復活の時
長かった…。私は今日ようやく「出所」する。
「みんなとボールを蹴れること」
だけを夢見て今日まで私は耐えてきた…。
「三好先生!瑞穂に変なこと吹き込まないで下さい!クラス中にまー君との変な噂が広がったじゃないですかー!」
「あら、残念。今日の部活で真田くんとの濃密なプレーを観れると期待してたのに…。」
「やっぱりわかってて言ったんじゃないですかー!
駄目ですよ、まー君に『瑞穂の小さな胸のことを挑発させる』なんて!」
「だからってダーリンを使うのも駄目ですよ先生。あたし達は彼らに頼まれても断るようにタップリと『躾』しときましたから!
全くダーリンも真田くんも隙だらけで女心がわかってないんだから。そもそも責任は伊東兄妹でしょ!」
「主将、ごめんなさい。私が高坂先輩に言ったから…。でもお兄ちゃんを責めないで…。私もお兄ちゃんと高坂先輩がそんなのするなんて嫌。私がやりますから…。」
「そうよ、男にやらせようとするから変に誤解されるのよ。女同士の試合でも暴言、悪口が無いとも限らないし…。よし、ここは主将として親友として心を鬼して…。」
「いいえ中島さん。茉奈ちゃんや貴方よりも適任な女を私知ってるの。
三好先生、『彼女』の復帰はまだなんですか?」
「流石内藤さん、良いところに気付いたわね。偶然、昨日で彼女の特訓は終了したわ。
あら、噂をすれば…。今男子と喋っててこっちに向かってるわ。」
「三好先生、中島主将。ご無沙汰してます。私、山名理恵。三好道場を無事に卒業し、今日からサッカー部に復活しま~す!」
「理恵、久しぶり!待ってたわよ。」
「中島さんキャプテン就任おめでとうございます。
一年生のみんな宜しくお願いします。」
初対面の一年生から「キャー、可愛い!」
の後に
「…あのソレ…本物ですか?大きい…。」
「ヤダ、いきなり胸ばかり見てエッチな後輩達ですね~!なんか先生のトレーニングでウエストはくびれるし、大胸筋が鍛えられてまたバストアップしたみたい。
走るのに邪魔だからこの1ヶ月小さくなることばかり期待してたのに~。」
「山名さん、早速で悪いけど高坂さんから1vs1でディフェンスしてくれる?内藤さんが貴女に期待してるの。
どんな手段使ってでも止めてみなさい。
高坂さんが壁を破れるかは貴女にかかってるの。」
「あら、いきなりプレッシャーですね。いいですよ。今の私、飢えてますから。」