虚空の宇宙に浮かぶ地球には、幾重もの層がある。
大気、地殻、マントル、外核、内核。
ケイ素(岩石)を主成分とする地殻、溶岩からなるマントル、
そして核は鉄のニッケルの合金であると考えられている。
その層が互いに影響を及ぼしながら、
絶えず環境が変わる中で人類は生きている。
人類は大気に守られながら、地球から齎される鉱物を使って、
高度な文明を築き上げてきた。
普段、何気なく使っているハイテク機器にも、昨今では「レアメタル」と呼ばれる、
貴重な金属鉱物が使われていて、それなしの生活は考えられなくなっている。
PC、スマートフォンのようなハイテク機器を大量生産する為に、新興国でも
レアメタルの需要が急増しているが、一見、味も素気もないステンレス製の
調理器具、或いは工具にも高度な工学技術の粋を見る事が出来る。
また「チタン製瓦」という一見ローテクそうな建材も、
高度な技術の粋が集められて作られたものなのだ。
正に温故知新の技術の結晶と言えるだろう。
物質には「モース硬度」という硬さの基準があり、
モース硬度の高い物質ほど、ドリルや切削工具において有利だ。
モース硬度の低いアルミニウムは、
ハサミで軽く引っ掻いただけで傷付いてしまう。
「美味しんぼ」において純金製の鍋が登場する回があるが、
金は非常に重い上、アルミ以上に柔らかい金属なので、
取扱いには難があると思う。
ダイヤモンド
ダイヤモンドは知られているように、炭素からなる宝石で、
天然の中では最も硬い物質である。
4月の誕生石にもなっている。
1gあたり550万円と高価さは宝石の中では堂々の1位※。
但し、科学の進歩により人工的に合成出来るようになった。
人工的に作られた合成ダイヤモンドは、工業用に広く使われている。
ダイヤモンドはモース硬度が最高の10で、
摩耗や引っ掻きに対する強度が最も高い。
一方、物質の粘り強さや亀裂への抵抗を表す「靭性」は弱く、
衝撃に対しては脆い。
また炭素故に、火で燃えてしまうという弱点もある為、
超硬合金も金属が炭化する事でダイヤモンドに準ずる硬さとなるが、
靭性の小ささ故に割れ易いという弱点がある。
参考URL
※
http://karapaia.com/archives/52167467.html
ベリリウム
比重は1.85とアルミニウムよりも軽く、モース硬度は6.5の、
軽さと硬さを併せ持つレアメタル。
ベリリウムは緑柱石(ベリル)という鉱石から取られた名前で、
緑柱石はベリリウム、アルミニウム、ケイ素、炭素の結晶である。
不純物によってアクアマリンやエメラルドとなる。
銅に0.5-3%のベリリウムを加えたベリリウム銅は打楽器に使われ、
綺麗な音色が出る。
これは軽くヤング率(曲げ強度)の高いベリリウムの性質を活かしている。
ベリリウムの粉塵は猛毒なので、加工には難点がある。
アルミニウム
アルミ缶を代表として最も身近な金属。
アルミ缶のリサイクル率は約95%※1と高く、循環型社会の良い見本と言える。
断熱性が高く、電子レンジの赤外線も跳ね返してしまう。
この性質を利用し、魔法瓶の保温・保冷にも活用されている。
冷暖房の節約に応用すれば、地球温暖化を防ぐ鍵になるかも知れない。
また、アルミニウムの断熱性は宇宙服にも欠かせないものとなっている。
夏、太陽の照り付けるアスファルトが焼ける熱さになるが、
これは太陽の赤外線が電子レンジと同じように、アスファルトを温めているからだ。
空気のない宇宙空間ではこれが更に極端で、太陽が当たる面では数百℃、
当たっていない面は-180℃にもなる。
宇宙空間では、こうした過酷な環境から人体を守る為に、
14層からなる宇宙服を装着するが、うち7層がアルミで構成されている※2。
アルミ自体は軽く柔らかい金属だが、
酸化アルミニウムは優れた硬度を持っている。
酸化アルミニウムの結晶を「コランダム」と言い、
不純物としてクロムを含むとルビーに、鉄・チタンを含むとサファイアになる。
平たく言えば、ルビーもサファイアもアルミニウムの仲間なのだ。
参考URL
※1
http://www.jftc.or.jp/kids/eco-hint/recycling/approach05.html
※2
http://www.kami-kou.com/jirei/top/airin/
チタン
チタンはステンレス以上の耐食性を持ち、
鋼以上の強度持ちながら軽量な金属だ。
強度・軽さ・耐食性・耐熱性をバランス良く併せ持ち、鉱物資源としては
鉄に次いで豊富ながら、加工の難しさ故に
なかなか金属の表舞台に立てなかった。
最近では技術の進歩により、
寺院で風雨や陽射しにも劣化しないチタン瓦の導入が進んでいる。
従来のアルミ合金製瓦では耐用年数が40年余りなのに対し、
チタン瓦は1,500年なのだという。
浅草寺では5万7千枚の瓦をチタン瓦に葺き替える工事が進んでいる。
チタンは人工関節や人工骨にも使われ、
ニッケルと組み合わせると形状記憶合金になる。
形状記憶合金は人工筋肉の分野でも研究が進んでおり、
将来、本物のように動かせる義手や義足が生まれるかも知れない。
参考URL
