ポッキーです。

 

先週、アカデミー賞の授賞式が行われましたね。

 

日本映画が2冠!

 

「ゴジラー0.1」が「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーvol.3」をおさえて視覚効果賞受賞の快挙。

 

「君たちはどう生きるか」で宮崎駿が21年ぶりに長編アニメーション賞を受賞。

 

今月末にやっと日本で公開される「オッペンハイマー」が作品賞を含む最多7部門を受賞。

 

個人的には「哀れなるものたち」のエマ・ストーンが2度目の主演女優賞に輝いたことが嬉しかったです。

 

いずれの作品も私は劇場で観ているのですが、振り返ってみるとそれぞれの作品のよって楽しみ方が全然違うなーと感じたので、今回はそのことについて書いてみたいと思います。

 

まずは「ゴジラー0.1」

 

これは「予習復習必要なし。ストーリーに解釈の余地のない映画」です。

 

要するに観終わってから「あれはどういう意味なんだろう?」と悩む必要の全くない映画で、多くのヒット作はこの分類に分けられますね。

 

「ストーリーに解釈の余地がない」と言っても、それは作品が薄っぺらいというわけではありません。

 

解釈の余地はなくても、その作品から受け取るものは人ぞれぞれです。

 

例えば「タイタニック」もそのストーリーに解釈の余地はありませんが、どこのシーンで泣くのかは人によって違います。

 

「タイタニック」を観て、実際に起きたタイタニック号の事件について調べる人はいるかもしれませんが、それによって映画の評価が変わるわけではありません。

 

前知識も必要なければ、後から考察する必要もないエンタメの王道がこの種の映画です。

 

 

 

この作品も鑑賞するにあたり予習復習の必要のない作品ですが、鑑賞の仕方にはある種のコツがあります。

 

それは「ストーリーを追わないようにすること」です。

 

このタイプの作品は作者のイマジネーションを楽しむための映画で、ストーリーを追おうとした途端に観客は迷子になってしまいます。

 

そもそも監督である宮崎駿には「この画を描きたい!」という衝動があるだけで、ストーリーに辻褄を合わせる気はありません。

 

観客は次々と溢れ出してくる監督のビジュアルイメージをただ楽しめばいいだけで、ストーリーに意味を見出そうとすると「訳がわからない映画」としか感じられないことでしょう。

 

もちろん、主人公の少年は監督自身の少年時代の投影だ、とか、石棺はチェルノブイリに関係している、とか様々な考察をすることは可能ですが、そういったことを考えたところで映画の面白さが変わることはないように思います。

 

デヴィッド・リンチの近年の作品もそうですが、作者にはもともとストーリーを語るつもりがないのです。

 

夢を見ているように楽しむ、というのがこの種の映画の正しい鑑賞方法ではないでしょうか。

 

 

 

「オッペンハイマー」

 

扱っている題材が題材なだけに日本公開が大幅に遅れ、今月末、やっと劇場公開される注目作。

 

これは「予習必須の作品」です。

 

オッペンハイマーとは言わずと知れた科学者で「原爆の父」とも評される人物。

 

なぜこの映画が予習必須なのかと言うと、物語を理解する上で欠かすことのできない実在した人物のほとんどが何の説明もないまま登場することがわかっているからです。

 

「オッペンハイマー」には当時の物理学や科学の分野におけるスーパースターたちが数多く登場しますが、彼らが何を成し遂げた人物であるのかについては全く説明されることがないのだとか。

 

例えばビートルズを描いた映画があるとして、そこにミック・ジャガーやエリック・クラプトンが出てきても彼らが何者であるのかがわからなければ映画の面白みは半減するでしょう。

 

意味合いは違いますが「アベンジャーズ・エンドゲーム」のような大ヒット作品でさえも、他のMCU作品を全く観ていないとすれば印象はかなり違ったものになるはずです。

 

作品を存分に楽しむためには予習が必須な映画もありますが、果たして鑑賞前に予習が完全に終わるかどうか…。

 

まあ、わからなかったらもう一回観ればいいよね!

 
 

〉「哀れなるものたち」

 

女版フランケンシュタインの物語です。

 

この愛すべき作品にもストーリーに解釈の余地はないのですが、鑑賞後にこの映画について色々と調べてみると、物語をさらに楽しむことができます。

 

小説「フランケンシュタイン」を書いたのは当時18歳だったメアリー・シェリー。

 

箱入り娘として育った彼女は父親ゴドウィン(映画の主人公ベラの創造主と同じ名前!)のもとを飛び出してシェリーという男とともに駆け落ちします。

 

広い世界で様々なことを経験したメアリーは、ベストセラー作家となっていつしか詩人である夫シェリーよりも名声を得るようになり、次第に結婚以外の恋愛も積極的に試すようになるという当時としてはかなり自由奔放な女性であったそうです。

 

ん? これって映画の主人公ベラが歩んだ人生そのままじゃん!

 

「哀れなるものたち」のクリエイターは、こうやって物語の糸口を見つけたんだなあ、と思い興奮しました。

 

「ブレードランナー2049」は、レプリカントであるレイチェルが子供を出産した後で亡くなったらしい、というところから物語が始まりますが、レイチェルの語源となったラケルはやはり難産で命を落としています。

 

そこから「ブレードランナー」の続編は発想されたのか! と感動したことを今でも憶えています。

 

鑑賞後に復習することで、さらに深みが増すという作品もありますね。

 

というわけで、今回はアカデミー賞を受賞した映画の中から4作品をピックアップして、私なりの鑑賞法について語ってみました。

 

映画の楽しみ方は人それぞれ。

 

皆さんはどのように映画を楽しんでいらっしゃるでしょうか?

 

それではまたお会いしましょう。

 

Keep on Watching!