『アトリエの春』シナリオ No.7 | パク・ヨンウ☆だぁ~い好き(*^^*)  

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パク・ヨンウ氏にぞっこんの
ハギのブログです。
出演作品を通して、
彼の魅力を徹底分析しましょ♪       

60.ミンギョンの家 (夜)


鼻歌を歌いながら室内に蚊取り線香を焚いているミンギョン。

顔を洗ったのか、グンスが手拭を首にかけ、部屋に入ってきて腰を下ろす。

なぜかしら気分が良さそうに見えるミンギョンをにらみつけるグンス。床に手をついて


グンス (真面目な顔をして) ちょっとここに来て座れ。

ミンギョン (座って)...?

グンス 金をちょっと借りて来い。

ミンギョン (驚いて) このまえ持って行ったお金を、もう全部使こうたん?

グンス (かっとして) 誰が全部使こうた言うた? 1万ウォンばかし要るんや。

ミンギョン (驚いて) 何やて? そんな大金なんで?

グンス 男グンス、いつまでもこんな暮らししてられるわけあらへんやろ。

ミンギョン ...

グンス ヨンドク村に使えそうな雑貨屋が3万ウォンで売りに出たんや。いったん1万ウォンの契約金さえ払ろたら残りはちょっとずつ返すのでええらしい。向こうの家に上手いこと言うて、前借りしてこい。

ミンギョン (断固として) あかん! もう、もらうもんは全部もろた...

グンス (怒りをこらえて) 何やて? あかん、やて? おまえ、今、あかんて言うたんか?!

ミンギョン そうと... ちごて...

グンス (皮肉るように) おまえ、あの先生の家で何の仕事してるんや?

ミンギョン (しどろもどろ) な、何て... 洗濯とか掃除とかの雑用や...

グンス (ミンギョンが慌てるとあてこするように) ほんまにか?

ミンギョン (顔が赤らむ) ほんまもなにも... ほな、私が何の仕事する思うの?

グンス (責め立てるように) 雑用ぐらいで、なんであんな大金がもらえるんやて聞いてるねん。くそ!

ミンギョン 仕事がいっぱいあるしや。それに、何か月分も前借りしたお金やからや...

グンス (怒って) そやから、何年分かを前借りして来い、言うこっちゃ。

  (ミンギョンの胸ぐらをつかんで) なんや? 俺が行って頼んだろか?


息が詰まりそうになるミンギョン。心を落ち着けて


ミンギョン わ、わたしが... 明日行って頼んでみるさかい... 晩御飯の支度、するわ。


困り果てて部屋を出てしまうミンギョン。


グンス 2回は言わんぞ...



61.ジュングの家、書斎 (夜)


往診に来た60代のホン医師。ジュングの腕から採血している。


ホン医師 最近、無理してないだろうな?

ジュング (ホン医師を見て) ... はい。


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採決したガラス管を見ていたホン医師、答えたジュングをじっと見る。

ガラス管を往診鞄に納め、聴診器で診察する。

ぼんやりと天井を見ながら横になっているジュング。

聴診器を片付け、脈を診るようにジュングの手首をつかむホン医師。


ホン医師 くどくど言うつもりはないが... わざわざ病状を悪化させるようなことはするな。


天井を見ていたジュング、ホン医師の方に顔を向ける。


ホン医師 君は... 最高の彫刻家だったし、今でも、そうだ... 欲を出さず、休み休み、趣味として続けるぐらいではだめなのか?

ジュング 先生...

ホン医師 せっかく来たんだから、栄養剤も1本打ってやるよ。



62.ジュングの家、居間 (夜)


電気が停まったように真っ暗な居間。ろうそくの灯りに揺ら揺らと映えるホン医師の顔。


ホン医師 ジョンスク、君が言うように、全般的に気力が戻ったようだ。何だろう... また作業を始めたせいか...


ろうそくの灯りの中に入ってきて、ホッと息をつくジョンスク。表情が明るい。


ジョンスク 少し前には、車も動かしたのよ。

ホン医師 (言葉を選んで) だがジュングには、そうは言わなかったよ。ここで無理したら、どうなると思う?

ジョンスク ありがとうございます。

ホン医師 どうして自分がこんな病気に罹ったんだと、酒を浴びるほど飲んで無茶をしたから身体に麻痺が出て... それでこんな田舎までやって来たんだから、とにかく気をつけにゃ...


