高倉健さんに続き、菅原文太さんも亡くなった。
テレビでは連日、懐かしい映像が多く映し出されている。
「仁義なき戦い」「トラック野郎」で、菅原文太さんがかっこよく
タバコをふかしているシーンが流れていた。
それを、何気なく見ていたじーじ。
まだ食事中だというのに、いきなり
「タバコ買ってくる。」
と言って、席を立とうとした。
もう、私とばーばは顔を見合わせて
「はぁ~?」
外は今年一番の寒さ。
お金も一円も持っていないのに、どうやって買いに行くつもりなのか?
それよりも何よりも、「タバコ」という悪夢が甦ってしまったのか?
じーじは約三年前までタバコを吸っていた。
それはそれはヘビースモーカーで、現役時代は一日に3箱吸っていたこともあった。
昔は、現在ほど、タバコに健康被害があるとは考えられていなかったんだと思う。
ストレス発散のためか、かっこよさを追求したためか、
とにかくずっとタバコを吸っていた。
じじばば二人で住んでいた当時の家は、そこらじゅうに焦げ跡があり、
良く火事にならなかったものだと思う。
実家を建て替えた今の家でも、新築だというのに、
同居している私の旦那はぜんそく持ちなので、タバコが大嫌いだというのに、
じーじはタバコを吸い続けていた。
何度「自分の部屋でだけ吸って」と言っても、言うことを聞かず、
歩きタバコ、くわえタバコをするので、灰が床に落ちてるし、
網戸を焼かれたこともあった。
こうやって思い出してみると、あの時のストレスの方が半端なかった。
タバコの嫌いな旦那と、タバコを吸うことくらいしか好きなことがなかったじーじ。
板挟みになった私。
認知症とはいえ、当時はお金も家の鍵も持っていたので、
自分で勝手に、次々とタバコとライターを買ってきていた。
あの頃は、タバコを麻薬指定してほしいとさえ思っていた。
タバコを吸ったら、逮捕されればいいと思っていた。
そして三年前、元々のCOPDの症状に加え、肺化膿症になって入院したことがきっかけで、
無理やり禁煙させた。
禁断症状もあったので、禁煙させるのも本当に大変だった。
禁煙のために、タバコもお財布も家の鍵も取り上げられたじーじ。
無事禁煙は成功し、じーじの命を永らえさせることはできたけど、
今では、ただご飯を食べ、リハパンの中で排泄し、一日中口をポカンと開け、
何もやることはなく、寝てばかりいる。
ちょっと思うんだよね。
好きなことして、好きなもの食べて、それが身体に悪いことだとしても、
好きなようにして、それで死んでしまってもいいような気がする。
現在は、健診でちょっと数値がオーバーすると、食べ物を制限したりする。
そこまでストイックになって長生きする必要ってあるんだろうか?
禁煙中、
「タバコが吸えないんだったら、死んだ方がいい。」
と言っていたじーじ。
禁断症状が言わせた言葉だとは思うが、
じーじの最期の時には、タバコを吸わせてあげようと思っている。
昔、私が幼い頃、タバコの煙でま~るい輪っかを作ってくれたじーじ。
大好きだったんだよな。
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