アンディ・マレー、2年連続ウィンブルドン決勝進出! | マレー・ファン@ラブテニスワールド

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英国テニス・ナンバーワン選手のアンディ・マレーを応援しながら、
ロンドンでの暮らしを綴るブログです♪
マレーがついに2012年ロンドン五輪で金&銀メダリストとなりました。
一緒に応援してくださった皆様、本当にありがとうございました!

うぎゃーっ!マレー、再びやってくれました!
昨日行なわれたウィンブルドン男子準決勝の試合で、
アンディ・マレーはポーランドの神童、ジャージー・ヤノヴィッツ
7-6, 6-4, 6-4, 6-3で下し、

2年連続ウィンブルドン決勝進出

を果しました!!!!!!

マレー・ファン@ラブテニスワールド-ウィンブルドン、マレーSF勝利


これに伴ってザ・サン紙の今日の『マレー指数』も
ぐぐーっと上がり、なんと「正真正銘の英国人」(笑

マレー・ファン@ラブテニスワールド-ウィンブルドンSFマレー指数
(『マレー指数』についてはこちらの記事をお読みください)

ということで、これまで不思議なほど騒がれていなかった
「フレッド・ペリー以来77年ぶりの英国人優勝なるか?」
という国民の歴史への期待がどどーっと浮上。

なんていっても、昨日のマレーの試合振りをみたら、
いえ、これほどまでに大人になった(?)マレーを見たら、
嫌でもマレーの優勝への期待を抱かずにはいられません(涙

昨日のブログで詳しく書きましたが、ジャージー・ヤノヴィッツは
恐るべきサーブを武器に持つ2メートルの巨人。

まだ22歳ですが、ここ一年でランキングはめきめきと上昇。
去年の1月の222位から、なんと12月には26位にランクアップ!
その後もランキングを上げ現在22位

このまま行くとトップ10選手になるのは、近い将来
現実のものとなりそうな勢いです。

エースの数も今大会でトップということで、
ティム・ヘンマンは、この試合の前に

「マレーはゴールキーパーになったつもりで
 球を拾わなければならない」


と警告しました。

ということで、マレーがいかに『壁』となるかが試合の鍵・・・

いよいよ試合開始!!!!!

第一セットは予想通りサービスゲームが中心となりました。
ヤノヴィッツの強力サーブに対抗し、マレーもサーブを守り抜き、
タイブレークに持ち込みます。

ところが6-2でヤノヴィッツにリードされるという究極の場面で
マレーのダブルフォルト
このミスにより7-6でヤノヴィッツが1セット目を獲得・・・

ぎゃーっ!
ベルダスコ戦の二の舞だけはお願いだからやめて~っ!


もうこうなったら、何が何でもマレーがヤノヴィッツのサーブを
崩すしかありません。

試合前に、思いっきり後方に下がってサーブをリターンする練習を
何度も繰り返したマレーですが、これが効を奏したのか、
マレーはリターンを入れ始めます。

また母親のジュディのおかげで子供の頃に備わった
スーパーマンのような観察眼(?)を生かし、
ヤノヴィッツのサーブを読み、さらに自身のサーブもギアアップ!

これまでのヤノヴィッツの試合からは信じられないことに、
なんと2セット目はヤノヴィッツはエースが一回だけ

またヤノヴィッツが何度も繰り出すドロップショットにも
マレーが追いつくようになり、まさに試合前のマレーの言葉通り
マレーがヤノヴィッツの武器を奪い取り始めたわけです。

この結果2セット目はマレーが6-4で奪い、スコアは1-1となります。

そしてドラマが起こったのが3セット目・・・

ヤノヴィッツが4-1でマレーをリードし、このまま行ったら
再びベルダスコ戦の二の舞か、と思われる不安な雲行き。

ところがここに来て、ヤノヴィッツがタイムのたびに、審判に
「屋根が閉じるのは何時なんだ!?」と、センターコートの
屋根を閉じることを要求し始めます。

でもまだロンドンの陽は高く、明るさを気にする状況では
ありません。

この駄々っ子ともいえる要求はタイムのたびに繰り返され、
それに比例してヤノヴィッツのミスが増加。

その間マレーは試合に集中し、1-4という危機を切り抜け
5ゲーム連取!
3セット目を6-4で勝ち取りました!

試合の波は完全にマレーのもの!

ところがここでなんと・・・

ヤノヴィッツの要求に応じたかのように、まだ明るいにも関わらず
「屋根を閉じる」という審判の判断が。

この判断にマレー鬼怒り!!!!

