「ねぇ瑞穂、真田くんと何があったか知らないけど、もう3日も部活休んだんだからそろそろ出てきたら?
女子部員ももうすぐで人数揃うし、瑞穂がしっかりしてくれないと~」
中島はどれだけ武田と親しくなっても私と変わらずに接してくれている。
それが何よりも嬉しかった。
「中島、もし女子サッカー部が発足したら今までみたいに武田と過ごす時間が減るかもしれないがお前は平気なのか?」
思い切って聞いてみたが、暫くの沈黙の後、中島は大笑いした。
「何だ、瑞穂ったらそんな事で悩んでたんだ~?(笑)。うんうん、わかるよ、恵お姉さんは瑞穂ちゃんの気持ちよ~くわかるよ~(笑)。
念願の女子サッカー部が始動した途端に愛しの真田くんと離れたらそりゃ寂しいわよね~?
でもさ、どうせグラウンド兼用するんだし、永遠の別れってわけじゃないんだからそんなに考えることないんじゃない?」
本当に悩んでいるのはそればかりでは無く、京子の存在もあるのだが…。
…私はそれでも…真田との練習時間は何よりも宝物だ。
「ありがとう中島。部として認められたら中島が女子のキャプテンをしてくれないか?」
「えっ?あたしが?」
不意を突かれたように中島が驚く。
「私はやはり男子の練習も助言していきたいし、小菅や榎田達をもっと上手くさせたい!だから両方をしっかり監視するには女子の方はお前に率いてほしいんだ。」
う~んと考え込んだ中島は快諾した。
「いいよ、瑞穂のその想い立派だと思う。今、真田くんと内藤さんが必死に部の認可を交渉してくれてるから、始動したら私、頑張ってみる。」
ありがとう中島。いつも私のワガママに…。
「あっ、二人とも居てくれて良かったわ。島さん、こっちよ、女子サッカー部の高坂さんと中島さん。」
昼休みの教室に三好先生が一人の女子生徒を連れてきた。
「この子ウチのクラスの島さんなんだけど、女子サッカー部に入りたいって言うから連れてきたの。仲良くしてあげてね。
中島さん、武田くんに宜しくね。」
「はい、三好先生ありがとうございます。やった~10人目の部員よー!やったね瑞穂!」
「島です。中学は陸上で短距離やってました。三好先生と気軽にサッカーの雑談してたら勧めてくれて…。」
「三好先生って女子の相談何でも聞いてくれて人気あるよね~。」
「はい、私も三好相談室の常連なんですよ(笑)。」
この子への挨拶もそこそこに私は三好先生を追った。