君と手を取り歩める未来が、私の歩んできた道にはあったのだろうか。
あんなにも切望して、どんな手でも尽くした。この手で君に触れちゃいけない、でもどうしたって忘れられやしないんだ。
私も随分と変わったんだよ。
「社会の歯車なんて御免」とか「人々はもっとより良く生きられる」なんて語っていたのに、今では「余暇で幸せを噛み締めろ」とか「人間は時代に適応すべき」だなんて、言えるようになっちまってさ。
君のことを“あの人”と呼んで、散々に否定していた私も居たね。思えば、私の発言から一挙手一投足に至るまで迷惑だったろう。
何も気にしていない風を装って、人に尽くせる君が好きだった。いっそのこと咎め立てた挙句に殺してくれたって文句はない、君の手を汚すまでもなく往くべき非礼だったよ。
いつかも謝罪の限りを尽くさせてくれたよね。高校に入学してからあの日までも、本当に迷惑をかけていたってのは思い違いじゃなかった。紛うことなく私は君に育てられた。それからの二年間は本当に楽しかった。
「この過去があるから今がある」って君の言葉は今でも心に来る。たったの二年でも、親友でいさせてくれて本当にありがとう。
久々に会った君は変わらず、私からは遠い日々を生きているようであざといお洒落さんよ。
ごめんね。今更になって、こんなことを謝ったところでって話なんだけど、こんな私でも先に進まなくちゃって思っててさ。
もっと話したかったよ。何をどう考えても時間が足りないなんて百も承知で、そっけない態度も不格好だなんて見透かされてたかな。
ため息ひとつで諦めてたよね。やっぱり君にはどんなに背伸びしたって到底、適わないわな。私は背伸びする性分でもなく、私が背伸びしたところで君はあくびしてくれるだろうし。
でもどうしたってこうして想ってしまうから、なんて女々しいようじゃ君の隣は務まらない。こんな私でも悪くない、くらいの自負はあるんだけど、君には足りないんだろうね。
君との日々は忘れようがない。たとえ別々の道を歩むとしても、君に育てられ続ける。嫌だと言われても困っちゃうわ。
君にとっては二年だけの親友でも、私にとっては死んでも忘れられずに生まれ変わったって、君を探さずにはいられない。
君と話せても三日三晩じゃ足りない、ひと月はいける、一年でも話してやるさ。だから、もう君と話すわけにはいかないんだよ。
私にはここがあって、君は他所へ行ってくれと願うまでもなく来れないだろう。そんな君すら素敵だよ、そう思わなきゃいけないんだ。
最近は健康オタクしてるんだ。じゃあたばこは辞めろよって?時が来たら辞めるさ、そしたら真の健康オタクになれるよね?
たばこも最早、ようやく趣味って言えるレベルだと思うんだよね。手巻きって知ってる?あれマジでめんどくさいよ、たばこ代は半額だって残業して紙たばこ買った方がマシ、そうしない辺りが趣味ってもんでしょ。
この前さ、誰かに作る晩御飯が大変って話したじゃん。あれ一緒に考えてみるってどうかな?手間が増えただけじゃないよ、一緒に考えれば楽しいひと手間になる。
話せる日までお互い、いろんな話を集めよう。話したくなくなってたら、それ以前に話したくなかったら、話せる日が来なかったらまぁ残念だけど、今世で終わらせられて良かったさ。
どうか元気でいてね。