イヴァン・レンドルがいかにアンディ・マレーを真のチャンピオンに変えたか | マレー・ファン@ラブテニスワールド

マレー・ファン@ラブテニスワールド

英国テニス・ナンバーワン選手のアンディ・マレーを応援しながら、
ロンドンでの暮らしを綴るブログです♪
マレーがついに2012年ロンドン五輪で金&銀メダリストとなりました。
一緒に応援してくださった皆様、本当にありがとうございました!


今日はマレーとレンドルの関係について焦点を当てて
いくつもりですが、その前に・・・

マレーがグランドスラム優勝するまで、実はこのブログで
書くのをぐっとこらえていたことがあります。

それは、イヴァン・レンドルがアンディ・マレーのコーチに
任命されたあと、マレーの才能に対する懐疑派たち、
そしてレンドルの元ライバルたちから寄せられた意地悪(?)
なコメントについて。

コーチの経験が一度もないレンドルのコーチとしての
手腕を疑う人々が、いかに多かったことか・・・

一番忘れられないのは、レンドル任命直後の
2012年全豪オープンでのジム・クーリェの態度。

マレーの第一試合後、クーリエが会場でマレーに
インタビューをしたときのことを覚えていますでしょうか?
なんと6分半と言う、試合後では異例の長さのインタビューでした。

マレー・ファン@ラブテニスワールド-全豪クーリエインタビュー

もちろんインタビューの焦点は、誰もが興味ある
「マレーの新コーチのレンドル」についてでしたが、
このインタビューの最中、クーリエはレンドルへの
個人的感情を隠せない状態。

クーリエはレンドルに話題を変えた後、すかさず

「僕は一度も彼を倒せたことがなかったけどね。あの野郎」

と、冗談だか本気なのだか、マレー本人に向かって
コーチを野郎呼ばわりする失礼な発言。

この時の会場の雰囲気は和やかで、もちろん観客は
クーリエの毒舌ジョークと受け取り失笑していましたが、
son of a gun(あの野郎、あん畜生』、つまりは罵り言葉です。

いくら現役時代同期だったからとはいえ、マレーの前で
この発言は・・・(汗

ラッキーなことに、この時すでにレンドルはさっさと会場を
去っていました。

この後もクーリエの『レンドルへの個人的感情』が
インタビュー中に勃発。

例えば

「15年もサーキットから遠ざかっていたのに、
 なぜ今頃になって彼が戻ってくる気になったのか?」


と、マレー自身に聞くべき内容ではない質問をしたり、
マレーがレンドルのユーモアのセンスについて語ると、

「一体同じ人の話をしているのかい?
 僕が知ってるレンドルとはまったく違うね。
 確かに面白い性格だけど、はははという面白さではなく
 変わっていた、というべきだね」


と、レンドルのパーソナリティーについて彼の個人的意見。
誰もあなたになんか聞いてませんよ!といいたくなるくらい
アンプロフェッショナルなこの態度。

さらにクーリエは、

「本当に彼にユーモアがあるのなら、どんなジョークを
 言うのか教えてくれ」


とマレーに迫りました。

マレーはすかさず「人前でいえるような内容じゃないよ」
と切り返し、会場は笑いに包まれたのですが・・・

ただこれは観客の前でですからね。

これには本当にびっくりでした。

普通に見ていたら、クーリエが毒舌ジョークで
昔のライバルについてたまっていた鬱憤をはらした、とも
取れなくはなかったかもしれません。

マスコミからのバッシングになれているマレーだからこそ
クーリエの『レンドルの人格批判』めいた意地悪なコメントも
『昔のライバルだから仕方ない』ということで、
ジョークまじりでうまく収めたと思います。

でも、あのインタビューのクーリエの態度は、
ファンとしては笑って済ませられないものでした。

というのも、その前にクーリエはオーストラリアのテレビ番組で、
「レンドルはお金目当てでマレーのコーチを引き受けた」
レンドルの動機に泥を塗るような発言をしたからです。

その理由は「怪我をして保険をもらっていたから
テニスでお金を稼ぐことができず、やっとほとぼりが冷めて
再び『報酬目当て』で戻ってきたんだろう」
とのこと。

しかもレンドルを『Mecenary』(お金で雇われる傭兵)
つまり金銭目当ての「マレーの雇われ人」呼ばわり!

いくらなんでも、この言葉は伝説のチャンピオン、
そしてマレーにとっても失礼ではありませんか!

