紹介されたのは、近所の大学病院。

受付を済ませ、名前を呼ばれ、診察室へ入る。

医師は紹介状とMRIの画像を見ながら静かに言いました。


「追加で、カテーテル検査とSPECT検査を行いましょう。日程を調整します。」


淡々と説明される言葉の中に、「脳の血管の状態を詳しく調べる必要がある」という重みが隠されていました。

一瞬、呼吸が止まった気がしました。


――大変だ。

――私、どうなっちゃうんだろう。


家に帰ってからも、不安はどんどん膨らんでいきます。

検査までの日々は、長く、重く、胸を締めつけました。


夜になると、頭の中で最悪のシナリオが何度も再生されます。

「もしも倒れたら」「もしも、もう目が覚めなかったら」

そんな考えが止められず、布団の中で目を開けたまま朝を迎えることもありました。


ある日、不安が頂点を超え、呼吸がうまくできなくなりました。

胸がぎゅっと締め付けられ、手足がしびれ、頭が真っ白になる。

――過呼吸。

人生で初めて、自分で119番を押しました。

サイレンの音が遠くで近づいてくる間、「こんなはずじゃなかった」と涙がこぼれました。


一人暮らしの部屋に響く救急隊の足音が、現実を突きつけてきました。