スピンオフ編~中国長春市・帝冠様式の建築群『満州国時代の建造物』 | Love Beef Cutlet? Eternal Traveler~生涯旅人

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全国各地のビーフカツを紹介している超変人の超マニアックなブログです。最近は国内、韓国、中国などのB級グルメについても書いています。

現在、3週間の予定で中国を旅しています。今回は、広州~深圳~厦門~福州~上海。安宿に宿泊しているためインターネット環境は良くありません。『いいね』やコメントバックができないこともありますのでご理解ください。記事は、日本で書き溜めてありますのでいつものように毎日アップされます。

 

本編に入る前に少しだけ近況報告を。昨日の夕食。『三潤』で海老ワンタン麺。絶品です。

ネットのスピードが恐ろしく遅くて難儀しています。この2行と写真1枚を追加するのに30分近くかかりました。

 

 

 

ビーフカツを求め全国各地を彷徨う超変人の超マニアックなブログです。今回はスピンオフ編。ビーフカツやその他の食べ物からは離れ、これまでの国内外の旅などで印象に残っているスポットをご紹介します。今日は、今夏に訪れた中国長春市に残る『満州国時代の建造物』です。

 

長春市は

吉林省の省政府所在地

都市人口350万人の大都市です。

 

第二次世界大戦以前は

新京と呼ばれ

五族協和、王道楽土の理念の下に

建国された日本帝国の傀儡政権である

満州国の首都でした。

 

私は

日本帝国陸軍が

中国東北地方で犯した過ちを

認めるスタンスにはありません。

 

しかし

当時の建築物には

素晴らしいものがあることは認めます。

 

ここでは

政治的な背景を語ることなく

客観的に建物をご紹介します。

 

まずは国務院址

内閣府に相当し

事実上満州国国政の最高機関でした。

 

洋風建築に和風の屋根を備えた

和洋折衷のデザインは

帝冠様式と呼ばれ

日本国内でも

神奈川県庁舎や名古屋市庁舎に

見ることができます。

 

 

現在は吉林医科大学として

使用されていますが

内部改修のため

エントランスまでしか

入ることができませんでした。

 

 

軍事部址

現在は吉林大学白求恩第一医院。

 

こちらも

典型的な帝冠様式です。

 

 

満州国関係の建物の多くは

国家や長春市の重点文物保護単位に

指定されています。

 

ちなみに中国では

満州国ではなく

『偽満洲国』と呼ばれています。

 

 

満州国軍事部を

実質的に支配していたのは

日本帝国陸軍の総軍の一つであった

関東軍でした。

 

こちらの

日本の城郭のような建物が

関東軍司令部址

現在は中国共産党吉林委員会。

 

撮影が厳しく制限されており

通りの反対側から

ズームで撮影しただけで

門衛に怒鳴られました。

 

 

関東軍司令官官邸址

現在は松苑賓館という

ホテルの一部になっています。

 

 

交通部址

現在は吉林大学公共衛生学院。

 

 

経済部址

現在は吉林大学附属第三医院。

 

 

司法部址

帝冠様式ですが

和テイストがより強いデザイン

現在は吉林大学白求恩医学部。

 

 

外交部址

外務省の訓令に反し

リトアニアで

多くのユダヤ難民にビザを発給した

杉原千畝も

満州国建国当初に

こちらに出向していました。

 

現在は

銘医集団という企業(?)が使っています。

 

 

民生部址

現在は吉林省石油化工設計研究院。

 

 

綜合法衙址

最高裁判所や検察庁など

司法関係の合同庁舎でした。

 

帝冠様式の中でも

かなりユニークなデザインです。

 

現在は

中国人民解放軍四六一病院。

 

 

満州国中央銀行址

現在は中国人民銀行。

 

 

第二代国務総理大臣

張景恵旧宅

現在は

中国人民解放軍八一招待所。

 

 

満洲国経済の原動力となったのは

南満州鉄道株式会社

通称『満鉄』。

 

満鉄が

沿線主要都市で経営していたのが

ヤマトホテル。

 

こちらは旧新京ヤマトホテル

現在は

春誼賓館というホテルです。

 

 

満鉄図書館址

老朽化のため取り壊されます。

 

 

金融分野で中心になったのは

横浜正金銀行

貿易金融専門の特殊銀行で

東京銀行(現三菱UFJ銀行)の前身。

 

現在は

長春雑技宮。

 

 

国策映画を製作していたのが

満洲映画協会

通称『満映』。

 

無政府主義者の大杉栄らを殺害した

甘粕正彦が2代目理事長を務めていました。

 

現在は

『長影旧址博物館』という

映画関係の博物館。

 

 

最後になりますが

満州国皇宮址。

 

皇帝に祭り上げられた

清のラストエンペラー溥儀が

形ばかりの執政を行ったところです。

 

現在は

『偽満皇宮博物院』として

公開されています。

 

 

こちらは

溥儀が謁見を行う場所ですが

実際にはほとんど使われなかったようです。

 

 

敵国であった

日本がでっち上げた

満州国の建物を

重点文物保護単位(有形文化財に相当)に指定し

負の遺産を継承するとともに

有効利用する中国の姿勢には

脱帽せざるを得ません。

 

次回は、明日10月23日(火)に番外編。韓国カンヌン(江陵)市の『ウォンジョ・チョダンスンドゥブ』をテーマにします。