ジョンスクはいたたまれないような申し訳ないような気持ちで首をうなだれる。


ホン医師 麻痺なんて問題じゃないんだ。わかってるだろう?

ジョンスク だけど... こんなに回復したのは、ここへきて初めてです。だから私も...

ホン医師 とにかく、今日採決したから、検査の結果が出たら確かなところがわかるだろう..


この時、パッと電気が点く。突然明るくなる室内。

振り返ると、廊下の奥で分電盤のヒューズを取り換えるオおじさん。


オおじさん さあ、直りましたよ。


明るくなった室内を見回すホン医師。


ホン医師 (片手を上げて) じゃあ、わしは帰るよ。


往診鞄をさげて居間から出て行く医師。



63.浦項駅 (昼)


静かな汽車の中。網棚に荷物を上げるキョンサンデク。ジョンスクの向かいに座る。


キョンサンデク 早いもんですねぇ。ソウルの旦那様の上のお子さんが、もうお嫁に行かはるとは。

ジョンスク (笑って頷く)...

キョンサンデク 家の事は心配なさらんと、行ってらっしゃいまし。


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ひとりふたりと乗客が乗り込む。

出発を知らせるアナウンスに席を立つキョンサンデク。


ジョンスク あの... キョンサンデク。

キョンサンデク (振り返って) はい?

ジョンスク ミンギョンさんが頼んできたお金、今日中に届けてあげてね。

キョンサンデク (にこやかに) はい。わかってます...


信頼のおけるキョンサンデクに微笑みかけるジョンスク。キョンサンデクは列車から下りる。


(インサート) プラットフォームから出て行く列車。



64.汽車の中 (昼)


村から遠ざかって行く風景が、車窓の外に流れる。

ジョンスク、心配の尽きない表情で窓の外を見ている。

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(インサート) 門の外でゴム跳び遊びをしているソンイとヒャンスク。その向こうに走り去る列車。



65.アトリエの入り口 (昼)


アトリエに向かうミンギョン。入口のベンチに座っているジュングに気づく。


ミンギョン 先生...

ジュング 今日は、作業が出来そうにないよ。

ミンギョン どうしたんですか?

ジュング 困ったことに、家に... 鍵を置いてきてしまった。

ミンギョン あらまぁ...


同時にため息をつく二人。


(ジャンプ)
春シナリオ_65

ジュング 続けられそうかい?

ミンギョン ええ。この頃... 幸せです。先生。


ジュングがミンギョンをじっとみつめる。


ミンギョン 私がやってることなんか、大したことやないですけど... なんか、すごい価値のある仕事をしてるみたいで...

ジュング (微笑んで)...

ミンギョン (真面目な顔になって) 先生と奥様のおかげで... 幸せになりたいと思うようになりました。子供のことも、一生懸命... しっかり育てようって。

ジュング 君の話はとても... 嬉しく響くよ。


頷きながら微笑んでみせるジュング。


ジュング どうだい? ご主人は... 最近もよく酒を飲むのか?

ミンギョン はい... (表情が暗くなって) じつは...

ジュング (ミンギョンをみつめる)...?



66.ミンギョンの家 (夜、フラッシュバック)


夫の遺品と勲章を受け取って涙を流すミンギョン。妊娠しているのでお腹が大きい。


ミンギョン(O.S) 子どもらの父親が戦死したいう報せを受けてひと月ほど経った頃、同じ部隊にいたんや言うて訪ねてきたんです.. 夫は、死の間際に、私らのこと面倒見てやってくれって頼んでいったって...


こざっぱりした身なりのグンス。ミンギョンを穴の開くほどみつめている。


ミンギョンに挨拶をして帰って行くグンスの姿。

部屋にひとり残り、夫の遺品を握りしめながら眠ったソンイに目をやるミンギョンの姿。


(ジャンプ)


再び、ミンギョンの家の庭に戻ってきたグンスの姿。

戸を開けたミンギョン、何事かとグンスを見る。


ミンギョン なんで、戻って来はったんですか?

グンス その.. 最終列車を逃してしもて... 乗れんかって... 村の宿屋に部屋ものうて...

ミンギョン いや、どうしましょ... うちも部屋ひとつしかないさかい...

グンス 台所でちょっと横にならしてもろたら、始発に合わせて帰ります。姉さんが構へん言うてくれはったら...


