過去のお話し⑨
の続きです。
男友達を介して出会ったひとつ年上の彼。
わかりやすい人だったから、初めて会った時から好意的な視線を向けられていることは感じていた。
みんなで遊んだり二人で遊んだりするうちに、自然と心が開かれていく。
そんな時に告白してくれたので、彼の真っ直ぐな気持ちを受け入れようと思えた。
「ゆみこは俺の宝物」、「自慢の彼女」。いつもそんなふうに言ってくれて愛情を注いでくれた。
クリスマスにはお揃いのネックレス、ホワイトデーには欲しかったカバン。
成人式には家が貧乏で振袖が準備できなかった私に、彼のお母さんがお着物を貸してくれた。彼は仕事の休みを取ってついてきてくれた。
たくさん良くしてもらった。
だけど、そのお付き合いも長くは続かなかった。
当時の私はとてもわがままで、ひどく情緒不安定だった。
見た目や雰囲気、よそ行き顔の私とは裏腹に内弁慶で家族や彼には激しい感情をぶつけてしまう。
そんな態度が彼を疲れさせた。
途中、別れたり戻ったりもあったが最終的には彼が浮気に走った。
彼も悪い。だけど、今なら他の女性に癒しを求めるに至った彼の気持ちも分かる。
私自身も彼を男性として好きというよりも、彼の与えてくれる愛情に依存していただけだったように思う。
そういうこともきっと見抜かれていたに違いない。人ってそんなに鈍感な生き物ではないから。
だけど当時の私は裏切られたとしか思えず、ごはんが食べられなくなってしまい周りに心配されるほど痩せた。
メンタルがおかしくなり始めたのはこの頃からだった。
続きます。
過去のお話し⑪