この話は遡ること5年ほど前。正確にはわからないが、たぶんそのぐらいだろう。
見知らぬ番号からの電話をとった時のこと。
「もしもし、戸塚さんですか? 」
「違います」
「あれ? すみません…」
ガチャ
相手は60オーバーのおじさんだった。
東北の方の訛り口調が特徴的だった。
なんだ。間違い電話か…と思っていたら、再び同じ番号から着信が。
「もしもし、戸塚さんですか? 」
「違います」
今回は間髪入れずに言った。むしろ、かぶせ気味に。
「あれ? 電話番号って、090-XXXX-XXXX」
当たり前だ。それはアタシの番号だ。だからアタシにかかってんだよ!
と言いたいのをグッとこらえて
「電話番号は合ってるんですけど、アタシは戸塚さんではないです」
そう言うと納得したのか、分かりました。すみません。と、電話が切れた。
ここまでは、普通の間違い電話だったで終わるけど、この話はここで終わらない。
数か月後、またその人から電話がかかってきたのだ。
内容は言うまでもなく、同じだ。
数か月も経っていたので、そんな電話があったことすら忘れていて
うっかり出てしまったってわけだ。
「戸塚さんですか? 」という第一声を聞いて、ハッとしつつ、ゲンナリ。
さらに、今回も電話番号を確認されたので、
一瞬、あ、これってデジャヴ? と錯覚すらしてしまった。
デジャブじゃない、二回目だ。
だけど、今回は相手が納得するまで、アタシが戸塚ではない事を
教える&説得すると意気込んだアタシ。
「えっと。以前に、この電話番号を戸塚さんが使用していたかもしれませんが
アタシはXXです。電話番号って解約してから、数年経つと他の人が使用するって
聞いたことがあります。なので、アタシが今使っているんじゃないでしょうか?
ちなみに、この電話番号は4年ぐらい使っています。
(だから、戸塚さんの連絡先を調べなおしてくれ。わかった? ) 」
そう言うと、相手は納得してくれたようで、
今回は確認の2回目の電話がなかった。
…と、間違い電話の話は一件落着するかと思いきや
まだ終わらないのだった。