
前回は日本型経営を支えたコンセプトとして「家」という概念があり、それに対応するように、終身雇用・年功序列・協調的労働組合が明文なき制度として生まれたことを述べました。
人事制度の目的は、適材適所の実現・モチベーションの最大化にあります。
そして、それを達成するための機能が7つあります。
①採用、②評価、③報酬、④異動・キャリアパス、⑤教育、⑥労務、⑦代謝です。
日本型経営は、高度成長・人口増加・低い経済水準・マニュアルレーバーという4つの条件の下に合理的に働いていましたが、これらの全ての条件が変化した今日では人事制度の変革が求められます。
そこで、上の人事制度の機能を日本型経営と求められる変革を比較して、それぞれまとめてみたいと思います。
①採用
日本型経営、そして今日でも、日本企業の多くは新卒一括採用を実施しています。
これは、「家」という概念に基づき、「家」に入る以上自分たちのやり方に従ってもらいたい、そのため余計な知識等は不要であるということから始まっています。
その代わり、必要な知識はOJTで学ぶというものです。
私も数年前に就活を経験したのですが、どうも違和感を感じました。
ほとんどの学生が同じ服装で同じイベントに参加し、似たようなエントリーシートを提出します。
受験勉強と同じですね。
その過程では、個人の能力・特性はあまりみられません。
もちろん、面接は数回ありますが、それだけで何がわかるのでしょうか。
過去に頑張ったことを聞く面接が多いですが、正直何の意味があるのかわかりません。
確かに学生時代から何かに取り組んでそれをアピールできることは良いことですから、それを評価するのは大事です。
しかし、人前でアピールすることができる程の経験をした学生なんてほんの一握りではないでしょうか?
それにもかかわらず、ほぼ全ての学生に同じ質問をしています。
そうなると、大きな経験のない学生は何とか話題を作ろうと、話を盛ったりします。
結局はしゃべることが上手な学生が評価されることになります。
もちろん、それはそれで一つの能力ですから、評価はすべきです。
問題は、それに焦点をあてすぎているのではないかということです。
面接のときにうまくいっても、仕事の土壇場で逃げてしまうような人もいます。
反対に、面接は苦手だがちゃんと考える力があり、苦しいことにも立ち向かえる人もいます。
こういうことは、数回の面接ではわかりません。
本来ならば、部門毎に欲しい人材像や能力が異なるので、一定期間インターン等を通して、じっくり判断すべきです。
そうすれば、企業は正確に学生の能力を把握することができ、学生も企業の内面を知ることができるため、入社後のミスマッチが解消されます。
これからの採用は、今までの同質・大量採用ではなく、非同質・複線型採用が求められています。
まず、非同質型とは、真っ白な状態の新卒を採用するのではなく、各部門に必要な人材を適切に把握し、その能力を持つ人材をピンポイントに採用することです。
どんな人材を雇っても似たような成果がでる労働集約型の時代は終わっています。
知識集約型の時代では、能力のある人とそうでない人の差は何百倍にも広がります。
そのため、必要な人材を適切に採用することが求められるのです。
次に、複線型というのは新卒にとらわれないということです。
例えば特定のマーケティングの能力がある人を5年間だけ雇いたいという場合、新卒ではこれに対応できません。
そもそも、能力がない上に期間後に辞めてもらうことが難しいです。
このような企業のニーズにも対応できるように、中途採用や短期間の採用等を可能とするべきです。
少し話がずれてしまいますが、このような多様な採用を可能にするためには社会制度も変化せざるを得ません。
終身雇用は社員にとっては安心かもしれませんが、定年まで人件費を支払う企業からすればどうしても採用が慎重になってしまいます。
そのため、多少業績が良くなっても大幅に採用を増加することには抵抗があるのではないでしょうか。
反対に、柔軟で多様な採用が可能になれば企業には大きなメリットがありますが、被雇用者は職業が安定しません。
日本では後者を重視したような制度になっています。
しかし、これがこれからも続けば企業の成長が鈍化し、企業・社員・国家全体が困ることになります。
やはり企業の活動を重視すべきではないでしょうか。
柔軟で多様な雇用を可能にし、その代わりそのデメリットは社会制度で解決するというのが良いのではないでしょうか。
仕事がなくても一定程度の生活はできるという金銭的保障があれば、わざわざ無理して働かなくともよいと考える人も多いはずです。
そして、余分な人員を抱えず、必要なときに必要なだけ人材を採用できれば、企業活動の自由度は大きく向上します。
このような観点からも、ベーシック・インカムが実現しても良いのではないかと思います。
もちろん、お金や価値観の問題はありますが、少なくともこういう議論は近いうちに出てくると思います。
そして、この他に、必要な能力の把握と人材の適正の評価がポイントになると思います。
制度として可能でも、この二つが間違っていれば結局意味がありません。
以前にも書きましたが、イノベーションを生むためにはそれを適切に評価できる上司が必要です。
まず評価する側の人材を育てるということを始めないといけません。
このように、採用だけをとってみても人事は企業の成果を左右する重要な部門になります。
そろそろ経団連がやってる新卒一括採用をやめたらいいのにと思いますが、すぐにはできない事情があるんですかね。
それとも一部の力のある企業のわがままなんでしょうか。
決定権は逃げ切り世代にありますが、そのしわ寄せは若い世代にくるので、もう少し若者のことを考えて決定してほしいですね。
②以降は明日以降書きます。
ちょっと長くなりそうです。