投資家の方々よく読んでください
[ニューヨーク 9日 ロイター] リーマン・ブラザーズ(LEHMQ.PK: 株価, 企業情報, レポート)が1年前に破綻した際、アナリストは1人残らず市場の信頼を失った。それから1年経ち、名誉を回復できたアナリストはほとんどいない。
リーマン破綻前に誰1人として同社の投資判断を「セル」としていなかったアナリストらは、銀行株が今年3月から力強い回復を遂げる前に、あえて銀行株に強気の投資判断を下す勇気を持つことはできなかった。銀行株を「バイ」としていたアナリストは、ごくわずかしかいない。
今年から金融株の買い入れに着手したカボット・マネー・マネジメントの最高投資責任者(CIO)、ロバート・ラッツ氏は「ウォール街には『皆で渡れば怖くない』と考える病気がまん延している」と語る。
2007年にシティグループ(C.N: 株価, 企業情報, レポート)の苦境を予測して一躍名を馳せたメレディス・ウィットニー氏や、弱気派として知られるマイク・マヨ氏といったスター・アナリストですら、今年の銀行株回復やリーマンの問題を予測することはできなかった。
アナリスト評価を公表しているトムソン・ロイターのスターマインによると、2008年に金融セクターに関する投資推奨が商業銀行あるいは資本市場関連銘柄の指数を上回ったアナリストの比率は、わずか45%にすぎない。アナリストのパフォーマンスは今年になっても好転せず、今年これまでのところ、投資判断のパフォーマンスが指数を上回った銀行アナリストの比率は46%にとどまっている。
それを考えれば、アナリストが担当する業界に通じているという見方は疑わしい。誰でもそうだが、人々は群集心理に左右されやすい上、自分だけが他人と違う判断を下せばキャリアに傷がついてしまうと恐れるため、偉業を成し遂げるのは難しいものだ。
FBRファンズのCIO、デビッド・エリソン氏は「アナリストは公に間違いを犯すことを恐れている」と語る。同氏によると、ファンド会社で自分の名前を出さずに調査しているアナリストの方が、人々の目に触れないところで働いているため優れた予測を出しやすいのだという。
<誤った判断>
昨年は、銀行セクターをカバーしているブローカー20人のうち、投資家に利益をもたらしたのは9人だけだった。著名なアナリストの成績もさまざまだ。
ベテラン・アナリストのディック・ボーブ氏の助言を受けた投資家は、同氏が4月にバンク・オブ・アメリカ(BAC.N: 株価, 企業情報, レポート)を買い推奨したことで利益を得たに違いない。バンカメ株はその後、倍以上に急伸した。だが、ボーブ氏は2008年8月21日付でリーマンについても買い推奨を出している。リーマン株はその後94%下落し、現在は事実上無価値となっている。
メレディス・ウィットニー氏は2008年にシティやベアー・スターンズを売り推奨し、投資家に利益をもたらした。しかし、同氏はリーマンやモルガン・スタンレー(MS.N: 株価, 企業情報, レポート)、ゴールドマン・サックス(GS.N: 株価, 企業情報, レポート)について継続保有を推奨しており、それに従っていればシティやベアーでの儲けを吐き出さざるを得なくなった。
インスティチューショナル・インベスター誌から2008年に大型株アナリストとして3位にランクされたマイク・マヨ氏は、2008年7月に銀行株に対して「さほどネガティブでない」スタンスを取った。だが、KBW銀行株指数は2008年末までに30%下落した。その後、マヨ氏はドイツ銀行からカリヨン証券に移籍した09年4月に銀行株を「アンダーパフォーム」としたが、KBW銀行株指数は逆に、それ以降60%上昇した。
優れた成績を残したアナリストは1位がドイツ銀行のマシュー・オコーネル氏、2位が08年にメリルリンチに在籍していたエド・ナジャリアン氏だが、彼らはリーマンをカバー対象としていなかった。
<優れたアドバイス>
もっとも、銀行セクターの投資判断が難しいのは間違いない。複雑なデリバティブや高水準のレバレッジにより、銀行の業績は一段と読みにくくなっている。
以前シティグループで債券アナリストを務めていたヘキサゴン証券のアナリスト、エサン・ハイスラー氏は「銀行はブラックホールだ。銀行を正確に分析する方法などなく、知りたいことも分からない」と指摘する。
その中で、優れたパフォーマンスを上げたアナリストもいる。スターマインによると、今年これまでに最も投資家に利益をもたらしたアナリストは、サンドラー・オニール&パートナーズのジェフ・ハルテ氏と、バンカメのガイ・モスゾコウスキー氏だ。
ハルテ氏の投資判断に基づくロング/ショート・ポートフォリオは28%、モスゾコウスキー氏の助言に従えば約6%の利益が得られた。それに対し、KBW銀行株指数は今年これまで、横ばいで推移している。
投資家にとって、最も優れたアナリストを選別することは、最もパフォーマンスの高い銘柄を選択するのと同じくらい難しい。FBRのエリソン氏のアドバイスに従って、アナリストのコンセンサスと全く逆の投資行動を取ることが最も高いパフォーマンスを上げる方法かもしれない。
エリソン氏は「すべてのアナリストが強気になる時は、(銀行株を)保有するのを心配すべき時だ。すべての人々が強気の時はショートポジションを取り、皆が弱気の時は株を買い入れるべきだ」と語っている。
所詮は、こんなもんです。
投資は、ゲームですので、莫大な資金を握っている一部の人たちのお遊びに近いです。
アナリストは下界から天上界に物を申しているので、当たるも八卦当たらぬも八卦です。
歴史を見たほうがより良い答えが出るかも・・・・・