3月28日(水)
昨日より早い7時半には家を出た。
いつものように乗合タクシーを乗り継いで。
だいぶ慣れてきたが、やはり、乗るときは緊張する。
少年が「ファランサイに行くの?」と聞いてくれて、
「そうよ、これでいいの?」
「うん、ぼくが降りるときに教えてあげる」
のようなことを言ってくれたので、乗った。
ファランサイの近くに来ると、
少年は、私を目で合図して、ここだよと教えてくれた。
この少年は、学校に行っているようには見えない。
このファランサイで何をしているのだろう。でも、笑顔がかわいい。
LemLemスクールに着くと、早く来た子から丸く輪を作って、
待っている。私の姿を見ると、みんな集まってきて、
我先にと手をつなぎたがる。
"Hello, How are you, this morning"
と聞くと、
"I'm fine thank you"
とちゃんと答える。
朝の集会でフルートを吹くことになっていたので、
軽く音出しをして準備をする。
そして、年少の子供たちの輪の中に行くと、
"Maki, Maki"とまたみんな寄ってくる。本当に可愛い!
シャツを引っ張る子、他の子が握っている手をはずそうと
する子、ワーッと一斉に寄ってきて、もみくちゃにされる。
ここでは、私は本当に人気者だ(笑顔)!
一通りのかなりハードな体操が終わって、
今日は"Hocky Pocky"を教えてあげる。
ノリのいい先生たちなので、大いに盛り上がった。
そして、フルートの時間。まず、フルートを見せて、
音を出して見せて、これがフルートだよと教える。
「フルート」「フルート」
と何度も子供たちに言わせて、覚えさせる。
初めて見る楽器に、先生達も念入りに子供たちに覚えさせようと
説明をしてくれる。
私の名前を「フルート」だと思った子もいたようだ。
しかし、残念なことに持参したCDがうまく使えず、
そして、時間がなくなってしまい、演奏は明日に持ち越しに
なってしまった。なんか張り切っていたのに、ちょっとガッカリ。
なんか、すごくアバウトな集会だ。
今日は年少組のひとクラスでアクティビティを担当することに。
昨夜準備をした通りに進める。
今日一日でできることは限られているから、彼らが
知っている英語をできるだけ反復する形で進める。
まず、導入の音楽。
友人から借りたCDを使って、挨拶の歌。
"Knock Knock Hello"
そして、数の数え方を別の友人から借りたお花のフェルトが
ついた手袋を使って見せる。
先生にも手伝ってもらって、10個のお花を数えながら、色も
覚えてもらう。
"Seven Steps"
次に色紙を出して、色を英語で言ってもらい、
折り紙をする。一番簡単な、イヌを作ってもらった。
しかし、三角に折るという作業がまったくできない。
先生たちに協力してもらって、何とか顔を描くところまで完了。
実は、一番子供たちに受けたのは、
日本の絵本「もこもこもこ」だった。
日本の子供たちも大好きだから、絶対受けるとは思っていたが、
一緒に「しーん」とか、「もこ」とか、「にょき」とか、「つん」
とか言って、大いに楽しんでくれた。
"Excuse Me"の絵本も読んであげる。いろんなシチュエーションで
英語で何というかという絵本だ。
あまり絵本を読むという習慣がないようで、こうして絵本を読んで
あげるということを日常の活動に取り入れるべきだと思う。
先生たちも一生懸命だが、あまり、幼児教育と言うことに慣れている
ようには見えない。
この後、ブレクファストで、大騒ぎ。「ベイf、ブラm(食べる)」、
「バッカ(満腹)を覚える。
この後遊んで、
またランチタイムとなる。
あまりお腹すいてないよね。
テーブルの上も下も食べこぼしで散乱し、口から吐き出す子もいて、
自分で食べられるのに、食べさせてもらうのを待っている子もいる。
はい、あーんして
ひとりで食べられた子に、「エクセレント!」「ゴベス!(すごい)」
と褒めると、うれしくてまたいいところを見せようと一人で食べる。
また、写真に撮ってあげると言うと、また張り切っていいところを
見せてくれる。食べさせるのも一苦労。
「見て、ひとりでも食べられるよ!」
その後は、お昼寝タイム。昨日先生たちに教えた「ね~むれ~」の
歌を覚えていてくれて、子供たちに?独り言?で歌っていた。
子供が寝ている間に、興味のある先生たちに簡単な英語の歌を教える。
子供たちを静かに席に付かせるときの歌、英語の子守唄、
そのほか、簡単な歌を。(…教えるというか、一緒私も歌って覚える)
中には熱心な先生がいて、何度も何度も聞いて覚えようとする。
先生によって熱心さがはやり違うな。
いずれにせよ、持ってきたCDと楽譜はおいて行こうと思っている。
年少組の3クラスが私の担当だが、どうも私が楽しいことを
子供たちにやっているらしいとみて、年長組からも声がかかり、
お迎えの前の1時間、年少組でやったことにちょっとプラスして
やってみた。
さすがに、英語力が少しアップしているので、コミュニケーションが
とりやすい。
年少組は、とにかく英語はまったく通じないので、
こっちがアムハラ語を覚えて、そしてそれを英語に…と大変なのだ。
3時にお母さんたちがお迎えに来るのだが、待っている子たちに
別の絵本を読んであげた。
五味太郎の「きんぎょがにげた」は、にげた金魚を絵本の中から
一生懸命さがしてくれて、なかなかこれも、喜んでくれた。
日本の絵本はやはりすごい。
私のホストファミリーのいい人たちだし、LemLemでも活動も
私は充実しているが、
同じボランティアとして活動しているフランス人のミシェリーンは
どうもホストファミリーともあまりうまくいっていないようで、
ここでの活動もどうも思うようにできないことに、ジレンマを
感じているようだ。
ミシェリーンはとても いい人で、熱心な人なのだが、熱心なあまり、
先生ともその方針にギャップを感じるのだろう。
確かにここの先生たちは、日本の幼稚園の先生たちのように
子供と接するときの態度にせよ、教え方にせよ、疑問に思うことが
たくさんある。
しかし、ここはここのやり方があって、それを私たちが壊しては
いけないと思う。
彼女たちのやり方を尊重しながら、少しずつこうやったらどう?
