ソイトゲ10~真相、深層。 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「信じられないかもしれないが…。」
ミシェルが語り出した。

「桂木ケイくん、キミはこの二週間、裏の世界では『科学者を辞めてサラリーマンになったミシェル久我山』として有名人だったんだよ。」

「ミシェル、それは…。」

「ありす、彼はもうこっち側の人間だ!真相を知っていないと痛い目を見る!」
ミシェルは制止しようとしたありすを制した。
「ハイテクにはローテクとは言ったものだ。奴らはオレの流した偽情報に混乱したよ。まさか『他人のそら似』と言うシンプルな選択肢には気付かなかった!」

「奴らって『アリストテレス計画』の連中か?」

僕は背筋が寒くなって来た。
確かにもう、後戻り出来ない世界に踏み込んだのかもしれない。
「察しがいいな。その通り。奴らのおかげでオレ達は不安定な10年を過ごしてきた。
オレ達は狙われているんだ。」

「ちょっと待てよ。それは君の論文で解決してないのか?」
「6年前に確かに奴らに大打撃を与えられた。だが壊滅には至っていない。次の手は新薬だ。」

「新薬?」

「遺伝子治療の新薬の開発だ。だが薬の承認には約10年と言う長い年月を要する。未承認薬として流通するにも5年はかかる。
当然奴らは妨害してくる。」

「そこで僕が『無自覚な身代わり』をしてたってこと?」

「その通り。現代社会はプライバシーを簡単に暴けるが、簡単に捏造も出来るからな。

だから…キミは何も知らず『メイドとご主人様』を続けてれば良かったんだ。
『深入りするな』はキミの安全の為だったんだ。
そして唯一の誤算はキミ達が本気になったことだ。
…巻き込んで本当に済まない…。」
やっとミシェルが謝罪した。

成る程、瓜二つな僕は「目眩まし」として最適だったんだ。
「だが…。おかげでオレはその間、自由に闇で動け、政界、財界、司法に裏で圧力をかけることに成功したよ。一年がかりの仕事が二週間で解決したよ。
約束しよう。間もなく新薬は流通する。」

「やったじゃないミシェル!これでやっとお父さんの無念を果たせるね…。
ケイさん…。貴方を利用してごめんなさい…。
動機は不純だったけど…。好きなの!こんなボクが許されないのは知ってる。でも貴方が好き!」

「キミにありすを背負う覚悟が本当にあるなら仲間にるか?」
彼は呆れ気味に、そして諦め気味に言った。
「悪いけど…。僕は僕の現実と日常を守る!その延長でありすと添い遂げるって決めたんだ。」