明日があるさ。

明日があるさ。

あしゅの日記です。時々更新。更新するときは激しく。
2018年〜妊婦記録はじめました

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毎日死んだように眠っているので書けなかった…つづき



父に似ていた

夫ではない。
私の父に似ていた。

こんなことを言ってはサイコパスに思われそうで母以外の誰にも言ったことは無かったが、この病院は父が亡くなった病院だった
移転こそしているが…

私は、「父だ」と思った

この病院を選んだ時
輪廻転生ではないが、きっと父も近くで見守ってくれる
孫の誕生を一番近くで見てくれる
そう思って選んだのだ

病気になってしまい、娘である私の成長さえ満足に見ることの出来なかった父が、娘の出産を見に来たどころか、孫に少し乗ってしまったのだ
どこまで、娘が大好きなんだか…

こういったスピリチュアルなことは信じない私だが、今回ばかりは少々信じようと思ったのだった


ニコニコニコ


出産レポは以上
この先、乳首が擦り切れたり、マタニティブルーになったり…

それはまた、いずれ書こうかな…
全身麻酔から目が覚めると、全て終わっていたようで、談笑が聞こえていた
まだ眠いような、ふわっとした感覚…

「え?酸素ゼロじゃない?」

どうやら私に付けられていた酸素ボンベの中身がカラだったようだ。
…そんな状態で手術受けてたのか私…

まだ意識がぼーっとしている

「レントゲン撮りますから」板入れますね

男性の看護師か何か知らないが、私の背中に回ると

「俺1人で持てるかな〜」

と言い出した
おい体重見て重たくて無理判断するな
失礼じゃないか

などという元気はない
レントゲンを撮られ、ベッドに移される
看護師さんが「終わりました〜酸素持ってきてください。酸素です酸素」と言ってるのが聞こえる
やはり酸素はゼロだったのか…

手を動かすと、ぺたんこになった腹に触れた
ついさっきまであんなに大きかったおなかが、もうぺたんこ…
本当に出産したんだ、もうお腹には何もいないんだ…

「なんだかお腹が痛いです」
「多分後陣痛なんで仕方ないです」
「」

仕方ない…

手術室を出ると、助産師さんが2人いた
赤ちゃんを見せてくれた助産師さんと師長さんだ
それでもお腹には違和感がある

「あのう…腹帯が傷口に当たってるのかすごく痛いです」
「わかりました、お部屋帰ったら見ましょ」

ベッドが動く

「赤ちゃんちょっとだけ疲れちゃったので保育器入ってます。小児科の先生の診察では大丈夫だったんですけど、今晩一晩だけ入りますから」
「はい」

すこしほっとした
出産当日から母子同室が基本なので、こんなに疲れているのに赤ちゃんのお世話なんてできない…と心配していたのだ

「赤ちゃん見てからお部屋戻りましょうか」

この病院は新生児室が外から見えない
しかし看護師さんがカーテンをあけ、ガラス越しに見せてくれた
といっても横になっていたのでほとんど見えなかったが

「おめでとうございます〜!」

なんとなく苦手な助産師さんが声をかけてくる
お、お前かい…と思う余裕があり、部屋につくと夫と母が待ち構えていた

「赤ちゃんかわいいねー!もうたくさんだっこしちゃった」
「私だっこしてないのに…」

ふたりしてたくさん写メを見せてくる

「わぁ…立派なちんちん」

かわいいとかより先にそれを言う私もどうかと思うが、白い肌に真っ黒な睾丸は少しびっくりもした

その表情、どこかで…



「ダメだ、緊急帝王切開」

その声にメロウな雰囲気のLDRは一瞬で雰囲気が変わった
蛍光灯がつき、3人ほどいた助産師さんが10人ほどに増えた(ように見えた。実際に何人いたかは不明)

「ここまですごく頑張りました、ちょっと赤ちゃん苦しくなってきちゃってるので帝王切開で赤ちゃんに会いましょうね」
「」

もう何も言えない
ここまで頑張った、会陰切開までされたのに帝王切開て
もっと早くその決定出来ませんでしたかね…
などと思いながらまだ1分間隔で来る陣痛に、いきみそうになるたびに何人もの助産師さんに深呼吸して力抜くよう言われる

LDRに様々な声がする

促進剤止めて!ウテロン点滴開始して!
点滴落ちません!
小児科呼んでる?
手術室連絡して!
赤ちゃん心拍落ちてます!
大丈夫だよ!
ゆっくり深呼吸〜!
血管出ない!
え、血尿?

血尿?

