今年最初の公式戦となるアジアカップ予選が行われました。
まずは結果をご覧ください。
日産スタジアム(横浜)
日本(FIFAランク17位) 6-0 インド(FIFAランク118位)
(得点)
久保2(横浜FM)
小野(浦和レッズ)
巻(ジェフ千葉)
福西(ジュビロ磐田)
佐藤(サンフレッチェ広島)
(以上日本)
(スターティングメンバー)
FW
久保(横浜FM)、巻(ジェフ千葉)
MF
小野(浦和)、小笠原(鹿島)、福西(磐田)、長谷部(浦和)
DF
宮本(G大阪)、中澤(横浜FM)、加地(G大阪)、三都主(浦和)
(交代)
小野→遠藤(ガンバ大阪)
巻→佐藤
宮本(ガンバ大阪)→茂庭(FC東京)
日本代表がインド代表を粉砕しました。
スタメンは国内組で現状考えられる最強の布陣の1つでした。
ジーコ監督の戦略の特徴としては、国内組に関して言えば、同じチームメイトのホットラインというものを重要視していることがあげられます。ホットラインとは、攻めの形が1つの形として出来上がっている状態の事で、当然ながら息のあったコンビネーションで機能しています。同じチームであっても繋がりのない形であればジーコは重要視していません。今年のジーコジャパンにある主なホットラインというものは以下の通りです。
浦和組…ポゼッション重視型の攻撃のリズムを作る
小野、長谷部、三都主
ガンバ大阪組…守備のリズムを作る
遠藤、加地、宮本(大黒)
鹿島組…カウンターサッカー型のリズムを作る
小笠原、本山(柳沢、鈴木)
磐田組…守備のリズムを作る
川口、福西、田中誠
千葉組…ロングパス一発でゲームを決めに行く
巻、阿部
今日は格下インド相手ですから、当然ボールポゼッション率をあげていくゲームプランになります。そこで中盤の底に小野選手と福西選手を置き、その前には右に小笠原選手、そして本職のボランチではない長谷部選手が左に置かれました。そして4バックは左から三都主選手、宮本選手、中澤選手、加地選手でした。
今日のホットラインの中心は浦和組です。左サイド、前から長谷部→小野→三都主という並びです。いまいち調子の上がりきらない小野選手をボランチで完全に活かす為にその周辺をチームメイトの三都主選手、長谷部選手で固めるというまさに小野シフトともいえます。ボランチの小野選手ありきなので、浦和ではやらない2列目に長谷部選手がまわされました。しかし、藤枝東高校では2列目でプレイしていた事や、浦和でも攻撃的MFのプレイを試合中何度もしていることなどから実績としては問題ありませんが、ラストチャンスの可能性があるこの重要な試合で本職の位置で試されない彼の心中はいかにという部分はあります。しかし、これでジーコ監督は小野選手を中心に選手選抜を行っていくという事がはっきりしました。中田選手、中村選手を除くMFは小野選手との相性が重要になってくると思われます。
ゲームはインドの守備的な布陣に日本が何度となく突っ込んでいくという流れでスタートしました。
驚いたのは、スタート直後から2列目がポジションチェンジをした「まま」だったことでしょう。浦和組で固めた左の2列目に小笠原選手が長谷部選手とかわって入り、長谷部選手は右にまわりました。正直、スタート直後のこの動きは僕には理解不能でした。ただ、前回長谷部選手が出場した試合で小笠原選手が全くといっていいほど長谷部選手に絡もうとしなかったのを覚えていたので、もしかしたら小野選手との相性が重視されるジーコ構想を理解している小笠原選手が、小野選手との近い位置でのプレーを望んで、ライバルの長谷部選手の位置に自ら入っていったのではないかとちょっとうがった見方をしました。
チームメイトであるということは連携面で何よりも勝る部分ですから、浦和にきて間もない小野選手は別として、三都主&長谷部という息のあうコンビでの攻めというオプションを序盤から失っていたのは、今日のジーコジャパンの攻めのテーマの1つが消される形になっていたわけで、何のための長谷部起用なのか疑問でした。
試合もシュートは打ち続けるものの、どこか一本調子な部分が続き攻撃が単調で、右で長谷部選手のポジショニングが他の選手とかぶるなど、攻撃で1人分損した良くない時間が続きました。この試合は小笠原選手vs長谷部選手というMF生き残りの図式が明確で、序盤は小笠原選手が長谷部選手を制する形となりました。
しかし前半も半ばに差し掛かると前線の巻&久保の両FWがうまく動いてDFを引き連れるために徐々にスペースが出てきて、右から長谷部選手、左からは小野選手が2枚追い越して攻撃に厚みがでてきました。
そんななかの小野選手のゴールでした。このゴールは序盤から競りまくっていたFW2人の圧力に相手DFが焦ったような形でのクリアミスが生んだゴールでした。
後半に入るとインドも1トップから2トップに移行して攻めに転じ、日本ゴールをごくたまに脅かしてきましたが、インドが攻めに人を費やした分更に日本のポゼッションがあがって怒涛の後半となりました。
2列目のイニシアチブも小野選手に活かされ始めた長谷部選手が握りはじめ、彼にボールが集まり始めました。この辺から小笠原選手がゲームから消える時間帯が始まります。
得点を決めた後はレジスタに徹した小野選手が前後左右にボールをバランスよく散らし始め、右から加地選手、左からは三都主選手が自由にセンタリングを上げ続けます。そして遂に小野選手の親が子供にボールを託すようなやさしいパスを長谷部選手があわせて、巻選手がおなかであわせて2点目。
