※BL表現が強い為、苦手な方はスルーでお願いします
お読みになってからの苦情や攻撃などはご遠慮ください
俺はチャンミンに抱き締められながら、なんだろう、こんな事がとても当たり前の様に感じた。
強引に抱き締められているのに。
チャンミンだって男なのに。
こうする事でとても安心できたんだ。
さっき、あの男にされた時はとても嫌だった。
男の事は突き飛ばしたのに、チャンミンの事はそうしようとは思わなかった。
それどころか震える体は更に安心を求めてチャンミンの背中に手を回した。
やっぱり俺はチャンミンが好きなんだよな……。
「一体、何がどうしてあんな事になったんですか。あいつ、取引先の秘書ですよね?あんたまさか又一人で何か企んで……?」
俺にとって安心しかなかった、チャンミンの胸が咄嗟に離れる。
そして俺の顔を覗き込んだ。
でも俺はチャンミンの胸が離れてしまった事を残念に思う。
この胸はきっときちんと鍛えられていていて、脱いだらそれはすごく逞しい膨らみがあるんだろうと思わせた。
俺は鍛えようとしても筋肉が思う様につかないから羨ましい。
そんな事をぼんやり考えながらチャンミンの胸を眺めてしまう。
「どこ見てるんですか?」
「チャンミンの胸……。」
「は?まだ酔っ払ってるですか?!酒臭い!強くないのに飲んで男に襲われて。何やってるんですか?!」
「そんなに怒るなよ。」
「怒るでしょう!」
チャンミンはさっき一瞬見せた俺を心配した様な顔からは一変して、どう見ても怒ってた。
「何怒ってるんだよ……。」
「何を怒ってるだって?ふざけるな。」
「なんだよ。チャンミンだって、女といい事してるんだろ。」
俺はチャンミンのアイコンの女を思い出す。
「本気でそう思ってるんですか?僕は男しか好きにならない事知ってるでしょ。女とどうこうなるなんてある訳ないし。あれは、本当に間違いで…っ。」
「間違い?」
「そうです。あれは勝手にあの女が。」
勝手に?
アイコンも変えたって言うのか?
あんな写真も撮って?
俺にあんなLINEしてくるくらい。彼女は本気なんじゃないのか?
そうさせたのは結局お前だろ。
だから好きにさせてるってのか?
「変えないって事はなにかあるからだろっ。」
「変えないって何……?」
「お前のアイコンだよ。LINEの!」
「LINEの?え?なんの事ですかっ。」
チャンミンは慌ててスマホをポケットから取り出しLINEを開いて確認し出した。
気がついてなかったのか?
「まじか……。」
「知らなかったのか?」
「知らないですよっ。なんなんだ本当あの女。」
チャンミンは本当に知らなかっただけなのかも知れないけど…
こんな事をされる様な事をしたのは結局チャンミンだ。
「自分が悪いんだろ……。」
俺はボソッと呟く。
「俺も……自分が悪いけど。あんな事になったのは自分の気の緩みだ。」
「……何もされてないんですか?」
「……うん。ちょっと触られたけど……。」
チャンミンの顔が歪む。
「どうして…………僕じゃない男とあんな事。」
「俺だって好きであぁなった訳じゃないし………。」
俺は今でも震える体を自分で抱き締める。
「……怖かったですね。」
チャンミンが俺の気持ちを代弁してくれて俺は怖かったんだ……って思う。
震えてるのはそのせい。
でもチャンミンに抱き締められても怖くないのにな。
それどころか俺はチャンミンに触れて欲しいって思ってる。
その方が安心するって思うから。
俺は目の前のチャンミンに向かって倒れてみる。
チャンミンは俺を受け止めてくれた。
「ユノ?」
「俺…………。」
「どうしました?こんな事…………。」
そうだよな……こんな事。
おかしい。
チャンミンはそっと俺を抱き返して、そして徐々に強く抱き返してくる。
だから俺もチャンミンに抱きついてみた。
でもやっぱり嫌じゃないんだよ。
「俺だってなんでかなんて分からないよ。今まで男なんか好きになった事なんてないんだから…………。」
「え?好きなんですか?僕が?」
「だから言っただろ付き合ってみようって。」
驚いた風のチャンミン。
俺だって驚いてるよ。
でも。今までの事全部。どう見たってチャンミンが好きだからだ。
「好きなんだよ。」
「……。」
「悪いか?」
チャンミンは顔を横に振る。
面白くらいブンブン横に振った。
「じゃあ今すぐアイコン変えろよ。」
「勿論です。」
チャンミンは速攻でアイコンをなんか可笑しな犬のイラストのアイコンに変えた。
何だよこの犬って。俺は思わず笑った。
まぁ。
女の事はもういいか。
信じてやらない事もない。
何より。
何も無いならそれでいいんだ。
いや、いーんかーぃ!良くないよ!と皆さんの突っ込みが聞こえてくる・・・