なんだかエラいことになってしまったと思いながら点滴のため離れてしまった夫の顔を探す
なんか変な音がすると思っていると鼠径部に感覚を感じ、剃毛されているのに気づいた
主治医が紙を持ってやってくる

「今から帝王切開に切り替えます、理由は…」

こんな緊急でも説明受けなきゃダメなの…

私だけでなく、夫と母も聞いている
説明のあいだにも陣痛はやって来て、ついいきんでしまう
その度に説明はストップする

手術は下半身麻酔、出産後縫合時は全身麻酔に切り替わる
という説明に母が引っかかった
私はもうなんでもいいから早く生ませてくれと思っていたので、なんの疑問もなく同意した
同意書は夫が代筆し、私は分娩台からベッドに自分で移るよう言われたことに白目を向いていた
せーので移してくれたりしないのか…
どのようにして移ったのか記憶はないが、なんとかベッドに移り、手術室に行くこととなった
その場で待とうとしたらしい夫と母に、手術室の入口までは一緒に行けますよ、と助産師が声をかけると、ドラマで見るような、運ばれるベッドの横を夫が一緒についてくる
手術室の前で一旦止まる
手術室担当の看護師さんが声をかけてくれる

「あとすこしで赤ちゃんに会えますからね」

関西弁…などと思っていると、夫も声をかけてくる

「頑張って」

何か返さなきゃ、と思うと同時に、こんな時にまで私は夫に可愛く見られたいと思ってしまった

「…こわいよぅ」

大して怖くもない
直前まで来ていた陣痛の方が怖かったし、あと怖いものといえば麻酔がとにかく痛いと聞いていたぐらいだし、ほぼほぼ死ぬことなんかないだろう
夫が何か返す前に、看護師さんや助産師さんが「大丈夫!赤ちゃんにすぐ会えるから怖くない!」等と言ってくれた
もう一度夫の手を握り、手術室に運ばれた

ドラマでよく見るような冷たい空間ではなく、壁は真っ白で、看護師さんの笑い声が聞こえる暖かい空間だった
壁に書かれた私の名前、身長、体重、「緊急帝王切開」の文字を見ていた
すると
「じゃあこっちのベッド移ってください」

…また自力…?
もう体力などなかったし、左向きにしか横になれなかったので無理ぃ…と小さく呟く
と、私の体の下に板が入り、それで引っ張ってもらうことになった

手術台に移ると、「体丸くしてください〜」と言われる
あ、これエビになってってやつ…腰が曲がったエビになってってやつ…いやこの腹なのに丸くなるとか不可能じゃん…?

と思いながらなんとか丸くなる

「痛いですけど頑張ってね!チクッとしまーす」

チクッと
どころじゃない
痛すぎて体がビクッ!となってしまう
「あっ…」という声も聞こえた
3回ほど刺されたような気がする
足に電気が流れたような感覚があり、その後感覚はなくなる
ほとんど無理だった仰向けの姿勢が取れる

なんだかワクワクしてきた
手は固定され、胸に仕切りが置かれる
見たいのに、と思いながら仕方ないのかとガッカリしたり、頭上の看護師さんがなんだか励ましてくれているのを聞いた
キョロキョロしていると、体の上のライトが目に入った
ライトが取り付けられているのところがミラーになっていて、私の体が見える

「緊急帝王切開術、縫合後、会陰の縫合も行います」
「会陰ですか?」
「会陰切開後の緊急帝王切開なんだよ」
「わかりました」
「では開始します、メス」

ドラマみたい…
と思って、ふと看護師さんに聞いてみる

「もう切ってるんですか?」
「始まってますよ、すぐ会えますよっ」

どうやら不安に思って聞いたと思われたのか、励まされる
ミラーに移る手術の様子を見てみる
なんだか解剖学の教科書で見たことあるような…内臓が見える
あれはなんだろう…と思い聞いてみたかったが、見ない方がいいですとか言われて目隠しでもされたらもったいない、と思い何も言わずただミラーを凝視していた

何分もかからなかったきがした

「お腹押しますね、ちょっと気持ち悪いです」

と言われるとなるほどたしかに内臓全部を掻き回されてるような感覚がある
麻酔してるのにそんなのは感じるのか、と半ば感動していると 

「おめでとうございます」

と言われる
頭上の看護師さんもおめでとうございます!と言ってくれる

生まれた…?

しかし、赤ちゃんの泣き声が聞こえない
さっきまで心拍落ちたとか言ってたから、まさか…?
不安に襲われる
おめでとうございますとか言いながらめでたくないんじゃないの?
私の赤ちゃんはどこ?
何分にも感じた
すぐ近くでなく、遠くから、赤ちゃんの泣き声が聞こえる
思わず涙がこぼれる

「赤ちゃん体綺麗にしたらすぐ横に来ますからね」

頷いて、また縫合の様子を見ようとミラーを見る
また聞こえる赤ちゃんの声に自然に笑がこぼれる
しかしなかなかこない
眠い
達成感も感じていたのか、眠くなってくる
しかし顔が見たい
どんなガッツ石松か
見たい
眠い
見たい
眠い

飛びそうな意識をなんとか保つ

「寝ちゃいました?」
「まだ起きてます」
「よかった、おめでとうございます〜!男の子ですよ〜!」

LDRで私のお腹を押していた助産師さんが赤ちゃんを連れてきてくれる
1度手の拘束が外され、横に来た赤ちゃんに触れる

「かわいい…はじめまして」

割と猿だった
思ってたよりは猿ではないが、猿だった
それでも可愛かった
10ヵ月お腹にいたのにはじめましてはないだろうよ


どう考えても内臓の写真を撮るためのデジカメで、初めてのツーショットを撮ってもらった

…そして、全身麻酔に切り替わった