スピンオフ編~千葉市稲毛区・ラストエンペラーの弟夫妻が暮らされた『愛新覚羅溥傑仮寓』 | Love Beef Cutlet? Eternal Traveler~生涯旅人

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ビーフカツを求め全国各地を彷徨う超変人の超マニアックなブログです。今回はスピンオフ編、ビーフカツやその他の食べ物からは離れ、これまでの国内外の旅などで印象に残っているスポットをご紹介します。今日は、千葉市稲毛区の『千葉市ゆかりの家・いなげ~愛新覚羅溥傑仮寓』です。なお、文中は、全て敬称を略させて頂きます。

 

 

この家は

中国清朝最後の皇帝

宣統帝溥儀の実弟

愛新覚羅溥傑と妻の浩が

結婚後半年ほど暮らした処です。

 

最寄駅は

京成電鉄の『京成稲毛』。

 

 

駅舎を背にして

駅前の『せんげん通り』を

左方向に向かうと

小さな三叉路が現れます。

 

 

『千葉市ゆかりの家・いなげ 愛新覚羅溥傑仮寓』

そう書かれた小さな案内板が立っていますので

矢印の方向に進みます。

 

 

100mほど行くと

左側に門が。

 

ここを上がったところが

入口です。

 

 

昔はどこにでもあった

格子戸ですが

都会では最近見かけなくなりました。

 

 

1913(大正2)年頃に

建てられたと推定されるこの家は

L字形の母屋と離れで構成され

敷地面積は1129㎡あります。

 

 

そもそも

溥傑とはどのような人物なのでしょう?

 

溥傑は1907年に

清国の醇親王の次男として誕生し

その後

実兄のラストエンペラー溥儀とともに

清朝、満州国、中華人民共和国と

歴史の流れに翻弄され

数奇な運命を辿りました。

 

晩年の溥傑

 

日本留学経験もあり

1937(昭和12)年には

実質的に満州国を支配していた

関東軍の主導の下に

侯爵嵯峨実勝の長女で

昭和天皇の遠縁にあたる

嵯峨浩と結婚しました。

 

 

~閑話休題~

話を建物に戻します。

 

玄関を入ると

居間の脇に

広縁が続きます。

 

 

居間には

和室2間と洋室が。

 

 

 

玄関を入って右側には

客間が二部屋あります。

 

 

床の間には

書家としても高名だった

溥傑直筆の

書画が飾られています。

 

 

離れは

溥傑が書斎として使っていたとのこと。

 

庭を眺めながら

日本帝国陸軍・関東軍に

利用されている己について

どのような考えを

めぐらしていたのでしょう?

 

 

 

離れの裏には

防空壕が

・・・空襲には合わなかったようですが・・・

 

 

大正初期の意匠を

如実に伝える建物も素晴らしいのですが

溥傑や浩の写真に感動しました。

 

こちらは北京時代のもの

左から

溥傑、溥儀、琉崇(?)。

 

 

新婚間もない

溥傑・浩夫妻

この家の庭で撮影されたもののようです。

 

 

溥傑は

この家から

陸軍歩兵学校へ通っていました。

 

 

溥傑夫妻は

この家で半年を過ごした後

満州国の首都

新京(現在の長春市)へ移り

二人の娘を授かります。

 

1943(昭和18)年

溥傑の日本の陸軍大学校への入学に伴い

一家は東京へ移住しますが、

翌年末には

学習院初等科に在学中の

長女慧生を残し

一家3人で新京に戻ります。

・・・これが慧生との永遠の別れとなってしまいます・・・

 

1945年

日本の敗戦に伴い

満州国も崩壊。

 

溥儀と溥傑は

日本軍機で日本への逃亡を図りますが

ソ連軍に捕らえられ

ソ連領内に移送されて強制収容所に収監されます。

 

日本で学習院に通っていた長女の慧生や

敗戦とともに日本に戻った浩と次女の嫮生とは

離別することになりました。

 

1950年には中国に送還され

撫順やハルビンの戦犯収容所で

中国共産党による再教育を受けさせられます。

 

溥傑にとっての最大の悲劇は

1957(昭和32)年に

長女の慧生が

天城山中で学習院大学生と

ピストルで心中死したことです。

 

1960年

溥傑が釈放され

翌61年には浩が中国に渡り

二人は15年ぶりに再会しました。

 

・・・2003(平成15)年に放送された

TV朝日のドラマ『流転の王妃・最後の皇弟』で

竹野内豊と常盤貴子が名演していましたね・・・

 

 

浩は1987年

溥傑は1994年に

それぞれ逝去されています。

 

関東軍の謀略による

政略結婚でしたが

お二人は生涯仲良く

円満に暮らされました。

 

お二人が

新婚生活を送られた家を見て

こみ上げるものがありました。

 

半月後には

3週間の旧満州の旅に出ますので

現地でも

お二人の足跡に触れてみるつもりです。

 

本日は

長々と書いてしまい

申訳ございませんでした。

 

溥傑の浩に対する生き方に

共感するところがあるもので。

 

千葉市ゆかりの家・いなげ~愛新覚羅溥傑仮寓

千葉県千葉市稲毛区稲毛1-16-12

9:00-16:30

043-244-5370

入館無料

月曜日及び祝日休館

(月曜日が祝日の場合は翌日も休館)

 

付  録

 

溥傑・浩ご夫妻が召し上がられたかもしれない

ハルビン『モデルンホテル』の

ビーフステーキです

 

 

次回は、明日7月6日(金)に番外編。中国上海市の家庭料理の店『上海姥姥』をテーマにします。