間違われ電話の主③ | LOVELOG

この話は遡ること5年ほど前。正確にはわからないが、たぶんそのぐらいだろう。

見知らぬ番号からの電話をとった時のこと。


「もしもし、戸塚さんですか? 」

「違います」

「あれ? すみません…」

ガチャ


相手は60オーバーのおじさんだった。

東北の方の訛り口調が特徴的だった。

なんだ。間違い電話か…と思っていたら、再び同じ番号から着信が。


「もしもし、戸塚さんですか? 」

「違います」

今回は間髪入れずに言った。むしろ、かぶせ気味に。


「あれ? 電話番号って、090-XXXX-XXXX」


当たり前だ。それはアタシの番号だ。だからアタシにかかってんだよ!

と言いたいのをグッとこらえて

「電話番号は合ってるんですけど、アタシは戸塚さんではないです」


そう言うと納得したのか、分かりました。すみません。と、電話が切れた。

ここまでは、普通の間違い電話だったで終わるけど、この話はここで終わらない。


数か月後、またその人から電話がかかってきたのだ。

内容は言うまでもなく、同じだ。


数か月も経っていたので、そんな電話があったことすら忘れていて

うっかり出てしまったってわけだ。


「戸塚さんですか? 」という第一声を聞いて、ハッとしつつ、ゲンナリ。

さらに、今回も電話番号を確認されたので、

一瞬、あ、これってデジャヴ? と錯覚すらしてしまった。

デジャブじゃない、二回目だ。


だけど、今回は相手が納得するまで、アタシが戸塚ではない事を

教える&説得すると意気込んだアタシ。


「えっと。以前に、この電話番号を戸塚さんが使用していたかもしれませんが

アタシはXXです。電話番号って解約してから、数年経つと他の人が使用するって

聞いたことがあります。なので、アタシが今使っているんじゃないでしょうか?

ちなみに、この電話番号は4年ぐらい使っています。

(だから、戸塚さんの連絡先を調べなおしてくれ。わかった? ) 」


そう言うと、相手は納得してくれたようで、

今回は確認の2回目の電話がなかった。


…と、間違い電話の話は一件落着するかと思いきや

まだ終わらないのだった。