このクーリエの中傷に対し、レンドルは静かに

「何の事実も根拠もない憶測だ。
 クーリエはこんな発言をするべきではない」


と言っただけで、クーリエの宣戦布告には
応じませんでした。

これでレンドルが反応してマスコミで大騒ぎになったら、
それこそクーリエの思う壺ですからね。

このことについて、ずっと書かなかったのは、

いつかきっと、
ぐう~っ、クーリエ、
君が間違っていた!!!


と言える日が来るはず、とぐっと堪えていたからです。

そしてついにこの日が来ました~っ(涙

あれから1年半。レンドルという偉大なコーチと出会い、
マレーは4度のグランドスラム決勝進出、五輪優勝、
グランドスラム優勝2度を遂げました。

マレー・ファン@ラブテニスワールド-レンドルとマレートロフィー
(この写真は永久保存版・涙)

レンドルの実績はいまや他のコーチの羨望の的ですね。
誰もが一度は、自分の教え子をチャンピオンに育て上げたいと
願っているはずです。

現テニス界で、最も恐れられる黄金カップルとなった今、
クーリエのように「懐疑的発言」をした人々は、
いまや穴に入りたい気持ちでいるかもしれません。

でもクーリエの態度を理解するには、レンドルの現役時代に
さかのぼる必要があると思います。

レンドルの全盛期、彼の存在はアメリカのテニスの
プライドをことごとく否定するものでもありました。

ジミー・コナーズ、ジョン・マッケンロー、ジム・クーリエ、
ブラッド・ギルバート、アンドレ・アガシ
と、アメリカの
テニスヒーローたちがことごとくレンドルの足元に屈しました。
唯一勝敗でレンドルをリードするのはピート・サンプラスのみ。

試合勝数が、レンドルの凄さを物語っています。

なんと、

レンドル45勝-アメリカ勢22勝。

つまりアメリカ勢が総出でレンドルに挑んだものの、
レンドルが過半数を制覇した、というわけです。

(ちなみに前述のジム・クーリエは、4度レンドルに挑戦し、
4度ともストレート負けをしています・・・)

またレンドルがチェコ共産国出身ということもあり、冷戦期の影響で、
彼に負けることがアメリカのプライドを傷つけました。

当時は米選手の黄金テニス時代
レンドルが『最も嫌われるチャンピオン』と言われたのも
納得がいかなくもありませんね。

以前も書きましたが、マレーは英国の旗を掲げて
テニスをしているにもかかわらず、常に孤独な存在でした。

『勝てば英国人、負ければスコットランド人』
というアンフェアなプレッシャーと戦うマレー。

テニス界で孤独だった異端児のレンドルこそが
マレーのよき理解者となったのも、当然のことと言えます。

また、レンドルがマレーをコーチする気持ちになったのは、
単にマレーの才能を信じただけではありません。

それまでレンドルは、多くのコーチの誘いを断ってきましたが、
マレーなら、レンドルが現役時代に行なった
厳しいトレーニングにもついてこれる、と信じたからです。

現代のテニス選手たちが、厳しいダイエットを行い、
ジムでのトレーニングをするなど、コート以外の場所で
コンディション作りに重心を置くのは、いまや当たり前。

こういった科学的な『コンディション強化』を男子テニス界に
取り入れたのは、もちろんレンドルです。

他の選手が重要視してきた『備わった才能』強化だけでなく、
レンドルは計算されたトレーニングや食事療法に目を向けました。

これが現代のテニスに大きな影響を与えたというわけです。

マレーはレンドルと出会う前から、同じくコンディション作りに励み
冬のオフシーズン中はマイアミで猛トレーニング。

マレー・ファン@ラブテニスワールド-マレートレーニング風景1

このマレーの『勝つための努力を惜しまない態度』も、レンドルが
コーチを引き受ける大きな要素となりました。

数年前まで、ジョコヴィッチとマレーは同い年で似たような体格。
ナダルとフェデラーの横に立つと、やせっぽちな若造たちという
感じでしたね。

マレー・ファン@ラブテニスワールド-トップ4
(2011年のトップ4たち)

マレー・ファン@ラブテニスワールド-痩せていたころのマレーとジョコヴィッチ
(痩せていた頃のマレー)