どうにもできず困り果てるミンギョン。


(ジャンプ)


部屋ではソンイが眠っている。ソンイを見て、その横に寝ていたグンスがこっそりと戸を開けて台所に入っていく。

台所にござを敷いて眠っているミンギョンに静かに近づくグンス。ミンギョンの胸をいきなりつかむ。

眠りから覚めたミンギョンが反抗すると、口を押さえつけ、スカートの中に手を入れる。


グンス (パンティーを引きおろし、鼻息荒く吐き出すように) 兄さんがよろしぅ頼むて言うたんや...


ミンギョンは必死に抵抗するが、グンスの腕力に負けてしまう。


ミンギョン(O.S) いつのまにか... 一緒に暮らすようになったんです...


cut to #65


目頭が熱くなる。悲しそうな顔でミンギョンを見ていたジュングが、重い口を開く。


ジュング 今まで、僕も... 君にとっては暴君だったね...


ジュングの言葉に胸が熱くなり、首を横にふるミンギョン。


ミンギョン いいえ... 絶対そんなことありません... 先生...


ミンギョンがジュングの方に顔を向ける。


ミンギョン 先生は目つきが違わはります...


胸が痛むという表情でミンギョンを見るジュング。



67.ヨンドク埠頭 (夜)


漁船が並んで停泊している入り江。

そのそばにある小さな倉庫から灯りが漏れている。



68.大型の倉庫の前/中 (夜)


門の前でたばこをくわえる友人1と友人2.


友人2 完全にすっからかんや。兄貴、他の奴らもみんなすってしもたみたいでっせ。

友人1 どうってことないわ。今度取り返したらええ。

友人2 兄貴! わしらヨンドクまで来たんやさかい... 残りの金でカニでも食うて帰りまっか?

友人1 (友人2の後頭部をはたいて) おまえが食え。


その時、慌てて飛び出してくる友人3,4


友人3 グンスが! ごっつう賭けとるで! ごっついんや!

友人2 誰とや?

友人4 木浦の... レイバン掛けた奴、おるやろ?


急いで中に戻っていく友人たち。


掛け金が山となって積まれているテーブルに、赤黒く上気した顔のグンスが座り最後の牌を取る。

グンスの向かいにはレイバンのサングラスを掛けた男、牌を取るとみせつけるように持ち金全部を賭ける。

驚くグンス。傲慢な態度でグンスを見下すレイバン。


春シナリオ_68

レイバン へっ、こいつ。完全にびびってやがるぜ...


緊張した雰囲気を破ってぬっと顔を出し、レイバンの灰皿を交換していく若い青年。チップを渡すレイバン。


レイバン ひっくり返してしまうか...


掛け金を腕で引き寄せるレイバン。


グンス 見てろ、コン畜生!

レイバン (たじろいで) びっくりするやんけ。


レイバンをにらみつけるグンス。グンスが山を成している自分の金に手をやる。

そんなグンスの手を掴む友人1.


友人1 グンス、おまえ、もっかいよう考えろ。

友人4 そや、もう十分儲けたやないか。


不安な表情で友人を見るグンス。


友人2 いや、こいつ、どう見たってはったりや。な!せっかくや、全部賭けたれ!

グンス くそったれ。人生どうせ博打や。


緊張した表情で金を前に押し出すグンス。生唾をゴクリと飲み込む。

グンスを見て、あざけるように笑うレイバン。サングラスを外して、


レイバン さあどや、見てみぃ!



69.ジュングの家の前 (朝)


アトリエに向かおうと門を出たミンギョンについて出てきたソンイ。


春シナリオ_69

ソンイ お母ちゃん...

ミンギョン どうしたん?

ソンイ お父ちゃんがおらへんし嬉しいわ。お父ちゃんなんかおらんようになってしもたらええのに。


歩みを止めて、じっとソンイを見るミンギョン。


ミンギョン そんなこと、言うたらあかん!

ソンイ なんで?

ミンギョン そんなこと考えたら... 生きていくのがしんどなる。わかったか?(大きな声で) わかったか?!


ミンギョン、返事をしないソンイを引っ張って家の前まで戻り...

そこまでされてやっと、不服そうに口を開くソンイ。


ソンイ ...わかった。

ミンギョン (なだめるように) 思うてもあかんで! キジュのこと、見てやってや...


(インサート)


人気のない電柱の立つ道を歩いていく、寂しそうなミンギョンの背中。



( No.8へつづく )