久しぶりにお芝居を見てきた。
宅間孝行率いる東京セレソンデラックスが演じるは『くちづけ』。
フィットネス関連の僕のお客さんが劇団を協力しておりお誘いを受けたのがきっかけだ。
簡単にあらすじを記す。
知的障害者が共同生活を営むグループハウス「ひまわり荘」。ある日、一時一世を風靡した漫画家「愛情いっぽん」が知的障害を持つ娘のマコを連れてやってくる。
マコは既にひまわり荘で暮らす同じく障害をもつ「うーやん」と出会った。二人は徐々に惹かれあう。
愛情いっぽんは住み込みで娘のマコを支えるが、彼の身体は病に蝕まれていた。余命いくばくもないいっぽんは娘を自立させるよう決意するが…。
幾重にも現実の問題が嫌でも突き出される。健常者が無意識で抱く知的障害者への偏見や差別。採算が厳しいグループハウスの経営。彼らが安らかに過ごせる環境は限られていた。
内容はどう考えたって重い話。それでも生の舞台を目の前にすると、そんな考えはほとんど抱く余地はなかった。どんな暗い話題も純粋に生きるエネルギーが笑いに変えてくれる。相手を思いやる温かいものがじわじわと伝わってきた。
結末には、視界がぼやけるくらい胸が締め付けられた。
終幕後の演者の挨拶。
マコを演じた加藤貴子さんは、言葉に詰まりながら話す。
『わたしたちは、一回一回の舞台を本当に丁寧に細かく演じています。先ほどいただいた温かい拍手に勇気をもらいました。本日は本当にありがとうございました』。
自分の膝下になるくらい深く深くお辞儀をする。
拍手が鳴りやまなかった。
僕の手も、自然と手のひらを強く叩いていた。舞台の役者と観客が同じ高揚感を完全に共有していた。
