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総務省のSIMロック解除方針に対して、「利用者の要望があれば」としていたNTTドコモが一転、全面的にSIMロック解除の方針を決めたのは、他社の解除も促すことで利用者を取り込みたいとの思惑があるからだ。
[表でチェック] 互換性は? 携帯3社のSIMカード
全国をほぼすき間なく網羅する無線ネットワークが強みのドコモは通信品質で定評があり、SIMロック解除によって流動化した他社の利用者を呼び込みやすい。
これに対して、周波数や基地局設置で後塵(こうじん)を拝するソフトバンクは解除に消極的だ。孫正義社長は「端末の値段が4万円以上高くなる」などと述べ、解除対応端末の投入は2割強にとどめる方針だ。
また、米クアルコムの規格を採用しているKDDIはドコモやソフトバンクと互換性がなく、SIMロックを解除しても同じ端末を相互に利用することはできない。ただ、次世代高速データ通信規格では、ドコモやソフトバンクと同じ「LTE」の採用を決めており、将来はドコモなどと同じ事実上の業界標準規格に軸足を移す可能性を示唆している。
大手携帯電話事業者がSIMロック解除に三者三様の思惑をみせる一方、利用者の恩恵は不透明な面が多いのも事実だ。例えばドコモの場合、「iモード」や「iチャネル」など付加価値サービスは、ドコモの端末に他社のSIMカードを差し込んでも、他社の端末にドコモのSIMカードを差し込んでも利用できない。これは各社共通だ。
規格の違いに加え、周波数対応の違いも相互利用の壁となりかねない。複数の事業者が絡むと、不具合が生じた場合の対応も混乱を招きかねず、体制整備も急務となる。「ユーザー利便は当面、同じ端末で海外のサービスが利用しやすくなることぐらい」(通信事業者)では、総務省が掲げる「料金低廉化」や「新規参入促進」などの効果は期待できそうもない。
ドコモは全機種SIMロック解除と歩調を合わせて、5年間で約3500億円だったLTEの設備投資計画を「3年で3000億円」(山田隆持社長)に前倒しする。5年後に約2万局としていた基地局設置は3年間で2万局以上に早め、51%以上のカバー率を達成し、来年以降の本格競争が予想されるLTEの設備整備でも先行する腹づもりだ。
ただ、海外ではSIMロックが解除されている米アップルの「iPhone(アイフォーン)」や「iPad(アイパッド)」について、ソフトバンクの孫社長は「敵に武器は渡さない」とSIMロック解除を否定する。
SIMロック解除による市場開放が事業者の利害の対立で歪曲(わいきよく)されるとしたら、利用者利便や競争促進、さらに日本の携帯電話市場の“ガラパゴス化”解消といった当初の目的は置き去りにされかねない。(芳賀由明)
■SIMロック 携帯電話には契約者識別情報などを記録しているSIMカードが入っている。現在は特定の通信会社でしか利用できないよう“鍵”がかけられたままで端末が販売されており、これをSIMロックという。海外では米アップルの「iPhone」や「iPad」などがSIMロックを解除して販売されるケースが増えている。日本でも総務省が6月にSIMロック解除の指針を公表したが、携帯電話事業者の対応はまちまちだった。SIMロックが解除されれば、異なる携帯電話事業者の端末でも、通信方式が同じならSIMカードを差し替えて利用できるようになる。
本当に、ガラパゴス化ですね。
島国根性とはよく言ったもので、全くイヤラシイ性格してますね。
海外携帯にやられるの時間の問題なのは誰の目に見ても明らか!