高坂は覚悟を決めて俺に向かってくる。
だがそれよりも問題は京子と俺の関係だ。
「京子、俺は高坂の想いは全て断る。
京子、お前だけをあいしてる。
ずっと二人でいよう。」
三好先生の居なくなった生徒会室で京子を抱き締めキスを交わす。
京子からも抱き締め返してくれ、キスに応じてくれる。
「…嬉しいよ、私幸せ。
でも…私…。」
「わかってる。『守りがい』があるから京子を好きなんじゃない!内藤京子は内藤京子のままだからこそ俺は愛しているんだ。」
言えた。中学以来、今こそ本心で京子に「愛してる」と言えた。
「でも私、まー君に頼ってばかりだし、嫉妬深いし、三好先生に言われたように変われてないのに…。私を選ぶのに早くないの?」
「確かに自分が変わることは必要だが、あれかこれかと選ぶことはもっと重要だ。
人は何を選択するかによって変わる。
変わらないままの自分達を維持しようとしたから俺は少なからず高坂を求めた。
そしてそんな中途半端な気持ちを山名さんに漬け込まれたんだ。
俺に後悔はない。
京子…。」
「瑞穂に恋してた?」
「少しは…。でないと付き合ったりはしなかったさ。でもそれ以上に気持ちは動かなかった。」
再びキスを交わしながらも京子はスカートをたくしあげ出した。
「じゃあ、約束。…証明してくなきゃヤだな…。もう、今ここで…いいから…さ…。」
優等生の京子が妖艶に変わる様に必死に衝動を抑え何とか京子を説得する。
「そ、それは駄目だ京子。
ちゃんと高坂に伝えてからでないと。
それに誰か来たらヤバイし、何より最初はきちんと…。」
「あら、ここは何よりも私達らしい場所だと思うんだけどなぁ?駄目?」
「だ、駄目だ京子!じゃ、じゃあ部活に行くから。
高坂が居たら気持ちを伝える。
居なかったら明日呼び出してでも伝えるから。」
殆ど逃げるようにして生徒会室を後にした。
肉体の反応は頭の命令を無視し過ぎていたが理性が勝った。
グラウンドに着くと今日も高坂の姿は無かったが、部活の終わり際に遂に姿を見せた。
高坂と言葉を交わす前に中島さんが俺に注意を促す。
「わかってるよね真田くん?
お願い、瑞穂にトラウマが残るような断り方だけはしないで!」
中島さんはわかっていた。高坂が姿を見せたら俺に気持ちを伝えるってことを。そして俺にその意思はないってことを。
「あと勿論、遊んで捨てるのも無しよ、真田くん?」