2019.1.18
朝日新聞
親から虐待されるなどした子どもたちが一時的に暮らす「子どもシェルター」を舞台にしたドラマが放映されている。脚本を手がけた清水有生(ゆうき)さんは、「ドラマを見た人に、『行き場がなくて困っている子がいるんだ』ということが伝われば」と話す。
■親への複雑な感情、脚本に
昨年12月から東海テレビ・フジテレビ系で放映されているのは「さくらの親子丼2」(土曜深夜)。真矢ミキさん演じる主人公の九十九(つくも)さくらが、子どもシェルターの調理スタッフとして、様々な虐待を受けてきた10代後半の子たちと関わる姿を描いている。
清水さんが、知人の弁護士からシェルターのことを聞いたのは15年ほど前。「いつかドラマにして紹介したい」と構想を温めてきたが、「虐待の話は数字(視聴率)が取れない」などと言われ、なかなか実現しなかった。行き場のない人たちに向き合うさくらの姿を描いた「さくらの親子丼」(2017年)は視聴者の関心を呼び、続編の舞台をシェルターに設定した。
子どもたちの緊急避難先であるシェルターは場所が非公開で中に入れないため、二つの子どもシェルターに関わる弁護士らに取材して脚本を書いた。清水さんは当初、虐待された子も親に甘えたい瞬間はあるのではと考え、「さくらが『お母さん』のような存在になり、子どもが少しずつ心を開いていく」ストーリーを考えていたという。
ところが、弁護士から言われたのは「清水さんは、そういう子どもたちの気持ちが分からないんですよ」。親から売春させられたり、母親の再婚相手から犯されたりした子たちは、「これっぽっちも親への憧れなんて持たない」。親の付けた名前を変えたがる子も珍しくないと聞き、衝撃を受けた。前作では親子関係の象徴として親子丼が登場したが、今作では、女の子が「なにが親と子一つで親子丼だよ。なんで、親なんかと一つになんなきゃいけねぇんだよ!」と叫ぶ場面もある。
シェルターを出た後も、就職面接に落ち続けて風俗で働く子や、身寄りがなくアパートを借りられない子もいる。「施設を増やすことも必要だけど、こういう子どもたちを受け入れる世の中になってほしい」と清水さんは話す。
(山本奈朱香)
朝日新聞
親から虐待されるなどした子どもたちが一時的に暮らす「子どもシェルター」を舞台にしたドラマが放映されている。脚本を手がけた清水有生(ゆうき)さんは、「ドラマを見た人に、『行き場がなくて困っている子がいるんだ』ということが伝われば」と話す。
■親への複雑な感情、脚本に
昨年12月から東海テレビ・フジテレビ系で放映されているのは「さくらの親子丼2」(土曜深夜)。真矢ミキさん演じる主人公の九十九(つくも)さくらが、子どもシェルターの調理スタッフとして、様々な虐待を受けてきた10代後半の子たちと関わる姿を描いている。
清水さんが、知人の弁護士からシェルターのことを聞いたのは15年ほど前。「いつかドラマにして紹介したい」と構想を温めてきたが、「虐待の話は数字(視聴率)が取れない」などと言われ、なかなか実現しなかった。行き場のない人たちに向き合うさくらの姿を描いた「さくらの親子丼」(2017年)は視聴者の関心を呼び、続編の舞台をシェルターに設定した。
子どもたちの緊急避難先であるシェルターは場所が非公開で中に入れないため、二つの子どもシェルターに関わる弁護士らに取材して脚本を書いた。清水さんは当初、虐待された子も親に甘えたい瞬間はあるのではと考え、「さくらが『お母さん』のような存在になり、子どもが少しずつ心を開いていく」ストーリーを考えていたという。
ところが、弁護士から言われたのは「清水さんは、そういう子どもたちの気持ちが分からないんですよ」。親から売春させられたり、母親の再婚相手から犯されたりした子たちは、「これっぽっちも親への憧れなんて持たない」。親の付けた名前を変えたがる子も珍しくないと聞き、衝撃を受けた。前作では親子関係の象徴として親子丼が登場したが、今作では、女の子が「なにが親と子一つで親子丼だよ。なんで、親なんかと一つになんなきゃいけねぇんだよ!」と叫ぶ場面もある。
シェルターを出た後も、就職面接に落ち続けて風俗で働く子や、身寄りがなくアパートを借りられない子もいる。「施設を増やすことも必要だけど、こういう子どもたちを受け入れる世の中になってほしい」と清水さんは話す。
(山本奈朱香)