スピンオフ編~東京都文京区千駄木・さりげない雅と粋が散りばめられた邸と庭『旧安田楠雄邸庭園』 | Love Beef Cutlet? Eternal Traveler~生涯旅人

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ビーフカツを求め全国各地を彷徨う超変人の超マニアックなブログです。今回はスピンオフ編。ビーフカツやその他の食べ物からは離れ、これまでの国内外の旅などで印象に残っているスポットなどをご紹介します。今日は、東京都文京区千駄木の『旧安田楠雄邸庭園』です。

 

 

最寄駅は

東京メトロ千代田線

『千駄木』。

 

 

駅から徒歩6分

閑静な住宅街に佇む

歴史的建造物です。

 

 

一般公開されていますが

通常の公開日は

水曜日と土曜日の2日間のみ。

 

4月28日から当分の間

緊急事態宣言を受け

公開は中止されています。

 

 

1919(大正8)年

昨夏閉園した『豊島園』の開園者

藤田好三郎の邸として建造され

その後1923(大正12)年に

安田財閥の創始者である安田善次郎の娘婿

安田善四郎が買い取りました。

 

善四郎没後

長男の楠雄が相続しましたが

1995(平成7)年に楠雄が他界した後

夫人より公益財団法人『日本ナショナルトラスト』に寄贈され

歴史的建造物として修復管理されています。

 

 

純和風の玄関から

邸内に入ります。

 

敷地面積は1486㎡

木造2階建ての建物の

延床面積は455.6㎡あります。

 

 

玄関には電話室があり

昭和初期に普及した

ダイヤル式の電話機が残されています。

 

 

雁行形に配された邸宅の最初の部屋は

マントルピースのある洋風の応接間。

 

 

蓄音機(・・・死語ですね)は

アメリカの『ビクタートーキングマシン』社の

1923(大正12)年製『ビクトローラ』

ピアノは1930(昭和5)年頃の『ヤマハ』製。

 

 

応接間には

和テイストも感じられる

サンルームが付設されています。

 

 

サンルームからは

奥行きのある主庭を望むことができます。

 

 

サンルームの床は

はめ込み式のゴムタイルで

現在のものは

2015(平成27)年に復元されたものです。

 

 

廊下伝いに進むと

中庭が現れます。

 

主庭とは異なり

コンパクトな作庭ですが

そこはかとなくワビサビを感じます。

 

 

主庭と中庭に挟まれるように

床の間と書院が備えられた

客間の『残月の間』があります。

 

 

節句の時期には

床の間の大きさに合わせて誂えた

ひな人形、五月人形が飾られたそうで

現在でも3月と5月の公開されていますが

今年は感染防止対策のため中止されました。

 

 

書院に飾られた木札は

棟上げの時の棟札で

寄贈後の修復工事の際に

屋根裏で発見されたものです。

 

建築主である『藤田好三郎』の名前と

棟上げ日の『大正五年五月二十日』の文字が

鮮明に残っています。

 

 

広縁の天井は

木目の美しい杉の化粧天井で

一部には網代が使われています。

 

 

広縁から眺める

滝や小川を模した枯山水の主庭

京都の有名な庭を彷彿とさせる

素晴らしい庭です。

 

 

広縁の下には

1941(昭和16)年頃に作られた防空壕があり

毎年4月と8月に各1日公開されます。

 

 

防空壕へつながる

狭く急な階段。

 

 

狭い空間に一家で退避し

爆撃機が去るのを待たれたのでしょう

・・・戦争の悲惨さを改めて感じました。

 

 

広縁からは

茶の間に入ることができます。

 

家族がくつろぐための部屋で

床の間の意匠など

格式ばらない造りになっています。

 

 

押入れの中に水屋がある

ちょっと変わった形態の部屋です。

 

 

下部にガラスが入った猫間障子

小窓からは座敷とは違う角度で

庭を眺め楽しむことができます。

 

 

廊下を挟んだ

茶の間の対面には台所が。

 

 

氷を入れて冷やす

電気式ではない冷蔵庫。

 

余談ですが(・・・最近多い?)

日本製の最初の電気冷蔵庫は

1930(昭和5)年に芝浦製作所が発売しました。

 

しかし

高価だったこと、音がうるさかったことに加え

故障しやすいなどの欠点があったため

普及は進みませんでした。

 

本格的な普及が始まったのは

1950年代後半の高度成長期で

白黒テレビ、電気洗濯機とともに

三種の神器と呼ばれました。

 

 

閑話休題

 

台所は当初土間でしたが

1929(昭和4)年に床を張り

当時最先端のキッチンに改造されました。

 

 

台所の隅にある煉瓦で囲まれた一角は

隣にある浴室に給湯する

ガスボイラーがあったそうです。

 

 

その浴室がこちら

タイル張りでゆったりした造りです。

 

 

さぞかし大きな浴槽が

と思いましたら

木製の意外と小さなものでした。

 

 

台所の前には階段があり

見学客も二階に上がることができます。

 

 

二階予備室の床の間は

天井際に板を渡し

竹釘を打った略式の

『綾部床』になっています。

 

 

庭側には雪見障子があり

主庭を見下ろすことができます。

 

 

二階の客間は書院造りで

邸の中で最も格式高い座敷です。

 

 

一間半の床の間の

右側には違い棚が。

 

 

左側には

主庭を見下ろす出書院があります。

 

 

庭に面した広縁があり

主庭を見ることができます。

 

 

枝垂れ桜、かえでなどが織りなす

四季折々の光景を見下ろし

一階からとはまた異なる趣きで

庭を楽しむことができます。

 

 

書院造など伝統的な和風建築を継承しつつ

洋風の応接間を設けるなど

和洋折衷のスタイルも取り入れた造り。

 

目立った華美さはありませんが

さりげなく雅と粋をちりばめた

素晴らしい邸宅です。

 

震災、戦災を免れ

創建当初からほぼ改装されることなく

今日まで良好な姿を伝えていることは

一種の奇跡かもしれません。

 

緊急事態宣言が解除され

公開が再開されましたら

ぜひお訪ねください。

 

旧安田楠雄邸庭園

東京都文京区千駄木5-20-18

水曜・土曜日 10:30-16:00 公開

入館料 500円

 

次回は、本日15:00にオンストリート編。過去の旅などで脳裡に焼き付いている街角の光景をご紹介します。テーマは、京都府京都市中京区です。