「まー君、頑張ってー!」
真田先輩の彼女の内藤京子先輩が声援を送る。
内藤先輩は書道部だが、今日の試合の応援に来ている。
真田先輩が現・生徒会長で、内藤先輩が副会長。
サッカー部に関して言えばキャプテン達が理想だが、学園生活ではこの二人が私のお手本だ。
12月16日(日)11:43
キーパーが真田先輩に交代しても、何も変化なく終了かと思われた時、積極的な飛び出しでボールをキャッチし、素早く特大パントキックを蹴る。
地面に置かれたゴールキックよりも、手で持って宙に浮いたボールを蹴る方が、遥かに飛距離が出るのは当然だ。
キーパーがキャッチしたボールは反撃の起点となり、正確かつ、強力なキックはキーパーの攻撃力を問う重要なタスクだ。
「これが俺のもう一つの持ち味だ!
走れ~相良ー!」
「もう走ってますよ。」
「ほう、真田の奴こんな技まで…。PKだけではないのだな。…。」
中盤を飛び越え、一気に前線に届いたボールに相良くんは落下点を知っていたかの様に足を伸ばし、ダイレクトでセンタリングを放つ!
たったの二蹴りでシュートまで持っていった!
「トリプルカウンターアタックのフィニッシュはやっぱり俺だよねー!」
と武田主将がボレーシュートを放とうとするが…。
寸前で倒されPKとなった。
顔色一つ変えずに、冷静に小管くんがゴール左隅にボールを沈ませ3-0。
そのまま試合終了となった。
全得点に絡む小管くんの大活躍で我が北条学園の大勝利だった。
「…うん、よかろう。佐竹、良く我慢して中盤の底から小管と相良にボールを回したな…。影の殊勲者はお前だ…。」
「あ~あ、俺もっと活躍できたかもな~。結局、いいとこ先輩方と小管にさ~。」
「何言ってんだ、相良!お前の闘争心が無ければ試合前に負けてたさ。
それに良く最後まで走ったな。」
「あれだけ早朝練習した先輩達とのトリプルカウンターアタックを完成させたい一心で…。」
「…調子に乗るな真田、相良…。
実戦であんな曲芸が何度も使えると思うなよ…。
…だが…なかなかに面白い…。」
「先輩、もしかして高坂先輩なりに誉めてるんですか?」
「あたしに聞かないでよ、柳生ちゃん。う~ん、瑞穂的に喜んでるっぽいよ、多分(笑)。
相良くんのことも見てるから安心しなよ!」
「わ、私は別に…。」
「柳生さん、俺、君の手本になれた?」
「うん、相良くんは私のMVP」
続