https://internetcom.jp/201219/titanium-temple
コバルト
ビタミンB12の分子だったり、同位体のコバルト60は放射性物質だったりするが、
生活用途では合金や二次電池、青い染料に使われるレアメタル。
代表的な超硬合金は炭化タングステンにコバルトを混合したものである。
これは金属加工用の切削工具や、トンネルを掘るシールドマシンの先端に
取り付け、硬い岩盤を砕く為の刃に使用される。
コバルト自体のモース硬度はクロムより劣るが、
コバルトの合金はクロム同様腐食に強く、摩耗に対しても強いのだ。
また、自動車部品にも超硬合金は欠かせない。
クロムとモリブデンの合金はステンレスのように腐食しにくく、
人工関節に使われる
・コバルト60
コバルト60は兵器利用が恐れられている核燃料であるが、医療では癌などの
放射線治療に利用されている。
これは癌細胞を攻撃し、増殖を抑える為のものであり、ジャガイモの発芽防止にも
同じ理屈でコバルト60が照射されている。
当然ながら、正常な細胞も傷付けられてしまう。
ステンレス
ステンレスは正式名称をステンレス鋼と言い、定義はクロムを10.5%以上含む、
半分以上が鉄の合金である。
代表的なオーステナイト系という種類は、
クロムの他に10%前後のニッケルが使われる。
クロムはモース硬度8.5の、硬さと耐食性を併せ持つレアメタルで、
メッキの需要が多い。
ニッケルも価格が高騰しており、
国内での備蓄・循環が重要になっていると言える。
幸い、こうしたステンレス素材は、
廃材そのものがほぼ100%リサイクル出来る優れものだ。
リサイクル率も80%以上を実現しており、環境にも優しい金属の優等生と言える。
日本工業規格(JIS)では頭にSUSが付き、色んな種類がある。
オーステナイト系では、クロムとニッケルの他に、
マンガンやモリブデンが使われるものもある。
ステンレスはその名の通り、錆びない鋼で、
腐食に対抗する為にバリア(被膜)を形成する。
更に、そのバリアが破られてもクロムの働きによって修復される為、
錆びる事がない。
ニッケルは錆の進行を遅らせる効果があり、
モリブデンは錆を抑制する効果がある。
また、ニッケルは靭性を増加させる効果があり、マンガンも同様。
腐食がなく長寿でメンテナンスもフリーな、夢のような素材がステンレスなのだ。
参考URL
https://nssc.nssmc.com/basic/kiso/tu01.html
http://www.susjis.info/etc/tenka.html
鉄鋼
地殻中にも多く存在し、鉱物資源ではアルミニウムに次いで多い。
ミネラルの一つでもある。
超高純度の鉄は錆びないという特性を持つが、
実生活ではお目に掛かれない代物だ。
鉄の原料となる鉄鉱石は酸化鉄という状態で存在し、
それを精製する事で鉄を得られる。
しかし全く不純物のない鉄は、最先端の技術でもなかなか作り出せないようだ。
鉄の合金を鋼と言い、鉄と炭素を合成した炭素鋼(普通鋼)、
鉄と金属を合成した合金鋼がある。
合金鋼は性能を高める為に、ニッケル、クロム、モリブデン、
マンガンが添加されるが、
合金鋼=ステンレスという訳ではなく、
ステンレスは合金鋼の小分類「SUS材」と同義だ。
一概に鋼と言っても、用途によって実に多種多様なものが存在する。
参考URL
http://www.keyence.co.jp/keisokuki/special/recoder/heat_treatment/basic/copper/
窓ガラス
ガラスは様々な種類があるが、窓ガラスなどで使われる一般的なガラスは、
ソーダ石灰ガラスと呼ばれる。
一般的なものは75%のシリカ(二酸化ケイ素)と、15%のソーダ(炭酸ナトリウム)と
10%の酸化カルシウムの混合物。
主成分シリカは石英=水晶の成分であるが、
砂にも「珪砂」として自然に含まれており、
全て石や砂から取り出してガラスを作っている。
ガラスの歴史は古く、古代の中東では香料や香水を入れておく瓶や、
装飾品に既に用いられていた。
12世紀になりゴシック時代に入ると、教会のステンドグラスに本格的に
使われるようになったが、どの時代も一貫して高価だった。
中世では教会の他に、裕福な家や施設などで使われていたが、
現在の窓ガラスとは違い、ガラスをフラスコ状にして、
その瓶底を何枚も貼り付けたものだった。
しかし庶民には高嶺の花で、夏はドアに穴を開け、
ガラスの代わりに羊の皮を用いていた。
冬は穴を塞ぐ為、昼間でも家の中は真っ暗だった。
「ドラえもん」でもジャイアンの先祖が、
のび太から貰ったビー玉(ぎやまん)を元手に
商売を始め、商人として成功するシーンがある。
当時の日本にはガラスの精錬技術はなかった為、
ガラスは宝石と同じ価値があったのだ。
参考URL
https://kids.gakken.co.jp/kagaku/110ban/text/1164.html
http://sinba.seesaa.net/article/4314869.html
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