いよいよ、ラスト。クライマックスです!
「ゆっくりと眠くなるわ。心配しないで。私の赤ちゃん、天国にいかなきゃ」
少しずつ眠気に襲われるスヨン。
そこへ、チョンホが先に到着しました。
木造の古い建物は、人が歩くとミシミシと音を立てます。
ユジンも、誰かが天使の家に侵入してきたことに気づき、慌てて積み上げた積み木を倒してしまいました。
チョンホも、建物の中の人の気配に気づいたようです。
こちらは班長と、後輩のチェ刑事たちが乗った車。
「チョン・ユジンも福祉館で里親の斡旋を受けた子どもでした。17歳のときに養女になっています。
大学生のとき2年間の受診記録があります」
「受診記録? 何の?」
別の車を運転中のキム刑事が訊き返しました。
「精神科です。養父から継続的に性的暴行を受けていたようです。それが原因で家出したみたいですが」
「おい、気をつけろ。一人で動くなよ」と班長が釘を刺しますが、
電話を切ったキム刑事は車のアクセルを踏み込みました。
眠りつつあるスヨンをみつけたチョンホ。
後ろから「汚い奴め!」とユジンに襲われます。
抵抗して突き飛ばしたユジンが転んだ先にはストーブが!
それが倒れて建物が燃え始めてしまいました。
スヨンを抱きかかえて脱出しようとするチョンホの行く手をユジンが阻みます。
「スヨンは君の子どもじゃない」とチョンホが諭しますが、ユジンは聞いていません。
「パパ、子どもを返して。お願い、やめて・・・」と啜り泣きを始めたユジン。
チョンホには、ユジンの過去が見えました。
生まれたばかりの赤ん坊を抱く男の姿。
その様子を、扉の陰からにらみつけ、「汚い・・」とつぶやくユジン。
泣き叫ぶ赤ん坊。
カメラは "今の" ユジン、そしてスヨンを映します。
ユジンの意識の中で、泣き叫ぶ赤ん坊とチョンホに抱かれたスヨンが重なっているようです。
「汚い奴! 私の赤ちゃんを!!」と叫んで、ユジンはチョンホの脇腹を刺しました。
「スヨン、早く逃げろ!」とチョンホが叫ぶと、ユジンは
「だめよ。ママと一緒に行かなきゃ。(ひとりで)行っちゃだめ」と泣き叫びます。
号泣しながらチョンホともみあうユジンに、再び過去の映像が重なります。
男を刺して、その手から赤ん坊を奪い取り、シャワー室に連れていったユジン。
「ママが洗ってあげる。きれいに洗ってあげる」
泣きながら赤ん坊を浴槽につけて・・・
「もう、終わったんだよ」 慰めようとするチョンホに、
「いいえ、まだ終わっていないわ」と、後ずさりしながら炎の中に消えたユジン。。。
チョンホの言うとおり、逃げようとしたスヨンですが、前が見えず進めません。
「おじさん、前が見えないの。怖いわ」
傷ついた身体で、スヨンを抱いて逃げ出そうとするチョンホですが、火の回りが早く、焼け落ちた柱の下敷きになってしまいました。
建物が燃えていることに驚きますが、ガラスを叩き割って中に。
間一髪のところで、壁(?)がチョンホとスヨンの上に倒れ込むのを支えました。
「チョンホさん、大丈夫か?」
チョンホの足の上に倒れ落ちた柱を動かそうとしますが、ビクともしません。
「刑事さん、時間がありません」と訴えるチョンホ。
確かに火の回りは早く、このままでは3人とも焼け死んでしまいます。
「すぐに戻ってくるから、それまでがんばれ」と言い残して、スヨンを連れ出すキム刑事。
チョンホは、キム刑事が戻って来られるはずのないことを知っています。
消防士たちがチョンホの遺体を取り囲んで話しています。
「こんな格好の仏さんは初めてだよ。両手でしっかりと自分の目を覆ってさ」
チョンホは、スヨンに移植してやるための角膜を守ろうとしたのでした・・・
チョンホの想いに気づいてすすり泣くキム刑事。心の優しい刑事さんです。
季節も春を迎えつつあるような様子。
キム刑事とスヨンが、チョンホのお墓参りにきました。
「スヨンが来てくれて、おじさんもきっとよろこんでいるよ」
「鳥の声、風の音、とっても素敵だね。おじさんもきっと聞いているだろうね」と話しかけたキム刑事。
「おじさんは、耳が聞こえないの。子どもの頃の交通事故が原因で聞こえなくなったんだって。
でも、目で、心で、人と話すことができるんですって」
公園のベンチで、チョンホがスヨンに教えた秘密とは、このことだったようです。
「見えていることがらでも、私たちは見落とすことがよくあります」と言ったチョンホの言葉を思い出す刑事。
高校生のミンヒと、大人になったチョンホが、あの、高校の屋上で話しています。
「あなたといると気持ちがとてもラクでいいわ。心配事も消えるの」とミンヒ。
「それは、おまえが僕のことを大好きだからだよ」 穏やかに答えるチョンホ。
「どうしてそんなことわかるのよ。聞こえもしないくせに」