「…Fを越えてG…!?遂にその領域に…?」
男子サッカー部のロッカー室はいつもの様に笑いが絶えない雰囲気だった。
馬鹿正直に小管が質問する。
「GとかFとかって、何かのフォーメーションですか?」
「いや、山名ちゃんの胸のサイズ予想だが?俺はGの96と踏んでいる。」
さも平然と武田主将が言う。
「俺の情報ではFの94が信憑性があるな。」
と榎田先輩。
「お前らは希望的観測に頼りすぎだ。
あの揺れと空気抵抗から計算すればFカップの92だ。武田、お前の根拠は?」
と真田先輩。
「俺にもわからん。だが敢えて言うならニオイかな?」
「さ、さすが生粋のゴールハンターやぁ!!」
とまぁ男子サッカー部なんて毎日こんなもんです(笑)。
「で、それをどうやって確かめるんですか?」
「小管、お前が聞きに行くに決まってるだろ?」
「何で僕ばかりそんな役目なんですか!?
たまには相良も使って下さいよ!」
と、小管のせいで無茶な話が俺に来たが…。
「柳生ちゃんが悲しむようなこと出来るかよ(笑)。
小管、お前彼女は?」
「い、居ませんよ!知っているでしょ!」
「じゃあ任務はお前に任す。」
「何ですか、その独身者は戦場に行けみたいな!相良だって別に柳生さんと付き合ってませんよ!」
「何言ってんだよ、相良はこの前の土曜日に『お泊まり』をしてきたんだぞ!」
「榎田先輩、確かに泊まりましたが、俺達付き合ってませんよ。」
「バカヤロー!お前、柳生ちゃんの身体を頂いといて付き合わないって、見損なったぞ!
我が部の伝統は『男は変態でも紳士たれ』だ。ちゃんと男の責任をだなぁ…。」
「落ち着いて下さい真田先輩!
だから付き合ってませんから、そんなこともしてません!
一晩中ゲームしてただけです!」
「それこそ何やってんだよ!
柳生ちゃんが家に呼ぶってことは『覚悟』してたってことだろ!
よしわかった。山名ちゃんの乳なんてもうどうでもいいから、相良は速攻で柳生ちゃんに告白してこい。
柳生ちゃんはお前が手を出してくれなかったことで傷ついてる。
しっかり慰めてこい!」
「勝手に決めないで下さい!」
あぁ、先輩の彼女達が聞いたら怒ることばかり…。
わかってる。
俺が柳生さんに魅力を感じないわけがない。
ただ…俺は幸せな毎日を壊したくない…。
成績優秀な柳生さんは、高坂先輩のお兄さんみたいな人が彼氏にふさわしいのかなぁ?