1963年4月11日、ビートルズのサード・シングルのB面としてリリース。タイトルはA面とセットになっている。

A面    From Me To You(僕から君へ)
B面    Thank You Girl(ありがとう)

ジョン「この曲を書いたのはポールと僕。その場ででっち上げたいい加減な曲だ」「だからB面になったのさ」

ポール「ファンレターをくれた女の子たちへの感謝の意を込めて書いた」「陳腐な曲と言えなくもない。でも、何事も経験だよ」


Thank You Girl
サンキュー・ガール
Lennon/McCartney


Oh, oh, you've been good to me
You made me glad when I was blue
And eternally
I'll always be in love with you
And all I gotta do
Is thank you girl, thank you girl

I could tell the world
A thing or two about our love
I know little girl
Only a fool would doubt our love
And all I gotta do
Is thank you girl, thank you girl

Thank you girl for loving me
The way that you do(way that you do)
That's the kind of love
That is too good to be true
And all I gotta do
Is thank you girl, thank you girl

Repeat*

Oh, oh, oh
Oh, oh, oh
Oh, oh



君はずっと僕によくしてくれた
沈んだ気持ちのとき
僕を元気づけてくれた
僕は永遠に君に恋している
君には感謝の言葉しかない
ありがとう

僕たちの愛について
世界中に伝えたいくらいだ
いいかい、可愛い恋人よ
僕たちの愛を疑うのは馬鹿な人だけさ
君には感謝の言葉しかない
ありがとう

心から感謝している
こんなふうに僕を愛してくれて
それは素敵な愛なんだ
本当とは思えないほどにね
君には感謝の言葉しかない
ありがとう

繰り返し*



(英文解説)

●Thank You Girl

→“Thank you.”は感謝を表す時のもっとも一般的な言い方。親しい間柄では短く“Thanks.”と言う。


●You've been good to me

→You've been=You have been で現在完了形の継続用法。過去から現在までずっと“good to me”という行為が継続していることを表す。


●You made me glad when I was blue

→この文が過去形なのは、過去の時点(自分が憂鬱だった時)における相手の行為を表すから。


●All I gotta do is thank you girl

→gotta do=got to do=have got to do 「…しなければならない」という口語表現で、“have to do”の変化形。

したがって「僕がしなければならないのは、君に感謝すること」という意味。


●I could tell the world

→これは過去時制ではなく、仮定法過去で「世界中の人に伝えたいくらいだ」という意味を表す。


●a thing or two

→「一つか二つのこと」。と言って「一つか二つ」に収まるのはまれである。


●Only a fool would doubt our love

→これも仮定法過去の用法で「(もし疑う人がいるとしたら)馬鹿な人だけさ」という意味になる。


●Thank you girl for loving me

→“Thank you for 名詞(doing)”で「…に感謝する」

例文
Thank you for everything.
いろいろありがとうございます
Thank you for your advice.
ご忠告に感謝します
Thank you for driving me home.
家まで車で送ってくれてありがとう
Thank you for not touching.
お手を触れないようにお願いします


●too good to be true

→“too A to do”で「…するにはAすぎる」

例文
It's too cold to swim.
泳ぐには寒すぎる
This sweater is too small for me to wear.
このセーターは私には小さすぎて着られない


なおこの“That is too good to be true”の部分の歌詞は、実は“That seems too good to be true”が正解で、その証拠にポールはジョンの裏でちゃんと“seems”と歌っているという指摘がある。確かによく聴くとそう歌っているような…。歌詞を間違えても平然としているのがいつものジョンである。



(この曲について)

A面の〈フロム・ミー・トゥ・ユー〉と似た曲である。イントロにハーモニカが入るのは同じだし、ジョンとポールのデュエットで曲が進行し、ユニゾンになったりハーモニーになったりするのも同じである。

同じような曲であるなら、この曲がB面になったのはやはり「出来が悪かったから」だろう。

しかし曲の出来は悪くても、ジョンとポールのデュエットは息があっていて、つくづくうまいなと思うし、ポールのハーモニーが気持ちよくてたまらない。

この曲のもう一つの聴き所はリンゴのドラムスだ。イントロの連打から歌に入るきっかけのフィルの素早さ、そしてエンディングの乱れ打ちのセンスの良さ、見事である。

不出来な曲にも必ずどこか聴き所がある。ビートルズだからね。