でも今年のウィンブルドンの決勝で、なにが一番目立ったかというと
マレーの筋肉質な身体が、明らかにジョコヴィッチの体格と
別格のものになっていたことですね。

マレー・ファン@ラブテニスワールド-たくましくなったマレーとジョコヴィッチ

突然マレーに『自信に溢れる男らしさ』がむんむんみなぎっています。

そしてマレーがジョコヴィッチを破ったとき、

精神的、そして肉体的

に追い越したことを、この決勝でまさに実感しました。

なぜならジョコヴィッチには、メジャー最高峰ウィンブルドンで
77年ぶりに英国男子選手の優勝のかかるプレッシャーのもと
試合をすることは不可能だからです。

このプレッシャーは、現存の選手には経験ができないし、
そのプレッシャーに打ち勝つための苦しみも経験できないからです。

さてレンドルの元ライバルたちに話を戻しますが、

ジョン・マッケンローは、2セットダウンから立ち上がり、
優勝を遂げたレンドルとの全仏決勝での負け試合を
いまだに忘れていません。

一時はローランド・ギャロスに入ると「吐き気」がするほどでした。

でもいまやすっかり、レンドルの手腕にあっぱれです。
レンドルというコーチと出会ったマレーは、
「6度はグランドスラム優勝を果すだろう」と予想しています。

ウィンブルドン2回チャンピオンのジミー・コナーズも、

「アンディ・マレーが超越したテニスをし、英国人にかけられた
 ウィンブルドンの呪いを解いた。
 イワン・レンドルの凄腕とともに、おめでとう」


と、レンドルの新たな成功に賛辞を贈りました。

さて、ジム・クーリエは・・・?

***

ということで、偉大なるチャンピオンであっただけでなく、
偉大なるコーチとして再びテニス界で再起したイワン・レンドル。

レンドルに出会うまで、マレーはコーチを何度も変え、
3度のメジャー決勝出場では、ロジャー・フェデラーと
ノバク・ジョコヴィッチに道を阻まれてきました。

でもレンドルに出会い、マレーの中で何かが変わり、
ウィンブルドン決勝で大大会では初めてフェデラーから
セットを奪ったあと、ついに五輪決勝で勝利。
さらに全米、ウィンブルドンでジョコヴィッチを倒しました。

では一体レンドルのおかげで何が変わったのでしょう?

レンドルは技術的にはマレーに必要なものはすべて
揃っているので、少しずつあちこちを調整しただけ、と
言っていますが、その結果が大きく出たのは、やはり
マレーのフォアハンドですね。

レンドルが現れてから、それまで攻撃力に欠けていたフォアが、
コーナー深くに角度をつけて打ち込まれる強力な武器へと変化。

このワイド・フォアハンドは、腕を頭上に振り上げ、
スイングの後、体重を右足にかけてホップするのが特徴。

これは一見おっとっとバランスを崩しているかのように
見えますが、腕を身体の脇に振るのではなく、頭上に
振り上げることでフルスイングとなりスピンがかかります。
またボールを打つ瞬間に身体を浮かせ、最後はホップ。
このため全身の力を使って球を打ち込むことができるわけです。

この強力ワイドフォアを、いまやマレーは完璧にマスターし、
コートから下がったポジションからでもウィナーを打ち込む、
攻撃的プレイヤーへと変化したわけです。

また毎年冬に、マレーはマイアミで集中トレーニングを
していましたが、フロリダ在住のレンドルのそばということもあり、
冬だけでなく、機会があるごとにマイアミに入るようになります。

現役時代『コンディション強化』を徹底追求したレンドルと、
『スポーツ知識おたく』のマレーが揃ったら、
いかにマレーのフィットネスレベルが上がるか想像できますね。

いまやマレーは10メートルを一秒で走り、ネット際に
ダッシュするときの瞬発スピードはウサイン・ボルト並み
また陸上選手と並んで400メートル走に出場できるほどの
短距離の持続力+スピードを備えています。

でもレンドルが一番影響を与えたのは、なんといっても
マレーの精神面強化ですね。

レンドルは、どんなテニスをしようとも結果に近づくことが
一番大事であることをマレーに教えました。

時にはセットを先取され、ミスが連発し、自分にとって
納得のいかない試合展開を見せるかもしれません。

でも、どんな戦いぶりをしようと、泥沼の試合になろうと、
レンドルはすべてが結果だということを教えたわけです。

以前のマレーは完璧主義で、自分が納得のいかない
ボールを返しただけで鬼怒り。
試合展開が悪くなると、チームに向かって怒鳴りつけ
相手にマレーが動揺していることを見せてしまう・・・

ところが、いまや一ポイントにこだわるマレーはいません。

相手の方が素晴らしいフォームで自分は不調でも、
セットを先取され自分にミスが連発しようとも、
泥沼の試合になってどんなにメタメタな姿を見せようとも、
とにかく最後に結果を出せればいいわけです。

このメンタリティーが、マレーに備わった最大の武器と
いえると思います。

フェデラーは泥沼の試合が嫌いなことで有名ですね。
完璧なフォームでボールを返し、なるべく体力のロスの
少ない試合をするには、フェデラー自身が主導権を握り、
相手のペースを崩していくことです。

