あばたもえくぼ 2 | ラブストーリー

ラブストーリー

  何度だって言うよ あなたが好き
    

※BL表現が強い為、苦手な方はスルーでお願いします

お読みになってからの苦情や攻撃などはご遠慮ください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はそう立派な人間ではなくて

ただ真面目に生きてきた

 

 

特別いい高校を出た訳でもなく、特別いい大学を出た訳でもない

ただ好きな仕事に就き、小さな工場だったけれど社長が優しくて、他の従業員もとてもいい人ばかりだった

 

 

結婚を数年前にして子供もいたし、こんな俺を誰もが幸せだなと言った

 

 

確かに奥さんのソアは綺麗で子供はウタって言って可愛い女の子だった

社内で出会い、社長の計らいで付き合う事になった

所謂社内結婚で、家族ぐるみで社長にはお世話になっていた

平凡だけど幸せってこういう事なんだろう。

 

 

「ユノちゃん、お弁当持ってきた」

 

 

事務所の入り口からひょっこり顔を出したのがソアだ

ソアは今育児休暇を貰ってた

 

 

「あら、ソアちゃん」

 

 

事務所のおばちゃんのハンさんはソアを見て嬉しそうに立ち上がった

2人は世間話をしながら大笑いをしてとても楽しそうだ

 

 

「ソア、ありがとう」

「あ、ユノちゃん。ごめんね」

「いいよ、こっちこそごめんな」

 

 

今朝ソアはいつもよりちょっと寝坊をしたんだ

それで俺が出かける時間に弁当が間に合わなくて会社まで持って来てくれた

 

 

「私が悪いんだから、ユノちゃんは謝らないでよ」

「あ、そっか」

「もーーユノちゃんったら本当優しいんだから」

「そんな事ないけど」

 

 

ニコニコ笑ってるソアの方が優しさで溢れてると俺は思う

 

 

「もーー2人でイチャイチャしてないで!ソアちゃんお茶でも飲んでいきな」

「えーー、ソンさんの邪魔しちゃいけないから帰るよ」

「仕事していってよ」

「何言ってるのーーもう忘れちゃったっ」

「そんなの許さないよーー」

 

 

楽しそうな2人の声に事務所の外から社長まで顔を出した

 

 

「お、ソアちゃん、来てたのかい」

「社長!すみませんお邪魔してます」

「いつでもおいで、子供と一緒に遊びに来てたらいい」

「そんなぁ!もう女の子なのにウタはやんちゃで仕事の邪魔になるからダメダメ!社長も仕事してください〜」

 

 

皆が寄ってきてどれだけソアがここで好かれているかがわかる

 

 

「じゃあね、ユノちゃん」

「うんウタは大丈夫?」

「大丈夫!今お母さんに見てもらってる」

「そっか、じゃあウタとお母さんによろしくな」

「うん」

 

 

ソアは皆に挨拶して帰っていった

 

 

「ソアちゃん早く戻ってきて欲しいねぇ、あの子がいると明るくなる」

「はい、ウタが幼稚園に 入ったらその間だけでも仕事したいって言ってました」

「大歓迎だよ」

 

 

社長はニッコリ笑ってそう答えてくれる

俺は本当にありがたく思う

 

 

「そうだ、ユノに言っておかなきゃな、今度新人社員が入って来るんだ。」

「え?それ本当ですか?!」

「そうそう、男の子でな、新卒なんだぞ!」

「え、そんな立派な子をうちに?」

「あぁ、まだ高校生なんだけどちょっと訳ありの子でな」

「訳あり?」

「まぁ! でもいい子だから心配はいらん」

「そうなんですか。」

 

 

社長が言うんだからそうなんだろう

俺は何も心配はしていない

新卒って事は四月からか

 

 

「もう内定って事になってて、三月から試用期間として来てもらう事になってるから」

「え学校は…、あぁもう、自由登校か」

「そう、だし、三月一日には卒業式も終わるらしい」

「そうなんですね、初めての後輩です」

「そうだろ?しっかり仕込んでやってくれ」

「俺がですか?」

「ユノしかいないだろ」

 

 

そうなんだ

 

 

「はい!」

 

 

ちょっと嬉しい

 

 

この工場には事務所は勿論、現場にも女の人しかいなかったから俺は確かに可愛がってもらっていたけど、男の仕事仲間ができるのは楽しみだ

一緒に飲みに行ったりもしたい、初めての後輩としていっぱい可愛がってやろう

俺はそう思ってその三月を迎えた

 

 

「よろしくお願いします」

 

 

そう言って頭を下げた俺の初めての後輩は背が高くてかなりのイケメンだった

片目を細めて笑うその屈託のない笑顔に、社長が言ってた訳ありとは何だろう?と思うくらい普通の子だった

 

 

「シム・チャンミンと言います」

 

 

そう名前を聞くまで

俺は本当に仲良くなりたいと思ってた

後輩として

弟みたいに可愛がって

家にも呼んで

ソアとかウタとか

皆でご飯食べたりして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でもあのチャンミンだとしたら、それは絶対無理だって思った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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