マレー・ファン@ラブテニスワールド-屋根がかかること決定

なぜって、少なくともあと45分はプレイできる明るさです。

しかもどう見ても5ゲーム連取しているマレーに状況は優勢。
ここで30分の中断が入ってしまっては、相手に一息つく
余裕を与えることになってしまいます。

・・・と、ここで蘇る去年のウィンブルドン決勝

フェデラーとの対戦で、マレーがリズムを取り戻し、
波に乗っている最中に雨がぽつり、ぽつり・・・

屋根が閉じられ、30分の中断。

これが大きく運命を分けました。

フェデラーはこの間に冷静さを取り戻し、
しかもお得意のインドア試合の開始・・・

結果はこのブログ記事に書かれている通りです(涙

でもあの時はとにかく雨をうらむしかありません。

もし雨によって中断されていなかったら、という気持ちは
アウトドア大会では、おそらく過去に多くの選手が
味わったことのある気持ちですよね。

でもまだ日が高く、最終セットに入ったわけでもないのに
「屋根はいつ閉じられるんだ?」という要求は、
果たして選手から受け入れるべき内容なのでしょうか?

もし夜遅くなり、ボールが見えにくくなってきたら
審判にそのことを訴えるのもわかりますが…

屋根がなかった頃のセンターコートなら、
少なくとも9時過ぎまでは試合が行なわれていました。

そもそも屋根がつけられた理由は雨を避けるためであり、
電気をつけるためではありません。

でも毎年のように雨で試合が中止になり、
選手たちに負担がかかったことから、数年にわたる
大規模な工事の末、屋根が取り付けられました。

本来のウィンブルドン大会はアウトドア・イベント。
なので、雨が降らない限り、どんなに暗くなっても
ぎりぎりまでプレイし、次の日に持ち込むのが基本。

ただセンターコートでのビッグ試合の場合は、
屋根のおかげで夜11時までの試合が可能となったわけです。

コートのコンディションに関する決定は審判にゆだねられ、
選手たちの要求に基づいて決定を下さないのが慣わしです。
これは公平をつかさどる審判の役目とも言えます。

なのでヤノヴィッツの「屋根はいつ閉じるんだ!」要求が
あっさりと通ってしまったことに対し、マレーは鬼怒り!

空を見上げてもまだ45分は試合続行できる明るさです。

同時にジョン・マッケンローも鬼怒り!

僕の時代には審判にいくら訴えようと 
 選手の要求は聞き入れてもらえなかった~っ!」


とのこと(笑

ということでマレーが3セット目を取った後、
屋根を閉じるために試合が30分近く中断されました。

ファンとして一番恐れるのは、やはり去年の決勝で
『屋根が閉じられた後』のマレーの崩壊です(汗

3セット目を取られたヤノヴィッツが、屋根が閉じる間に
シャワーを浴び、チームのアドバイスを受けて体制を取り直し、
フェデラーのようにリフレッシュしてコートに戻ってきたら・・・

せっかく築き上げたマレーの勢いが振り出しに
戻ってしまうことになります。

と、イギリス中が再び息を呑む中、試合再開!

でもマレーのヤノヴィッツ武装解体劇は
終わったわけではありませんでした。

マレー・ファン@ラブテニスワールド-マレー、ウィンブルドンSF

去年のあのプレッシャーに押しつぶされながら
戦い抜いた末、泣いたマレーはもういません。

「絶対に勝つ」という自信にみなぎったマレーです。

自分が一番波に乗っているときに屋根が閉じられ
念願のウィンブルドン優勝のチャンスを逃す
、という、
人生で一度あるかないかの最悪の経験をしているからこそ、
二度目に起こったときは、経験による精神力の強さで
振り切ったともいえます。

3セット開始後、5ゲーム連取したマレーの勢いそのままに
ヤノヴィッツのサーブをブレーク。

最後はマレーのフォアハンドがライン上に決まり、
ついに6-7 6-4 6-4 6-3でマレーが勝利!

マレー・ファン@ラブテニスワールド-マレー、SF勝利の瞬間

マレーの2年連続ウィンブルドン決勝進出が決定!

うわあああああああああああああああっ!!


これでいよいよ、本当に今度こそ、

77年ぶり英国人ウィンブルドン優勝

の道が開けてきました!!!


