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前回はJ1の観客動員数から、無料招待券分を差し引いた数について触れたが、今回はクラブ単位の無料招待券の割合、その中から新潟をピックアップしてみたいと思う。


まず2009年の新潟のホーム観客動員数は568,582人、1試合換算にすると33,446人である。観客動員数751,565人、1試合平均44,210人を誇る浦和に次ぐ優秀な数字となっている


そして肝心の無料招待券の比率は2008年結果だと31.3%となっている。2009年データがまだ手元にないので、2008年データを使わせてもらうが、2009年もそう大差はないと思っているので大きな誤差はでないと思われる。


無料招待券比率が3割を超えているという事は、つまり動員数の3人に1人が無料招待券で来場している計算になる。その比率を使って実際のチケット購入来場者数を計算すると以下のようになる。


観客動員数    :578,582人
チケット購入来場者:390,616人

1試合平均観客数       :33,446人
1試合平均チケット購入来場者数:22,977人


浦和の場合はチケット購入来場者数も729,018人とほぼ来場者全員がチケット購入者によって占められているのがわかる。(浦和の無料招待券比率は0.3%)


当然ながらチケット売上金額にも浦和との差が動員数以上に差がでている。

浦和:28.66億円
新潟: 8.31億円

浦和との比較なので少なく見えるが、動員数で劣っている横浜FMと比較しても新潟のチケット収入の少なさが目につく。


横浜FM
総動員数:374,975
チケット購入者数:324,728人
無料招待券比率:14.4%
チケット売上:8.59億円



新潟は無料招待券効果で常に盛り上がるスタジアムを作り出せている。
そういう点で招待券の果たしている効果は大きい。

しかし人数が集まるという事は、それに対する設備投資、人的資源も否が応でも多くなる。その中で招待券が増えていく、つまり入場料としてお金を落としていかない入場者がいるという事は、費用対効果の悪さを助長してしまう。

もちろん人数が多い=ユニフォームなどのグッズ収入が見込めるというメリットもあるので、まったくの否定はしない。

但し、新潟はこの辺で無料招待券比率を下げていく努力をしたらどうだろうかと思う。


無料というものはビジネスでもそうだが、安直なセールス手法の1つである。無料で売れば確かに客足は増えるかもしれないが、それは売り手と買い手に信頼があって成り立っている交流とはいえない。有料になれば去られるリスクも多く抱えている。そして、無料はかえってブランドを下げる事にも繋がりかねない。また、無料で入場できるという意識は、クラブの発展のために少しでもお金を落とそうというサポーターの意識まで繋がりにくいという考えもある。


色々とインターネットで調べてみると、コアなサポーターと思われる人であっても、無料招待券があればそれを入手して駆けつけているという状況も見られる。つまり、本来お金を落としてくれるはずのユーザーまでがお金を払わないという流れの中に入り込んでいる思いがけないデメリットも発生している。

また、無料チケットがリピーターに流れる率が多くなればなるほど、グッズに対する収入は激減する。それは既にグッズを購入しているため、毎回スタジアムで大きな額のグッズ購入をするわけではないからだ。

本来無料チケットは新規ユーザーに与えられるべきであって、その新規ユーザーが落としていくグッズ収入まで計算されて配布されるべきである。リピーターのために配布されるものではない。


有料化によって客足が遠のくリスクを怖がっていつまでも無料招待券に依存し続けると、後で被るデメリットは大きくなる一方である。幸いにもチームも年々良い感じになってきて、客足が好調となっている今こそ、フロントは思い切った改革をしていくべきだろう。

無料招待による客足増加の中で、ソフトの充実ができれば回収できるという期待もあるのだろうが、実際にそれを挽回できる名案が現在のところあるとも思えない。


見た目の派手な動員数の裏ではクラブの収入は恩恵をうけていないという事実は、一般企業であれば経営者の経営センスを問われる要素となりかねない。


目標としては無料チケットを15%程度まで減少させ、そのプレッシャーの中の必死さでソフトの充実をやる経営判断を期待したい。

ここまで大きな動員数を誇れるようになった新潟の次のステップは本当にクラブを愛し、お金を落としてくれる層の開拓だろう。


新潟はシンガポールにチームをもっていたり他のスポーツにも積極的だったりと、多角経営のセンスはもっている。もっとアルビレックスブランドに自信を持ってもいいのではないだろうか。




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