スピンオフ編~愛知県名古屋市東区・ネオバロック様式の建物の素晴らしさに唖然『名古屋市市政資料館』 | Love Beef Cutlet? Eternal Traveler~生涯旅人

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ビーフカツを求め全国各地を彷徨う超変人の超マニアックなブログです。今回はスピンオフ編。ビーフカツやその他の食べ物からは離れ、これまでの国内外の旅などで印象に残っているスポットなどをご紹介します。

 

今日は

愛知県名古屋市東区の

『名古屋市市政資料館』です。

 

最寄駅は

市営地下鉄名城線『名古屋城』

または名鉄瀬戸線『東大手』。

 

どちらの駅からも徒歩5~6分

赤煉瓦造りの建物の裏手に至ります。

 

この建物が

『名古屋市市政資料館』です。

 

1922(大正11)年

名古屋控訴院・地方裁判所

区裁判所として建設されて以来

1979(昭和54)年に

名古屋高等・地方裁判所が

中区三の丸に移転するまで

中部地方における司法の中心として

60年近く重要な役割を果たしてきました。

 

設計は

司法大臣官房営繕課長だった

山下啓次郎氏(1868.01.12-1931.02.06)と

司法技師の金刺森太郎氏(1863.03.10-1929)。

 

ちなみに

ジャズピアニスト山下洋輔氏は

山下啓次郎氏の孫です。

 

外壁の赤煉瓦と白い花崗岩

ドームの緑の銅板などが印象的な

ネオ・バロック様式のこの建物は

1984(昭和59)年に

国の重要文化財に指定されています。

 

威風堂々としたドーム部分には

いくつかの見どころがあります。

 

こちらのエンブレムは

司法、裁判の公正さを表す

象徴の一つである天秤。

 

ギリシャ神話やローマ神話に登場する

正義の女神が持つもので

正邪を測る『正義』を象徴し

司法界では

罪と罰が釣り合うことを意味しています。

 

天秤の下には

交差する金色の剣。

 

こちらも正義の女神の持ち物で

『力』を象徴しています。

 

『剣なき秤は無力、秤なき剣は暴力』で

『正義』と『力』が

法の両輪であることを表しています

・・・何となく納得できない部分もありますが。

 

入口を入ると

3階まで突き抜ける

中央階段室があります。

 

素晴らしいの一言に尽きる

大理石の親柱。

 

手すりに施された装飾は

シンプルですが趣のあるものです。

 

階段室の中央にある

大きなステインドグラスは

天秤をモチーフとしています。

 

天井のステインドグラスの意匠は

日輪を素材に用いて

公明正大な裁判を表現しています。

 

階段室2階と3階の全貌

華美ではありませんが

荘重な雰囲気です

 

回廊に沿って部屋があり

一部は展示室として公開されています。

 

こちらの部屋は控訴院の会議室で

長い間重要な役割を果たしてきました。

 

長い歳月の中で

幾度か内装が変えられたため

『名古屋市市政資料館』開館に際して

文献や写真、聞き取り調査などを手掛かりに

創建時の姿に復元されたものです。

 

明治憲法下の法廷。

 

1922(大正11)年の創建当時の

名古屋控訴院第2号法廷を再現したものです。

 

正面の法壇中央に3人の判事

向かって左側に検事

右側に裁判所書記が着席しました。

 

陪審法廷の復元。

 

1928(昭和3)年の『陪審法』施行に伴い

庁舎の西側に新築された陪審庁舎内の

法廷の主要部分を移設したものです。

 

陪審裁判は

国民が司法に参加する制度の一つで

陪審資格者名簿で抽選を重ねて選ばれた

12人の陪審員が素人の立場で審理に参加し

犯罪事実の有無を答申する制度です。

 

現在の裁判員制度と似ているようですが

根本的に異なる処があります。

 

裁判員制度では

裁判員と裁判官が一緒に議論し

有罪か無罪かを決めますが

陪審裁判では

陪審員だけで議論し

犯罪の有無を裁判所に答申します。

 

ただし

裁判所は陪審員の答申に拘束されず

答申を認めずに新しい陪審に

付することもできました。

 

陪審員席。

 

陪審法廷内の被告人席。

 

答申を採用して言い渡された判決には

基本的に控訴することはできませんでした。

 

ただし

適法に陪審を構成しなかったなど

特別の理由がある場合には

大審院に上告することができたそうです。

 

陪審制度は

裁判官,検事,弁護士の法曹三者が

陪審裁判に対して消極的態度をとったことなどから

減少傾向を一途をたどり

1943(昭和18)年に公布された

『陪審法ノ停止ニ関スル法律」』によって

停止され現在に至っています。

 

一通り展示を見終わり

1階に戻りますと

中央階段の裏側に

地下へと続く質素な階段があります。

 

地階にあるのは留置場。

 

現在の留置場は警察署にあり

逮捕された被疑者などが

取り調べなどを受けるために

留め置かれる施設ですが

この建物が控訴院だった頃

この留置場がどのような目的で使われていたか

詳しい記録は残されていません。

 

おそらく

裁判中の被告人や

まだ起訴されていない被疑者を

裁判官や検事が

取り調べのためにこの建物に呼び

一時的に収容していた場所と考えられています。

 

こちらは独居房。

 

雑居房。

 

世界各国で安宿を利用していますが

このような場所に泊まったことがないので

どのように時間を過ごすのかは

想像ができません。

 

建物のあまりの素晴らしさに感動し

展示物の殆どが記憶に残っていません。

 

名古屋市市政資料館

愛知県名古屋市東区白壁1-3

052-953-0051

9:00-17:00

月曜日休館

入館無料

 

次回は、本日15:00にオンストリート編。過去の旅などで脳裡に焼き付いている街角の光景をご紹介します。テーマは、東京都品川区戸越の『薬局お』です。