アジス・アベバの朝 ~LemLemスクール~ | エチオピアからのラブレター

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Loveletter from Ethiopia

3人の子育てにひと段落。
母さんはエチオピアでボランティアをすることにしたよ。

3月27日(火)


    *アジス・アベバの朝*


先週LemLemスクールはテストだったので、今日からが
本格的な仕事開始だ。


今朝は、アツィダ(お母さん)は別の場所で
仕事があるので、私は一人でLemLemまで行くことに。
フェダイ(末娘)が私ひとりで行けるか心配する。

「乗合タクシーに乗っていくから大丈夫!」
「降りるときには、ワラチ(降りる)って言うのよ」
と教えてくれる。
「大丈夫。アラ・キーロで降りて、ファランサイ行きに
乗り換えればいいんでしょ」


家を出て、すぐ乗合バスが待っているので、
「アラ・キーロ?」と聞くと、そうだと答えるので、
それに乗り込む。それなりの身だしなみの紳士が
私に席を譲ってくれた。



エチオピアからのラブレター-乗合タクシー
           乗合タクシー



それにしても、慣れてはきたものの、この乗合タクシーは
すごい! シートは破れ、中からスポンジはむき出し、
ちょっとそこに座るのもはばかれる。
小さな子供からビジネスマンまでこのタクシーを使うのだから、
そういうものなのだろう。



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       靴磨きをする少年たち

エチオピアからのラブレター

      路上生活をする人たち



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アラキーロで降りて、少し歩く。ちょうど通勤と通学の時間で
人がたくさん出ている。
その光景は何とも言えない。幼稚園くらいの子がお弁当を
持って一人で歩いているかと思えば、小学生から高校生、
ぶらついている若者達、赤ん坊を背負った若い母親、ビジネスマン…


トイレットペーパーを売っている少年がいた。
ここではトイレットペーパーが足りないので、必ずトイレに
入るときには持参しないといけない。
その少年を警官らしい男の人が注意している。何を言っているのか
わからないが、少年はその場を離れた。


エチオピアからのラブレター-トイレットペーパーを売る少年

      トイレットペーパーを売る少年


ファランサイ行きの乗合タクシーに乗ったら、いつものように
物乞いの老人がやってきて、手を出している。コインをいくらか
渡した。
20人以上の客を乗せて、タクシーは山を上っていく。途中エンストする
のではないかとハラハラだ…。




          *LemLemスクール*


LemLemに着くと、朝の体操が始まっていた。
庭で体操、ダンス、歌…子供たちは先生の真似をする。
私も壇上に上がれと言われ、上がって飛んだり跳ねたりする。
62歳のミシェリーンも頑張っている。これは、負けられないぞ。


その後、年少組は、映画を観るらしい。
全員をホール(と言っても…想像してほしい)にあげる。
それぞれ靴を脱ぐのも大変だ。
できない子には、手伝ってあげるが、きちんと自分の靴を
そろえているところはちゃんと躾られている。


先週はライオンキングを観たらしいが、今日は機械の調子が
うまくいかず、手こずっている。
待っている間に、持参したCDを使っていくつか手遊びをしてあげた。
何の準備もしていなかったので、行き当たりばったりだが、
なんとかわかってくれた。
結局映画は観られず、10時過ぎてしまったので、朝ご飯の
時間になった。


各自持参したお弁当を食べるのだが、これが、大騒ぎ。
そのメニューたほとんどが、インジェラ、スパゲティ、
チャーハンもどきで、スプーンで食べる子もいれば、
手で食べる子もいる。
ちゃんと食べられるはずもなく、はげしくこぼすし、
時間もかかる。



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食べながら何かを私に話しかけてくるが、何を言っているのか
わからない。
適当に相槌を打ちながら、聞いている。
べたべたの手で握手を求められると、どうしようか迷ってしまう。
あっちでけんかが始まり、持ってきたお菓子をとられたと
泣く子て、もう、大騒ぎだ。


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日本の幼稚園も同じようなものだが、
こちらの先生たちは子供には厳しい。
子供たちにがおしゃべりをしているとかなり厳しく注意する。
なんと言っているのかはわからないが、その口調はとても
怖い。

日本の幼稚園の先生はもっとやさしい。
しかし、それがいいのかどうかはわからないが、
ここの先生たちは子供たちに厳しい一方で、
自分達は携帯をいじったりしているのは、ちょっと理解できない。


家庭では躾を受けることがないので、ここでしっかりと
躾けることが必要なのだと言うが…。


遅めの朝食兼早めの昼食が終わると、例のトイレタイムだ。
このトイレの後で、みんなまた私に握手を求めてくる。
うぅぅ…なんか、手が濡れてるぞ…。


その後、年少組はお昼寝がある。
映画を観た部屋で一斉に寝かされる。
本当に先生の言うことをきくいい子たちだ。


まるで軍隊のように。


子供たちが寝ている同じ部屋で、先生たちは
ペチャペチャとおしゃべりが続く。
ちょっと私には理解できない。
静かに寝せるのが先生の仕事。
子供たちには静かに寝ろと言っている一方で、
どうしてこんなにうるさくおしゃべりをするのか…。


「日本にはね、子供を寝せるときには、子守唄っていうのが
あってね」と、私は歌いだした。


「ね~むれ~、ね~むれ~、は~は~の~む~ね~に~」
これを英語に訳し、アムハラ語に訳する。


日本語の音が面白いらしく、真似して歌う。
そうよ、こうやって子供たちを寝せてあげるの!


お昼寝の後、先生たちのランチタイム、そして
コーヒーセレモニーが始まる。
コーヒーセレモニーは、社交の場としてこの国にはなくては
ならないもののようだ。ここで、また濃いコーヒーを3杯もらう。


若い先生たちから「マンマ」と呼ばれている、子供たちの
トイレの世話のする女性が来て、何やら話が盛り上がった。
何を話しているのか聞いたら、彼女が旦那さんとの喧嘩の
ことをしゃべりまくしているのだ。
どこの国でも同じか…。


62歳のフランスから来たミシェリーンはとても純粋な女性だ。
若い先生たちがこの中では誰が美人で、自分は美人じゃない等
言っていると、
その人の笑顔やその人しか持っていない美しさというものが
あるのだから…と、一生懸命説いている。
この国には、まだマクドナルドがないが、それはとても
いいこと…etc...まあ、とにかく、外国から来た私たちの
話も彼らにとっては珍しいようで、話題が尽きない
コーヒーセレモニーの時間だ。


帰りはミシェリーンと乗合タクシーで帰った。
その車掌の青年がやたらと私たちに話しかけてくる。
アジスアベバのことを一生懸命説明しようとしてくれる
彼に私はそれなりに共感し、
「いいガイドになれるわね」と褒めてあげた。


しかし、タクシーを降りて、ミシェリーンに釘を刺された。
「彼は自分に3ブル渡してお釣りの30セントを渡さなかった。
ガイドだなんて、おだててはだめよ。学校を出てたら
誰だってあのくらいの英語はしゃべれるんだから、
気をつけなさい」


私に先輩として教えてくれたのだろうが、
そのくらい褒めてあげてもいいと思ったし、彼もそれを
励みに頑張るのではないかと思う。おそらく、ミシェリーンは
お釣りをだまし取られたと思っているのだろう。


明日は朝の集会で、フルートを吹くことになった。
ちょっと練習しておかなきゃ。
LemLemに行けるのもあと、3日しかない。