多くの選手がフェデラーに憧れ、彼のような美しい試合を
したいと願ってきたわけですが、おそらくこのような選手は
これからも中々現れないと思います。

そしてマレーも以前は『いい試合』をすることを目指し、
素晴らしいフォームを見せることにこだわっていました。

それに輪をかけ、どんなに結果がよくても、マレーの
プレイに批判や疑問が集まることも、過去多くありました。
これではマレーも、勝つだけでは駄目だと思って当然ですね。

ここでレンドルの登場です。

試合について「こうするべきだ、ああするべきだった」と
言わないのがレンドルです。

これは以前も書いたように、現役時代レンドルに対して
トニー・ロッチから言われた言葉があるからです。

「コートに立つのは君だ。
 だからもっとも正しい決断を下せるのも君だけだ。
 君だけにしかその状況は分からないのだから、
 僕からどうしろと指示を与えることはできない」


うーん、何度聞いても名言(涙

このロッチのレンドルの選手としての信頼そのままに、
レンドル自身、マレーのプレイに口をだすことはありません。

マレーがどんな泥沼の試合をし散々なプレイをしても、
マレーが最後までベストを尽くす限り、レンドルは
「よくやった」の一言。

今回の準々決勝のベルダスコ戦のあとでも、
「(2セットを落としたことを)レンドルに叱られないか?」
という意地悪な質問に対し、マレーは真顔で否定。
もう少しで負けるかもしれなかった試合を戦い抜き、
勝ったことの重要さを強調しました。

それはレンドルが何度も言っているように、
日によって選手のレベルは上下し、ある選手が
突然人生で最高の素晴らしいプレイをみせ、
逆に自分はこれまでにないひどいプレイをすることも
あるからです。

これに屈してしまえば、今年のウィンブルドンで次々に起こった
「番狂わせ」の犠牲になってしまうわけです。

でもベルダスコ戦で、明らかにベルダスコが人生で最高の
プレイをみせ、自分が通常のレベル以下の状態の中、
マレーはその試合を勝ち抜くことができた。

それがレンドルがマレーに教え込んだ精神力と言えます。

去年も、マレーがウィンブルドン決勝でフェデラーに敗れ、
絶望の淵にいるマレーに、レンドルはこう言いました。

「人生で最大のプレッシャーの中で見せた
 自分のパフォーマンスを誇りに思うべきだ」


この言葉も、マレーにとって大きなブレイクとなりました。
人生でおそらく最悪の敗北を味わったマレーが、
数週間後には同じコートで五輪金メダルを手にしました。

レンドルのおかげで、マレーは

『完璧なテニス』というあやふやな目標を掲げることをやめ、
『結果に向けて戦い抜く』ことに焦点を合わせる


ようになったというわけですね。

また結果以上にレンドルが最も重要視しているのは一貫性。

つまり『結果を出し続けること』です。

特に大きな試合に勝つための最大の要素は、
その日だけ特別に素晴らしいプレイをすることではなく、
長期に渡り、結果を持続することだと言っています。

「(18ヶ月前に)我々が組んだとき、僕の目標は
 アンディにできる限り多くのメジャー大会で優勝する
 チャンスを与えるよう、ベストを尽くすことだった。

 そして、それがほぼ達成したというわけだ。

 もちろん、すぐに結果が現れたというわけではない。
 これらの目標は数週間で成し遂げられるものではない。
 最初の結果が出たのは6ヵ月、7ヵ月後だったが、
 僕が何よりも誇りに思うのは、そのあとの彼の一貫性だ。

 ウィンブルドン決勝に続き、五輪に続き、全米優勝に続き
 全豪オープン決勝に続き、ウィンブルドン優勝だ。

 これは驚くべき一貫性であり、アンディに対して
 非常に誇らしく思う部分でもあるんだ」


また去年のウィンブルドン決勝進出のあったからこそ、
今年の優勝が可能になった、とレンドルは信じています。

「去年の決勝で試合していなければ、これほどまでに
 完璧な準備はできなかった。
 あれが素晴らしい経験となったわけだからね。

 メジャーの決勝に出るたびに経験を積む。
 これが非常に重要なことだ」


レンドルはグランドスラム決勝敗退を4度繰り返し、
ついに1984年全仏オープンで優勝しましたが、
キャリア中なんと19回決勝に進出し8回優勝を達成。

そして弟子であるマレーも、グランドスラムで
7回の決勝進出を果し、ついに2回優勝
と、着々と師匠の後を追いかけ始めています。

さてレンドルにとってももっとも無念だったのは、
他3大大会ではダブル、トリプル優勝したにも関わらず、
ウィンブルドンを制覇できないまま引退したこと。

マレーは優勝後のスピーチで、レンドルにとっても
マレーにとっても悲願だったウィンブルドン勝利を
感謝の言葉とともにコーチに捧げました。
(詳しくは前回のブログにて)

