なんて…??」
しまった。声に出してた!