スピンオフ編~東京都杉並区荻窪・和と洋が混在する素晴らしい庭園『大田黒公園』 | Love Beef Cutlet? Eternal Traveler~生涯旅人

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ビーフカツを求め全国各地を彷徨う超変人の超マニアックなブログです。今回はスピンオフ編。ビーフカツやその他の食べ物からは離れ、これまでの国内外の旅などで印象に残っているスポットなどをご紹介します。

 

今日は

東京都杉並区荻窪の

『大田黒公園』です。

 

最寄駅は

JR中央・総武線、東京メトロ丸ノ内線

『荻窪』。

 

JR駅南口から徒歩10分

1981(昭和56)年に開園した

杉並区立の公園です。

 

日本における

音楽評論家の草分けとして知られる

大田黒元雄氏(1893.01.11-1979.01.23)の

自宅の30%を公園にして欲しいという遺志に基づき

遺族から区に寄贈された土地に

周囲の敷地と合わせて公園として整備したものです。

 

園内に入ると

樹齢100年を経た

27本の大銀杏が植わる

御影石の並木道が70mほど続きます。

 

並木道の終点で右に入ります。

 

その先には

管理事務所があります。

 

管理事務所の内部には

民家の土間を思わせるような休憩室があり

自由に休むことができます。

 

管理事務所に併設して

素晴らしい中庭が付いた茶室がありますが

庭に入ることはできません。

 

建物の前には

池泉回遊式の日本庭園が広がっています。

 

公園と名付けられていますが

庭園と呼んだ方がぴったりします。

 

敷地内の高低差を利用した

自然の流れが取り入れられています。

 

日本庭園の片隅に

瀟洒な2階建ての洋館があります。

 

1933(昭和8)年の竣工

大田黒氏がアトリエとして使っていた建物で

国の登録有形文化財になっています。

 

2階は非公開になっていますが

1階は記念館として公開されています。

 

広い洋室には

大田黒氏が生前に

使用していたものが展示されています。

 

スタインウェイ社のピアノは

友人たちを招いて行われた

『ピアノの夕べ』などに使われていました。

 

1900年にドイツのハンブルクの

スタインウェイ社の工場で組み立てられ

外装はマホガニー仕上げとなっています。

 

このピアノは展示品でしたが

2000(平成12)年に

調律師の手により音色を取り戻し

年に数回その美しい音を聴くことができました。

 

しかし

製造後100年超え老朽化したため

楽器としての役割が終わろうとしていました。

 

このため

ピアノ音色の存続を願う有志が

ピアノ修復のための募金活動を実施し

区は寄付された募金を基に

大阪府堺市の工房に修復を依頼し

かつての輝かしい音色を

取り戻すことができました。

 

現在では入手不可能な部品の耐久性を考慮し

回数は限られていますが

演奏会も催されているそうです。

 

ウィリー社製の蓄音機

どの国の会社か調べましたが

分りませんでした。

 

籐を使った椅子

シンプルな意匠ですが

センスの良さが感じられます。

 

手彫りと思われる対の椅子

これも素晴らしいです。

 

大田黒氏が執筆用に使ったデスク

氏はシンプルなデザインが

お好きだったのでしょうか?

 

スクラッチタイルを貼った暖炉

かなり薄いものに見えますが・・・。

 

半分以上が

室外にせせり出ています

こちらにもスクラッチタイル。

 

一見タイルのようですが

壁紙だと思います。

 

ランダムに配置された円の模様

グラデーションが素敵です。

 

光の加減で浮き上がるようなデザイン

こんな素晴らしい部屋で

仕事をしたいものです。

 

照明は全て

氏が使われていたものです。

 

天井に写る影が

なんとも言えない風情です。


帆船に吊り下げられた

暖炉周りの照明

両サイドに設置されています。

 

こちらが大田黒元雄氏。

 

日本の水力発電の先駆者で

東芝の前身だった

芝浦電機の経営を再建し財を成した

大田黒重五郎氏(1866.07.26-1944.07.28)の

一人っ子として誕生し

父の築いた裕福な環境で生涯を過ごしました。

 

10代の頃に

東京音楽学校(東京藝術大学の前身)の

教師ペッツオルトにピアノを習いますが

専門的な音楽教育を受けたわけではありません。

 

19歳の時にロンドン大学に留学し

経済学を勉強する傍ら

コンサートに通ったり

楽譜や音楽関係の資料を蒐集していました。

 

第一次世界大戦開戦のため2年間で帰国し

音楽関係などの執筆活動を始めます。

 

ドビュッシーやストラヴィンスキーを

初めて日本に紹介したのは

大田黒氏だと言われています。

 

記念館には

氏の書いた本のコピーが

多数展示されています。

 

興奮冷めやらぬまま屋外に出ると

純日本風の庭園が目に入り

またまた驚かされます。

 

池の畔に建つ四阿から庭を望むと

和風の庭の向こうに洋館が見え

とても不思議な感覚に陥ります。

 

ここまで戻ってくると

軽井沢あたりの別荘地に来たようです。

 

正直に言って

大田黒元雄氏のことは

ほとんど知りませんでしたが

この公園を訪問し

氏のセンスの良さに感動しました。

 

大田黒公園

東京都杉並区荻窪3-33-12

開園時間 9:00-17:00

入園無料

12月29日~1月1日は閉園

 

次回は、本日15:00にオンストリート編。過去の旅などで脳裡に焼き付いている街角の光景をご紹介します。テーマは、静岡県静岡市駿河区です。