※以前、他のSNSで投稿(公開範囲を限定)した記事を
こちらに再掲載(多少書き直しつつ)で上げています
↓は、本来は5/18に書いた記事になります
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旦那の髪は、東京の小さな美容室で切っていた
それ以前は北関東に行きつけがあったのだけど
予約不可(所謂1000円カット系、でも個人営業)で
バイクや車でもやや離れた場所にあり、
行ったタイミングで必ずしも切って貰える訳ではなく
ならば、と東京での知人に紹介して貰った

やはり個人経営だがちゃんと「美容室」であり
予約も出来て、腕も良かったのがKさん

(夫より年上の女性)
ワタクシは別の美容室に行っているので
Kさんに会ったことはなかったが
Kさんは旦那の事をたいそう気に入ってくれて
いつも「お店に来るお客さんで一番かっこいい!」と
褒めちぎってくれていたらしい
他のお客さんにも
「かっこいい常連さんが出来たのよって自慢しているの」と
言いふらしていたそうな

長く営業しているお店だがほぼ常連客のみで
旦那(もうすぐ70)は最年少グループに入るらしかったから
(たまに例外として”お客さんの息子、孫”などもいたが)
まぁ、状況は大体想像がついていた
勿論、夫を褒められて悪い気がする筈もなく
有難い事だし、良かったねぇ、と笑って話を聞いていた


旦那が不調を感じていたのは
去年より、もうずっと前からだったようだけれど
去年の5月、Kさん自身も調子が悪くて検査を受けるからと
「おなか(胃がメイン)」の専門クリニックを紹介され
珍しく(それだけ不調だったのだろう)旦那も
そのクリニックの予約を取り、検査に行った

(最初は胃だと思っていた)
・・・そして、ほぼ、病状が分かったのだけれど
(旦那はワタクシにはすぐに告げず
 胃ではないので他の大学病院を勧められた、と言った)

そこから、別の病院で検査、直ぐに治療開始(入院)となり
Kさんの美容室もご無沙汰していたけれど
抗がん剤治療を始める際、

”どうせ髪の毛が抜けるなら先に”
坊主(ツルツルではなく、限りなく短い感じ?)にする、と
Kさんの美容室を訪れ、病名も告げた、と言った

Kさんは少し泣いて、
「私からの応援の気持ちだから」と
その日の代金はサービスにしてくれたそう

その後、入退院を繰り返しながら

3クールの抗がん剤投与が終わり
(更に、手術不可、との宣告も受け)
旦那の髪はまた伸び始めた


切る前からかなり銀髪に近いごま塩だったけれど
最後はほぼ「銀髪」になっていたかな

まだ「時間」はある、と旦那もワタクシも思っていたから
(旦那に関しては”多分”としか言えないけれど)
伸びてきた銀髪を見て
「一度、Kさんに切って貰ったら?」と
提案してみたのだが
言葉を濁して、結局行かなかった
病状の事を言いたくなかったのだろうなと思う


抗がん剤を始める前から、食道ががんに圧迫され

徐々にに口から物は食べられなくなり
栄養点滴(カフティーポンプ)で命をつないでいる状態
かなり痩せてしまったのを見られるのも嫌だったのだろう

そんなこんなで、12月に逝ってしまい
誰にも何も告げたくなかったワタクシは
ひとりで抱え込み、しばらく煮詰まった時間を過ごし
年が明け、

ようやくほんの一握りの人には
夫の訃報を伝えようという気持ちになった


最初に、伝えたのがKさん
面識はなかったけれど美容室の場所は知っていて
ふらり、とのぞいたらちょうどお客さんがおらず
店の扉を開けた

突然現れたワタクシの事は勿論知らないKさんだが
旦那の名を告げると直ぐに分かり
「気になっていたのよ」

訃報を告げると、涙を浮かべて惜しんでくれた
「大好きな、一番かっこいいお客さんだったの
他の人には私のボーイフレンドよ、って」

ワタクシもなんだか素直に涙が出て
他に旦那を知っていて一緒に思い出を話せる相手がおらず
たまにこうやって話をして貰えるかと聞くと
いつでもいらっしゃい、友達になりましょ、
是非来て頂戴と言ってくれた

それから、時折のぞいては
お客さんのいないタイミングに少しだけ寄らせて貰っている

大したことを話すわけではないけれど
夫を知っている相手と話せるというのが
とても有難く思える

先日、ちょっと久しぶりに寄らせてもらった
(最近はタイミングが合わず、覗いても接客中が多かった)
予約客がもうすぐ来るというので短い時間だったけれど
「そうそう、この間(旦那が)夢に出て来たのよ」という


「Kさん、(自分は)元気にやってるからね、大丈夫だよ」と
言ったのだそう

いいないいな、ワタクシの夢には全然来ないのに~!と
悔しがり、Kさんに笑われた


まぁ、純粋に褒めて懐かしがってくれるKさんに
挨拶しようと思う(夢に出る)のは当然だし
グダグダやってる愚妻の近くにちゃんと居るのに
鈍感な愚妻が気づいてないだけかもしれない

でも、

いいなーーーーーぁ