「美味しい~。いいなぁ、榎田先輩と先輩と結婚したら毎日こんな美味しい物食べ放題よねぇ~。」
「動機が不純よ、真樹!連れの彼氏さんに悪いよ!」
過敏に反応する翔子ちゃんが可愛いだけに少し心苦しいけど、これは榎田くんと三好先生の問題。と、何とか割り切り、私は瑞穂のお兄さんに邪魔されない間にまー君との時間を満喫する。
「ごめん、ごめん冗談よ、『翔子の』榎田先輩を奪らないわよ。それにこいつ彼氏じゃないし、バンド仲間で、ギター弾き。ただのBGMだし。」
宇都宮真樹ちゃんが連れて来た男子は料理を食べる暇も無く皆のリクエストで弾き語りをしてる。
同様に里見愛ちゃんが連れて来た漫画仲間もカメラマンになってるし。
それで二人は瑞穂のお兄さん狙いなんだからちゃっかりしてるわ。
その熱意でお兄さんを私から遠ざけて下さい(笑)。
山名さんがもっと漣さんにアピールするかと思ったら、同伴者無しの男子部員に囲まれて身動きが取れなくなってる。八方美人も大変ね。
「山名先輩みたいに気が利いて、スタイルが良かったらなぁ…。」
無責任に翔子ちゃんを応援出来ないのが辛い。
「私、榎田先輩を手伝ってきます!一人で司会進行じゃ食べる暇無いと思うんです。」
ホントに強い子。
でも調理場との連絡を終えて一息ついた榎田くんは、真っ先に三好先生の所に向かう…。切ないなぁ。
「綺麗だよ、真理亜。素敵なチャイナドレスだ…。」
「止めてよ、徹。年がいもなく無理しちゃったわ。
でも…大切な日だから…嬉しいわ、誉めてくれて…。
このドレスの下、何も着けてないって言ったら?」
「上の階の部屋に連れてく。」
「着けてて良かったわ。後でね。」
「あぁ、結城さんに任せてるんだ、後で。」
私の他にもう一人の和装の女性、島敦子さんが、私達のテーブルに来た。
「内藤さんの着物もとっても素敵ね。私だけだと期待してたのになぁ(笑)。」
「そんな、島さんには負けるわ、普段からのおしとやかなイメージにぴったりよ。
でも、彼氏さんは普通にスーツなんですね。
私はお揃いが良いからまー君にも和服来てもらったけど。」
「えっ?だってスーツの方が脱がしやす…。」
最後まで話を聞かずに席を立ってごめんなさい。
瑞穂のお兄さんと柳生さんの二人の会話は意外に?途切れなかった。
「好きな食べ物ってありますか?私、取り分けますわ」
「柳生さん、貴女が好物です…。」