「どうやら落ち着く所に落ち着いたみたいね。」
「島ちゃん、良いこと言うね~。カッコ良かったぜ!」
「あら、私はいつも良いことしか言わないわ。
それよりもいいの?可愛い妹の相手が『認めた男』じゃなくても?」
「相良の友人なら大丈夫だろ。
それに最後は茉奈が決めることだ。」
「あら?伊東くんが一番大人になったのかな~?
まぁ、いいわ。
安心したらお腹空いた~!
さぁ、食べるわよ~!」
「島先輩、お昼もあんなに食べたのに~。
何でそんなに細くて、足早いんですか?
私や山名先輩の中盤組はいつもダイエットに苦労してるのに~!」
私のスタイルにうらやましがる茉奈ちゃんに鈴木くんが素早くフォローを入れる。
「茉奈ちゃんだって全然スリムだよ!」
まぁ、嬉しくなる言葉。ウチの男子サッカー部員も見習ってほしいわね(笑)。
学園では「変態男子サッカー部」と「アイドル野球部」なんて呼ばれてるから、未来のエースの鈴木くんに対して茉奈ちゃんは苦労するかもね~(笑)。
「男にはわからない女の苦労があるの!
島先輩、痩せる秘訣ありますか?」
「う~ん、彼氏と毎晩激しく運動したら痩せるわよ(笑)。」
「もう、島先輩!せっかくのカッコイイイメージが!」
真っ赤になる茉奈ちゃんと鈴木くん。
私にもあんな時あったわ。
可愛いな~。
「夜のウォーキングやランニングに付き合ってくれるなんて素敵な彼氏さんです~。」
しまった。高坂さん並みに知識のない柳生ちゃんにはまだ早い冗談だったみたい。
「ああ、違うんだ柳生さん。島先輩は、毎晩『付き合う』より『突き合う』って…。」
「説明しなくていいから相良くん!どうせ柳生ちゃんわかんないから!!」
うん、相良くんも間違いなくウチのサッカー部の遺伝子を受け継いでるわ。
武田くんと同類かもね(笑)。
相良くんに振り回される小管くんの未来の姿が想像できるわ。
それにしても…。
「落ち着いてるじゃない、柳生ちゃん。」
「はい、何だか自分でもわからない安心感っていうか、温かさを感じるんです。
今まで恋をすると苦しくなって、苦しみから逃げたくて行動しなきゃって気持ちばかりで…。」
「相手の『愛』を感じてるからかもね。」
「愛…これが…。」
「歌おうよ、みんなで。」
「♪ドンドン近付くこの距離に~MAXハイテンション~♪♪」
真冬の夜の夢はこれで終わりでなく始まったばかりかもね♪
(終)