***

ここで注目したいのはなぜマレーが勝てたのか。

今回、マレーは単にヤノヴィッツから繰り出されるサーブの
球拾いをしたわけではありません。
マレー自身のサーブに思いっきりギアがアップされ、
ヤノヴィッツの武力をはるかに上回ったことが勝因です。

それは下の数字を見ていただければ分かると思います。

マレーの試合統計:()はヤノヴィッツの数字

エース20回(9回)
ダブルフォルト1回(11回)
ファーストサーブ70%(55%)
ファーストサーブ勝率76%(75%)
セカンドサーブ勝率71%(47%)
ウィナー38%(26%)
アンフォーストエラー15回(43回)


とくに注目はエース、ダブルフォルト、エラーの数ですね。

今大会でエースの数を100本以上出し最高記録を放つ
ヤノヴィッツですが、今試合ではエースはたったの9回
逆にマレーは彼の2倍、20エースを繰り出しました。

またファーストサーブ勝率も76%とマレーが上回り、
さらにセカンドサーブはマレーは時速84マイルという
ポヨーンサーブにも関わらず、なんと勝率71%。

ヤノヴィッツの最大の武器であるサーブに対し、
マレーがさらに上回る実力を見せつけ、
見事に相手のプレイを解体したと言うわけですね。

***

マレーは試合前に、元マンチェスター・ユナイテッド監督の
アレックス・ファーガソンと対面しました。

マレー・ファン@ラブテニスワールド-アレックス・ファーガソン

ファーガソンはマンUをイギリスのサッカーのトップチームに
導いた伝説の存在。

また同朋スコットランド出身で、去年の全米オープン優勝時に
ファーガソンはマレーの応援に駆けつけています。

この彼との会話が、今回の試合のマレーに大きな影響を
与えました。

ベルダスコ戦のあと、彼と沢山のことを話し合ったんだ。
 彼の引退、サッカーなどについて話した後、
 僕も自分自身にまつわることについていろいろと語った。

 彼はプレッシャーと期待をいかに乗り越えるかについて
 アドバイスをくれたんだ。
 彼のような人物からアドバイスを受けるのは、
 まさに金粉を振りかけられるようなものだから、
 その内容は他の人には教えるつもりはないよ」


マレーはスポーツ大好き人間で、一時はサッカー選手を目指し
テニスに転向したという経歴を持ちます。

その反面、マレーの欠点はスポーツおたく(頭でっかち)すぎて、
普通のコーチのアドバイスを聞き入れないところでした。

それだけに、『偉業をなしとげたスポーツ選手』に対する
尊敬の目は高く、だからこそイワン・レンドルのような人物が
師匠としてマレーとの素晴らしいマッチングとなったわけです。

また他のトップスポーツ選手への尊敬も有り余るものがあり、
マレーの闘志は彼らとの交流から生まれているといっても
過言ではありません。

だからこそ、イギリスのサッカーの伝説的存在である
アレックス・ファーガソンからのアドバイスも、
きっとマレーの真髄まで吸収されたことでしょうね。

***

話はいろいろと飛びましたが、ついに明日は決勝!

デル=ポトロとまさに『完璧』な対戦を行なった
世界ナンバーワンのノヴァク・ジョコヴィッチと、
ライバルかつ大親友である世界ナンバー2の
アンディ・マレーの対決!!

名実ともに、世界のトップ2であるライバル同士の
決勝を迎えることになりました!

マレーとジョコヴィッチのライバルと友情については
このブログでも取り上げてきましたが、
二人の『いたちの追いかけっこ』はジュニア時代から始まり、
長いことフェデラーとナダルの王者争いが続いたテニス界に
ぐいぐいと参入していきます。

そして2011年以降のジョコヴィッチの台頭に合わせて、
決して遅れをとるまいと続くマレーの存在が、
トップ4間の白熱したライバル争いとなり、
再びテニス界黄金期をもたらしたともいえますね。

さて最後にマレーが芝コートで負けたのが、
去年のウィンブルドンでのフェデラーとの決勝です。
それ以降、マレーは芝コートで17連勝中

でもデル=ポトロとの対戦を見る限り、今のところ
ジョコヴィッチの弱点は見当たりません。
あの試合では二人とも完璧ともいえる試合を行ない、
ジョコヴィッチがわずかな差で勝ったといえます。

ただ過去5年間のマレーのウィンブルドンを振り返ると、
5年連続準決勝進出、2年連続決勝進出という
他の選手には追従できない素晴らしい記録があります。

また去年の五輪の準決勝でジョコヴィッチを
ストレートで下したという自信も備わっています。

ということで、去年のガクガクブルブルのフェデラー戦とは
大違いのマレーの言葉。

ジョコヴィッチよりも精神的には優位な立場にいると
 信じているよ。
 僕は去年同じポジションに立ったばかりだからね。

 グランドスラムで優勝したことを助けに、
 日曜日の試合に冷静に臨むつもりだ」


ベルダスコ戦で思いっきり地面に叩きつけられたものの、
本当に今年こそはマレーに歴史を作ることができるかも
しれないという期待と自信がわいてなりません。

とにかく、優勝まであと一試合!!!!!

がんばれ、マレーっ!!!!!!!!!

マレー・ファン@ラブテニスワールド-マレー、ウィンブルドンSF勝利