長谷部選手の確実なインサイドも素晴らしいのですが、なにより巻選手のポジショニングの良さが素晴らしかったですね。走れるFWだからこそあの場所に突っ込んできているわけですからね。なにより嗅覚がいい。
そして2点目というセーフティゾーンに突入しはじめた日本代表は、これまで1ボランチ状態で守備に奮闘していた福西選手が『俺も暴れさせろ』とばかりに徐々に前懸かりになって行き、3点目をもぎ取ってきます。福西選手の良さは『点を取る』と決めたときの高い集中力でしょう。
もうこうなるとインド守備陣から玉際の強さは失われはじめますから、足元の技術に勝る日本代表のペースになります。守備でも途中から小野選手に変わって入った遠藤選手が中盤の底をがっちり絞ったために、インドの攻撃はこの後ほぼない状態が続きます。
そしてこの後は久保選手の2ゴール、代表初ゴールとなる得点を決めた佐藤選手など、ジーコ監督が期待している選手たちが見事に期待に応えていきました。
浦和組のホットラインに目を移すと、三都主選手→長谷部選手という立ち上がりが増えて長谷部選手がボールを散らしていくという流れの中心として完全に機能し、ドリブル、ミドル、パスとこの試合に限って言えば彼が後半の王様だったと思います。あとは臨機応変に福西選手や遠藤選手があがって前懸かりになったときに中盤の底まで下がって本職のボランチもこなした視野の広さは経験浅い若さのわりにたいした視野の広さだなと思いました。これが彼のよさだと思いますし、DFからしてみれば中盤を間延びさせない事を考えている彼の存在は有難いと思います。実際、間延びしたときは今日は宮本選手か中澤選手がその位置を埋めにいっていたくらいですから。
長谷部選手はメンタル面の強さだけでなく、フィジカルも強いためプレースタイルが若い頃の万能型の中田選手に似ているなと思いました。小野選手ありきの布陣での本職の位置でない場所でのプレーとなりましたが、最後は自分の力でゲームを組み立てていたのは将来の日本代表にとっても非常に大きな財産になったのではないでしょうか。近所の子なので、ちょっと長谷部長谷部となっておりますが、それだけ価値あるプレーの連続でした。
そして忘れてはいけないのが久保選手。
彼はもう当選確実というよりも、当選でしょう。決定力は半端じゃないですね。
ジーコ監督も久保選手のためのFWパートナー探しをしているのがよく伝わってきます。そして巻選手もそれをよく理解している。長身2人がツートップとしてかみ合う事って結構面倒な事多いのですが、2人の相性がいいのか、バランスよく2人がポジションチェンジをしつつ距離を保っていいプレーをしていました。佐藤選手も久保選手を中心においたプレーを心がけており、非常に機能的な働きをしていました。こうなると思い浮かぶFWがいます。田中達也選手ですね。彼はエメルソンという得点能力の高いセンターフォワードを中心として機能的な動きをしてエメルソン選手の得点力にガソリンを注ぐ働きをしていました。久保選手との絡みも見てみたいですね。
といいますか、横浜Fマリノスで久保選手と組んでいる坂田大輔選手や大島選手は、この試合を何度も何度も繰り返しみたほうがいいですね。この動きをマスターできればきっと久保選手のポテンシャルを十分引き出せると思います。
しかしこうなると欧州のFW組はどうなのかということになります。現状久保選手に勝るFWとなるといないのが実際の所なので、結果が出せてないセンターフォワードの高原選手は厳しい立場でしょう。そしてシャドー、ウインガー的な動きでは鈴木隆行選手よりも柳沢選手でしょうから、欧州組のFWで可能性があるのは柳沢選手でしょうか。(平山選手はジーコ監督のタイプではないと思うので呼ばない可能性大)
さて、長くなりましたが各選手の採点です。(以下敬称略)
川口(6.0点)…守備機会ほとんど無しも、全てのシュート、FKに反応できていた。
宮本(6.0点)…ボランチの位置まであがったりと、相手の攻撃力を見切って効果的な攻撃参加。
中澤(6.0点)…途中1バック状態でよく頑張った、ミスパスが今日も多すぎた。
加地(6.0点)…浅い位置、深い位置と多彩なサイドアタックのトライが良かった。
三都主(6.0点)…効果的なサイドアタック、積極的な枠内ミドルが目立った。
福西(6.5点)…前懸かりの小野が作ったスペースを埋めてインドの攻撃を切った。
小野(6.0点)…本調子ではないが、周りをうまく使って積極的な攻撃。得点も決めた。
長谷部(7.0点)…後半はゲームを支配した。選択肢の多さでどこにも顔を出した。
小笠原(5.5点)…集中力の切れて消える時間帯が最近目立つ。以前のような視野の広さ無し。
巻 (7.0点)…前線からの激しいプレスと積極的なアタックで1得点。
久保(7.5点)…文句なし。この相手では久保を止めることは不可能。
遠藤(6.5点)…出場時間は短いが、きっちりと中盤を締めてインドの攻撃を押さえきった。
佐藤(7.0点)…短い出場時間で1得点、1アシストと完璧。
茂庭(6.0点)…1対1の弱さがまたも露呈。しかし決まりごとの中での守備は問題無し。
ジーコ(7.0点)…交代選手で茂庭を試したのは冷静な判断。
次はボスニア戦。
欧州組も崖っぷちな今日の国内組の頑張りでしたから、気合のはいった面白い試合になる事間違いなしでしょう。中村選手も正直わかりませんよ。
いつも最後まで読んでいただき本当にありがとうございます。
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