すれ違う幸せそうな人たちを睨んだって、同じ場所をうろついていたって、結局はどうしようもなくなって泣くんだ。
握りこぶしは少しだけ振るえ、足元ばかりを見つめて歩いた。
何故、こんな思いをしなければいけないのだろう。
最初から分かっていたことでも、いざ自分の目に写すと…刺々しい現実はそこに相変わらず佇んでいた。そして、僕はそれまでちっとも受け入れていなかったことを、深くゆっくりと思い出す。
向けようのない遣る瀬無さや苛立ちは矛先を見失って、だから僕は僕を憎んだ。
星なんて見えない夜空、黒い海と波音。
誰も居ないレストラン。
吐き出したものは僕の弱さだった。
涙は零れ、呼吸は乱れ、壁に寄りかかる。
重い身体をおこし、僕は僕を介抱した。
真っ直ぐには歩けず、また、足元ばかりを見ていた。
視界は途絶えそうになったけど、まだ眠る時間じゃないんだ。
握った拳を緩め、深呼吸をし、再び強く握り締めた。
I'm not alone.