「コーチと温泉行ってくるで」
「デートか。行ってらー」
「ちげえし・・・」
今では定番になったあたしとドライのやり取り。
他校の外部コーチをやっている20代後半の兄ちゃんと仲良くなったのは昨年の話。
小学生の頃、近所の空き地で野球を楽しんでいたら県外の大学生のお兄ちゃんたちが通りかかり(一応観光地)余りの【昭和臭さ】がツボだったらしく・・・。
それから3年連続で夏になると「こんにちはー」とドライに会いにわざわざやって来た、なんて逸話がゴロゴロある息子なので驚きはしない。
我が家から車で1時間はかかる場所から迎えに来てくれて、温泉に行き、ご飯を食べ、また送ってくれる…うむ。
最初は良かったね。なんて言ってたんだけど、どっか引っかかるんだよね←
温泉も、ご飯も驕ってくれるのだとか。
まあ、温泉ったって400円、高くたって500円程度の日帰り温泉だし、ご飯ったってガストや吉牛程度なので甘えておけばいいんだろうけれど。
結構な頻度で誘われてる。
「ああ、部活っす。またー」
サラッと都合が悪い時は断るドライだ。
なんだか多忙な新入社員に追いすがる学生の彼女…みたいな構図w
温泉でインドネシア人そっくりな浅黒い引き締まった少年ボディを楽しんでいる姿を想像する下衆な中年おばちゃん。
いや…とりあえずまさか!の線引きを想像してみるじゃない。え?しない?え?w
「ねえ、コーチ…あんたのこと好きなんじゃね?」←
「ちげえし。コーチ彼女がおるって言っとったに。結婚するらしいよ」
へえ…どっか引っかかるんだよなぁ←さやか心の声
「いいんだに。今時男も女もないに」
「ちげえってばww俺はノーマルだ!」
今年度に入って外部コーチを辞めたのだと風の噂で聞いたんだ。
「ああ、仕事と掛け持ちも大変だし、そろそろ結婚するんじゃね?」
ふーん。そうなんだ。それなら良かったよねぇ。
夏休みに入る前ドライが浮かれて言ったんだ。
「俺、今度海行ってくるで!泊りで!」
いつ…誰と…どこの…海…よ(お前も原人か)
どうやらコーチの実家が海辺でテニスコートも近くにあって、合宿を兼ねて昨年は他の子たちが行ったのだそうで(他校の生徒だけどドライも付き合いのある先輩方々ね)
ねえ。3泊4日で実家に帰るのはわかるんだけどさ。
それなら彼女も連れてくんじゃね?
つか、そろそろ結婚とか言ってるわりには男子と遊ぶ率高くね?
まさかのエア彼女じゃね?
キョトンとした後、目が左右に泳ぐ。
ドライは何でもかんでも顔に出る。
動揺したな…初めて動揺したなw
そのまま放っておいたのだけれど。
数日後
「その日部活内でトーナメント戦があって、俺には絶対に参加して欲しいと監督に言われたので、海には行けないっす」
断ってたわwww
ドライのことだから馬鹿正直に監督に言ったに違いない。
その上で監督も【絶対に参加】なんて休みをくれなかったとすれば、なにか思うところがあるのかも←ゲスの勘繰りパート2
その後何度も誘われて。
後輩や友人たちと一緒にテニスした後に温泉行ってご飯を食べてがあったりする。
テニスを教えてくれるから
驕ってくれるから
連れてってくれるから
悪いから断れない←にならなきゃそれでいいと思っている。
年齢や職業や育ちに関係なく付き合いがあるのは良いことだし。
色んな人に可愛がってもらうのは大切なこと。
テニス一筋のドライだからうまくなるためなら教えを請いたいだろうし。
おばちゃんは下衆いこと想像したけど、単に裸の付き合いが楽しいのかも知れないし。
馬が合うから楽しい時間も過ごせるのだろう。
ただ、距離感を間違えちゃだめだなと思う。
不即不離。
良い距離で良い関係。
今のところそれが出来ているようでそっと見守っているところ。
それにしても…エア彼女が気にかかる(こら)
そんなある日の思考の欠片。