スピンオフ編~滋賀県彦根市・井伊直弼が不遇の時代を過ごした屋敷『埋木舎』 | Love Beef Cutlet? Eternal Traveler~生涯旅人

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ビーフカツを求め全国各地を彷徨う超変人の超マニアックなブログです。今回はスピンオフ編。ビーフカツやその他の食べ物からは離れ、これまでの国内外の旅などで印象に残っているスポットなどをご紹介します。

 

今日は

滋賀県彦根市の

『埋木舎(うもれぎのや)』です。

 

最寄駅は

JR琵琶湖線、近江鉄道本線『彦根』。

 

駅から徒歩10分

彦根城の中堀に面して

漆喰塗りの木塀の屋敷があります。

 

こちらが『埋木舎』

旧彦根藩井伊家の『控え屋敷』の一つで

1759(宝暦9)年頃の創建とみられています。

 

旧彦根藩では

藩主の子供たちは

父が藩主の間は『下屋敷』で暮らしますが

父の死や隠居などにより兄が藩主になると

城下の『控え屋敷』に移り

『捨扶持』で暮らすこととされていました

 

この屋敷は『尾末町御屋敷』と呼ばれ

後に16代藩主となり

桜田門外の変で暗殺された井伊直弼が

不遇の時期を過ごした場所でもあります。

 

直弼は

14代藩主井伊直中が隠居した後に

側室のお富の方との間にもうけた子で

庶子で十四男であることから

藩主への道からはほど遠い存在でした。

 

父の死後

この屋敷に移り

17歳から藩主となった32歳までの15年間を

捨扶持300俵の部屋住みとして過ごしまた。

 

直弼がどのような背景で藩主になったかは

長くなりますので割愛します。

 

直弼は自らを

花が咲くことのない埋木にたとえ

この屋敷を『埋木舎』と命名しました。

 

埋木とは

地中に埋まり外から見えない樹木のことで

世間から捨てられ

顧みられない身を意味しています。

 

当時の直弼は彦根藩の世継ぎではなく

この質素な控え屋敷で

貧しい一生を送らなければならない

不遇の境遇にありましたが

世をすねることもなく

熱心に国学を学ぶとともに

茶道、和歌、居合術、兵学など

文武の修練に精進しました。

 

『埋木舎』は

1871(明治4)年の廃藩置県により

井伊家の家臣であった大久保家に払い下げとなり

現在で同家が所有、管理しています。

 

玄関には

井伊家に関連する物や資料が

所狭しと展示されています。

 

彦根藩の歴史を知らしめたいお気持ち

分からないでもありませんが

素晴しい建物が台無しになっています。

 

建物の内部に入れませんがが

脇の木戸から庭に廻ることは出来ます。

 

屋敷を回り込むようにして

庭につながるアプローチ

大名の家族が住む屋敷にしては

余りにも質素な雰囲気です。

 

こちらは表座敷

客間として使われていました。

 

硯、重箱、火鉢、絵など

脈絡なく陳列され

部屋の良さを窺うことができません。

 

表座敷の軒先に置かれた手水鉢

自然石の形を生かした素晴らしいものです。

 

火袋以外の部位は

自然の石をそのまま使った燈籠

趣味の良さを感じます。

 

表座敷の隣にある茶室

内部を見ることはできません。

 

蹲のようです

何と素敵な意匠なのでしょう!

 

手前が居間

正面が奥座敷になります。

 

居間には何やら嫌な予感が・・・。

 

直弼と側役の大久保小膳

素晴しい和室に

何故にこのような無用なものを・・・。

 

奥座敷前の庭には

小さな社があります。

 

庭の全体像を捉える位置がなく

上手く撮影できていませんが

コンパクトで質素でありながら

素晴しい作庭です。

 

話は飛びますが

この屋敷の鬼瓦には

『井』の字が用いられています。

 

井伊家の家紋は橘ですが

瓦や幕には井桁の紋も使われています。

 

井伊家のルーツは

静岡県浜松市北区の井伊谷で

井伊家初代の共保は

この井伊谷の井戸の脇に

捨てられていたという伝説があります。

 

顔立ちが端麗で聡明であったことから

遠江国司藤原共資に養子として迎えられ

1032(長元5)年に家督を継ぐと

井伊谷城を築城し井伊氏を称します。

 

この時に

自らの出生にかかわる井伊谷と井戸の

『井』の字を家紋にしたと言われています。

 

井戸と関係が深いからでしょうか

屋敷内にはいくつかの井戸が残っています

・・・これは私のこじつけです。

 

実に趣味の良い素晴らしい建物ですが

資料の展示・陳列方法が

全てを台無しにしています

・・・そう思うのは私だけでしょうか?

 

埋木舎

滋賀県彦根市尾末町1-11

0749-23-5268

9:00-17:00

月曜日及び12月20日~2月末日休館

入館料300円

 

次回は、本日15:00にオンストリート編。過去の旅などで脳裡に焼き付いている街角の光景をご紹介します。テーマは、中国黒龍江省ハルビン市です。