でもレンドルは、このことに話が向けられると、
真顔になりこう語っています。

「(自分の役割の)すべてはアンディのためにあり、
 彼のゴールと夢を叶える助けをすることだ。
 
 アンディがメジャー大会でできる限り優勝することを
 手助けするのが僕の努めなんだ。
 だから僕がどう感じようと、それは関係のないことだ」


つまり、マレーの勝利はマレーだけのもの!

それがいくら無念であったウィンブルドン優勝で
あろうとも~っ!!!

うぎゃーっ、もうレンドルらしいお言葉(涙

・・・とは言え、やはりこの嬉しさは隠し切れません。
というのも、マレーが歴史と英国の期待と言う、
最大のプレッシャーに打ち勝ったからです。

「もちろん今回の勝利の方が嬉しいよ。
 最初の優勝はニューヨークだったが、
 ニューヨークより、ここでの優勝の方が
 数倍アンディにプレッシャーがかかっており、
 勝つことは本当に難しいものがあったわけだからね。

 
ということで、マレーの衝撃のレンドルコーチ任命から
18ヶ月間いろいろありました。

そしてついにマレーの2度目のグランドスラム優勝、
しかもウィンブルドン優勝について書いていることが、
いまだに信じられない気持ちです。

でもマレーとレンドルの旅はこれからも続きます。
マレーは興奮冷めやらぬうちから、すでに次のゴールに
目を向けています。

「イヴァンの中では、この18ヶ月間の成果だけで
 満足しているわけではないと思うよ。

 彼はきっと僕が今年の全豪オープンでも優勝すべきだったと
 思っているだろうし、次の全米オープンに向けての準備で
 ますます厳しいトレーニングをマイアミで用意するはずだ。

 自分のそばに彼のような人物がいるのは、
 本当に大きなことだ。

 彼は選手として究極の闘志家で、勝つことを愛した。 
 彼の一貫性は素晴らしいものがある。
 彼は8回連続全米オープンに進出するという偉業を
 成し遂げた。
 彼の存在がこれからも大きく助けてくれることを願ってる」

 
さてウィンブルドン明けの、現在のATPランキングは:

1)ノヴァク・ジョコヴィッチ
2)アンディ・マレー
3)ダビド・フェレール
4)ラファエル・ナダル
5)ロジャー・フェデラー


と、ジョコヴィッチがナンバーワンの座をキープ。

でもレンドルの中では、すでにアンディ・マレーが
現在のチャンピオンだそうです。

「この一年の四大大会のうち、他の選手が優勝一回ずつで、
 ある選手だけが2回優勝し、五輪金メダルを持っているとする。
 これを見れば、誰の目にも明らかなことだ。

 もちろん、ノバクは素晴らしい選手だ。ただここにきて、
 大きなプレッシャーを感じているのは確かだろうね」


ギョーン、レンドル本人からの超プレッシャーなお言葉!

でも本当にですよ。

ついに王者争いは、私がブログを始めた頃のトップ4
(ジョコヴィッチ、ナダル、フェデラー、マレー)から、
ジョコヴィッチとマレーのトップ2へと時代が動いてきました。

もちろんクレイシーズンで爆走したナダルは、まだまだ
脅威の存在です。
でもフェデラーは今年に入り一勝のみ。
グランドスラム決勝に進出したのは、去年のウィンブルドンが最後。

この世代交代の真っ只中、堂々と3位に腰を下ろしている
ダビド・フェレールも凄いものがありますね。

マレーは

「自分が常にジョコヴィッチより少し遅れているが、
 必ず追いついている」


と、ライバルのジョコちゃんにできることが
自分にできないわけがない、と言っていました。

そしてついに、レンドルというコーチと運命的な出会いをした今、
今度は本当にマレーがジョコヴィッチと肩を並べ始めたわけです。

ということで、本当にまだまだ書ききれません!!!!!!

でもこの記事を次から次へと書き足してもう賞味4日(笑

ここでいったん手を止め、またゆっくりと試合内容を振り返って
ブログに戻ってくるつもりです。

マレー・ファン@ラブテニスワールド-ウィンブルドン優勝記念パーティ