竹田恒泰(たけだつねやす)
1975年、旧皇族の竹田家に生まれる。
憲法学や史学の研究に携わる。
著書に「原発はなぜ日本にふさわしくないのか」
がある。

リベラルは脱原発、保守は原発維持。
なんとなくそんな思い込みがあります。

しかし保守を自称する竹田さんは、
反原発論者だと言います。

竹田さんの意見を聞きましょう。

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私は皇室につらなる家に生まれました。神話や日本史などについて書き、講演や活動もしてきたので、生粋の保守派です。
それに、筋金入りの反原発論者でもあります。いまこそ日本から原発を徐々になくしていくべきだと主張しています。
(略)
「左翼にだまされるな」と忠告してくれる人もいます。でも、私が「原発反対」を言い出したのは、高校時代の英語のディベート大会がきっかけで、あらゆる原子力の本を読破してからです。また、大学時代に原発労働者の被曝の実態を知ったことが大きかった。
(略)
日雇い労働者たちは、原発の定期検査が年に一度行われるとき、手配師にかき集められていました。技術者が原子炉圧力容器に近づく前に、放射性物質をふきとる除染作業に投入され、線量計が警告音を発するまで作業をする。1日に数分から30分ほどの作業で約3万円。1週間ほどで体調不良を訴えてやめる人も多いと聞きました。

原子力安全・保安院の資料によると、被曝する労働者は年に延べ6万~8万人。主な研究機関が示した「被曝のリスク評価」などから控えめに推計しても、これまでに160~320人の労働者が慢性放射線障害によるがんで亡くなったことになる。原発は、一定の犠牲の上に成り立ってきたわけです。

革新派が唱える「反原発」は「反核」「平和」が根本にあります。でも、保守派がいう「原発推進」には、明確な理由がそんなに思い当たらない。一つは日本の将来の核武装のために必要だ、という論。でも、米国も中国もかつて原発がないのに核兵器を開発したように、原発と核兵器は無関係です。

もう一つは、共産党や社民党の主張にくみしたくないという感情論。そうであれば、考え直す必要があります。

原発の賛否とイデオロギーは本来、直接関係がない。エネルギー政策は最も重要な国策ですから、保守も革新も先入観を排し、真の国益を考えた議論をすべきなのです。私自身は、日本は脱原発を実現させ、クリーンエネルギーの先駆者として世界をリードすべきだと考えます。


(朝日新聞2011.7.8)

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思想や主義にとらわれず、
事実にのみ基づいて、
原発の是非を考えていきたい。

原発推進派の皆さん、
変なメンツやプライドは捨てて、
反原発論者の意見にも
ちゃんと耳を傾けてください。

そして原発推進の本当の理由を
教えてください。