1 自分で決めつけた本質を変えない為の別れ
2 相手側、もしくは第三者の明晰な結論を受け入れたくない為の別れ
3 自分に不足している知恵をそれ以上求めない為の別れ
4 相手側が既に別れの決断をしていることを見抜いたことによる別れ
5 その別れにより、自身の無責任さと不誠実さと別れられると思い込んだことによる別れ
6 相手側に自身の威厳、誇りを残しておきたいが為の別れ
とヤスパースは、自ら他者との交わりを断絶する場合の6つのパターンを例に挙げています。
読んでの通り、どれも誉めれた行為ではありません。
そこには「固執」がありますね。
「変えたくない自分」
が他者との別れの時ということをヤスパースは伝えたいのかもしれませんね。
作家の隆慶一郎先生は作品の中で
「赤心(せきしん)を推して腹中(ふくちゅう)となす」
という言葉を残しています。
赤心、つまり恥ずかしい自分の心を打ち明けてこそ、相手の心の中に信頼を置けると、説いています。
勿論ここには身の危険を感じて別れるなどはありません。
あくまで自己自身同士である者同士が別れる時に、自己自身ではない別れ方をヤスパースは例に挙げただけと思います。
注目すべきは5です。誰かと別れても、自分を放棄することは出来ないことをヤスパースは訴えています。