「やっぱり翔子ちゃんだって!」
「でも、他校の生徒ってハンデだよ。」
「じゃあ、茉奈ちゃん?でもお兄さんの監視があるしね~。」
「しかも鈴木くんってけっこうファン多いしね~。茉奈ちゃんはライバルとの闘いもあるから大変ね~。」
「だからと言って柳生ちゃんは一番無いよね~。」
練習前のロッカールームのドアを開けると、私の名前が聞こえたので質問する。
「こんにちは(部員共通の挨拶)、私の何がないんですか?」
「こんにちは、柳生ちゃん。うん、最近色気付いて来たみんなの中で、誰が一番早く『アレ』を卒業するかなぁ~って。
一番人気は結城さんで二番が茉奈ちゃん。残念ながら高坂さんの方が柳生ちゃんより人気よ。」
二年生が山名先輩、中島先輩を中心に一年生の恋愛話で盛り上がってたらしい。
でも皆さんの言ってる意味がわからないので質問する。
「あの、何を卒業するんですか?」
「フフッ、そういう可愛い所好きよ、う~ん、でもだから『卒業』が最後っぽいのよね~。
『愛しの』相良くんに教えて貰いなさい。実戦形式でね!」
「山名先輩、その笑い方はどうせまた、えっちぃ事なんですね?
もう、何度も言ってますが相良くんとはそういう関係じゃありません!
お互いにサッカーの技を競う仲間です!
アニメやゲームの趣味が合いますがそれ以上は無いです!」
先輩方は何でもくっつけたがるから困ります。
私は相良くんとの毎日が楽しいだけなのに…。
「ごめん、ごめん。今まであんなにアグレッシブだった柳生ちゃんが、本命出来た途端に急に奥手になるんだもんね~。
相良くんの方から告白させたい気持ちはわかるけど、早くしないと誰かに奪られるかもよ?」
「イヤ、誰も狙わないって!頭ん中ゲームとサッカーだけの厨二病なんて。」
「中島先輩、相良くんはそんな人じゃありません!
とっても強くて頭が良くて優しい人です!
この前の土曜日の夜だって私の家で私が攻略出来ない乙女ゲー『プリンス学園』を徹夜でクリアしてくれたんです!!」
「家に呼んだなら二人で他にすることあるでしょ!?」
「勉強?。」
「そう、一年のうちから将来を…じゃなくて!
ちなみにその時ご両親は?」
「旅行で居ませんでしたけど何か?」
「何やってんのよ相良くん!最大のチャンスだったのに!攻略するのはゲームじゃなく貴方の隣!柳生ちゃんの立場だったら私から…。」
「島ちゃん落ち着いて!」終