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1973年、47歳で聴覚を失ったゴヤが音のな
い世界で創作を続ける営みは、自分の中の
狂気に向き合うことではなかったか。ゴヤ
「ブルボン=ブラガンサ家の王子、ドン.セ
バスチャン.マリー.ガブリエル」という記
事です。肖像画の名手であり、多くの王族
や貴族、政治家、女たちが彼の前に立った
。ゴヤは外見の写実を超えた内面に迫る
描写に、彼の真骨頂がある。地平近くでは
赤く重ったるく映ったが、空を昇につれて
冴え冴えしく輝く。今年の名月である。
月見ればちぢにものこそ悲しけれ......とい
う百人一首の歌が、感傷とは遠い心情だ
が、口にのぼり、風が運ぶ金木犀の濃く
甘い香りが、残暑と長雨から解放された
秋をいっそう感じた。魅入られたような
不気味な作品を残した。月のどこか妖し
い光からこんなことを連想した。古代ギリ
シャのプラトンは狂気を、神に憑かれて規
則から離れた創造性を結び付けており、月
は、太陽に対して姿を変えることで不吉な
存在、さらに狂気に結びつけられてきた
つづく(2020.10.29記事)