間違われ電話の主② | LOVELOG

数年前のこと。深夜に震えたアタシの携帯。


気づいた頃には、もう留守電に切り替わっていたし

知らない番号からの着信だったので、その留守電を聞いていた。


「かちょー。かちょーの鞄、

山田が家の近くまで持っていってまーす」


留守電の主は、ほろ酔い口調の男性だった。


飲み屋かなんかに鞄を忘れて帰宅してしまった課長の家まで

電話の主の後輩(勝手に予想)である山田が届けに行くのか。

会えない課長の為に山田はどうやって鞄を渡すんだ!? 

これは早く電話せねば!! とすぐに折り返したのだが、電話に出ない。



2回ほどかけたけど、電話にでないので、きっと間違えて電話した事に

気づいたか、課長に鞄を渡せたのだろうと思う事にした。

一週間後、また見知らぬ留守番電話。

とりあえず、聞くことにした。


「課長、忘年会は栄の天狗で18時からです」


あのほろ酔いの男性が素面の声だった。


なんだ。間違えて電話したって気づかなかったのか。


ここで、集合場所を課長に知らせないと課長だけ年を忘れぬままだ。

いかん、課長に知らせなくては!

と電話を折り返すも、また出ない。



鞄を忘れて帰宅、一人だけ忘年会会場の場所が分からない課長。

顔も名前も知らない課長だけど、ここまで来ると

なんだか可哀想になってきた。


でも、それ以来電話はかかってこなくなった。