12月16日(日)12:30
「男子の皆、今日はご苦労。
明日は振り替えで部活は休みにする。
ゆっくり休んで疲れを取れ!
女子はいつも通り練習だ。」
高坂先輩のこの言葉に女子から「え~?」の言葉は起こらない。
今日、高坂先輩は試合を指揮したのに、明日も女子を指導するから、一番大変なのを皆が知っているからだ。
解散が告げられ、中島主将や内藤先輩はそれぞれのお相手と帰って行ったけど…。
いいの、柳生恵里菜は先輩方がうらやましくありません!
だって相良くんが部室で私が作って来たお弁当を食べてくれたから♪
その後…午後から私の予定が何も無いなんて…。
相良くんには関係ないことだもんね…。
12月17日(月) 15:45
「男子が休みで女子が部活。」
たったこれだけでそれぞれのドラマが起こるのがウチのサッカー部なんだよな~。
俺は別に早く帰れて嬉しいだけだけど。
「いい?絶対に真っ直ぐ帰るのよ!
新体操部を覗きに行っちゃ駄目よ。
テニス部の陽子を相手しちゃ駄目よ。
それから…。」
中島先輩はよっぽど武田主将と離れるのが寂しいらしい(笑)。
いいなぁ、あんなに情熱的に愛されて。
「助かるぜ。生徒会の仕事が溜まってるから、たまには京子に楽させないとな。」
さすが生徒会長の真田先輩。
部活休みでもやること一杯なんだな~。
「よし、真田。結城ちゃんは俺に任せてしっかり京子ちゃんの相手して来な。
高坂ちゃんにはポジション別の練習を先にしてくれって言ってる。」
榎田先輩は休みでも女子キーパーの結城さんを指導してから帰るそうだ。
ホントに立派な先輩達だなぁ。
「お兄ちゃん、先に帰るなら麦茶パックとトイレ洗剤買っといてね。
私が帰った時に直ぐにお風呂入れるようにしといてね。」
兄妹で入部してる伊東さんは家庭の事情を持ち込む(笑)。
「相良、用が無いなら手伝え!」
真田先輩に強引に連れてかれた俺は、生徒会室で雑用をやらされた。
「助かるわ~相良くん。
人手不足でさ。
ねぇ、柳生ちゃんと正直どんな感じ?」
「内藤先輩まで…。ただのサッカー仲間ですよ。」
「柳生ちゃんも同じ気持ち?」
「わかりません…。」
「そうね。わからないからこそ『先んずれば人を制する』まー君の言葉よ。」
散々こき使われて遅くなったら…。
「相良くん、待っててくれたの?嬉しい…!」
二人は女子部が終わる時間に俺を解放した。