とアドバイスをしつつ、彼女たちがいいと思えるように工夫する必要が
あるのだと思う。
先生と言っても、ちゃんと教育を受けている人たちではないので、
英語も使えるが、必ずしも正しい英語を使っているわけではない。
(それは私だって言えることだが)
ただ、幼児教育という点については、改善の余地がたくさんある。
しかし、たった実質1週間しかない活動の間に、それを変えることは
できない。ただ一つ私がここで残していきたいのは、
教育というのは、子供たちを調教するのではなく、あくまでも
子供自身の中にあるものを引き出すこと。
おそらく、ミシェリーンや私を見ると、みんな寄ってくるのは
確かに珍しいのもあるのかもしれないが、絶対叱らないし、
何を言っているのかわからなくても、話を聞いてあげるから
なのかもしれない。いつも先生たちの顔色をうかがっていて、
ちょっと愛情に飢えている感じがする。
今日はプロジェクトアブロードのビクセンが来てくれて、
帰りは彼の車でピアッサまで送ってくれて、エチオピア航空まで
連れて行ってくれた。
(帰りの飛行機の予約の紙が見当たらず、エチオピア航空で
再発行の必要があったので)
ピアッサからの乗合タクシーの横に座っていた、サングラスをかけた
ちょっとちゃんとした服装をした男性に韓国人か?と聞かれたので、
いや、日本人だと答える。この辺では珍しくまともに話せる
エチオピア人のように見えたので、ちょっと話を振ってみる。
すると、IT関係の会社の経営者らしく、エチオピアの貧困の問題
などについても聞いてみると、話をしてくれた。
街中で物乞いをしているたくさんの人達のことがとても気に
なっていたので、聞いてみると、彼らは実際に家もなく、その辺で
過ごしている。本当に街の路上で。
国はまったくその対策も取っていないし、どうしようもない、と
嘆いている。自分はできれば、日本などに留学してもっと勉強
したいが、その奨学金などがないか、今探しているとのこと。
こういう人がもっともっと増えていって初めてこの国は栄えるの
だろう。
少なくとも、物乞いをしないでも生きていける教育制度を
まず、政府は整えてほしい。
家に帰ると、誰もいなかったので、先にシャワーを浴びる。
家の手伝いをしてるラッタイに「夕食にするか?」と聞かれたが、
みんなが帰るのを待つと答える。
デモンス(15歳)と、ラッタイ(50歳くらいだろうか)は親戚
としか聞いていないが、食事の準備、洗濯、掃除すべてをやっている。
聞きづらいので聞いていないが、ビクセンによると、
アツィダが親戚のこの二人を家に住み込みで住まわせて養って
あげているのではないか。
プロジェクトアブロードの家族の紹介には、「メイド」とあったから。
末娘のフェダイが帰って来た。一緒に食事をするか?と聞かれ、
まだ5時。アツィダたちももうすぐ帰るだろうとのことなので、
ここは待つべきだと思い、お茶だけをいただく。
フェダイは韓国映画が好きらしく、学校から帰ると、必ず
韓国の映画を観ている。
エチオピアでは、FOXチャンネルなどを含め、外国の映画などが
ただで観ることができる。パラボラを付けさえすれば、ただらしい。
日本より、ずっと進んでいる。
フェダイは家族の中でも一番英語がうまいように思う。
そして、話していて一番違和感がない。
外国映画をよく見ているからか、感性が私たちと近い気がする。
学校でのこと、友達のこと、韓国映画のことなど、いろいろと
話が弾む。
ついつい話し込んで、このジャーナルを書き上げる時間がなくなった。
インターネットセンターは夜9時に閉まるので、とりあえず、
メールのみチェックしておく。昨日はメールを受信するのに
1時間もかかったが、今日は案外早かった。
実家の母と、夫からメールが届いていた。
やはり、遠くにいて、メールを受け取ると、うれしい。
長い間、家を留守にして、夫には申し訳ない。"Love"の
一言を添えて返信をしておく。この時間だと真夜中だが。
母からは昼間、ここで調達した携帯に英語でメールも届いていた。
日本語ではなく、ちゃんと英語で打ってくれたようだ。
英語の勉強になっていいいかも…。
明日は次女の演劇の大会だ。今回は観に行けなくて残念だが、
頑張るように彼女にもメールを送っておく。
遅くなった。今日はこの辺で。
これをアップするのは、明日の夕方か…。